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「ジョン・ウィック:コンセクエンス」ドニーと犬に首ったけ。

どうも、安部スナヲです。

「ジョン・ウィック:コンセクエンス」観て来ました。

殺し屋を引退してつつがなく暮らしていた筈が、何だかんだの因果により、死闘の沼を免れられぬ伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)

またまたこれまでの因縁→復讐がコジれてモツれて、裏社会を牛耳る「主席連合」から狙われる身となる。

出典:映画.com

今作の敵は主席連合の事実上の最高権力者グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)

グラモンは主席連合の首長がジョン・ウィックに射殺された責任をニューヨークコンチネンタルホテル(殺し屋界の拠点)の支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)に負わせるべく、ホテルを爆破。あの信頼厚いコンシェルジュのシャロン(ランス・レディック)も見せしめに処刑してしまう。

そのうえでグラモンは腕利きの刺客としてジョン・ウィックの旧友でもある盲目の元殺し屋ケイン(ドニー・イェン)を差し向けたり、懸賞金を吊り上げて殺し屋ネットワークに働きかけたり、あの手この手でジョン・ウィックの命を狙う。

出典:映画.com

一方、ジョン・ウィックは、これも旧友で大阪コンチネンタルホテルの支配人シマヅ(真田広之)に助けを求めるが…というハナシ。

如何せんジョン・ウィックなのだから、あのモーレツ肉弾アクションを心ゆくまで味わう気でいたのだけど、流石に169分という長尺での釣瓶打ちは身に堪える。

精神的にはスカッとするが、肉体的には疲れる。

映画はヨルダン、ニューヨーク、大阪、ベルリン、パリと舞台が移る章立てになっているのだが、最終章のパリパートまで来た時には疲労のあまり、正直「もうどっちが勝ってもええからサッサと倒してしまえ!」と思ってしまった。

87イレブン(チャド・スタエルスキが設立したスタントスタジオ)がつくる殺陣は、格闘技として理に適った、ちゃんと痛そうな打倒曲をフツウの人間では有り得ない超早技でやるところが魅力なのだが、あまり長時間、それも巨大スクリーンで観てるとこちらも麻痺して来て、疲れを自覚しなくなる危うさがあるなと思った。

あれだけの攻撃に対して、メインキャラクターが受けるダメージが少なすぎる点には、どうしても閉口してしまう。

これついては「んな阿保な」と笑って楽しむものだとわかっちゃいるが、ここまで過剰だと、もう完全に人間には見えないというか、今作のキアヌはフツウなら100回は死んでるというか、なんぼなんでもビルから落ち過ぎやろ!

まあそのような荒唐無稽さはこの手の映画の醍醐味・妙味であるので、あまりツッこむのは無粋というものかも知れない。

各章のなかでは圧倒的に大阪パートが好きだ。

このパートは割と序盤なので、まだこちらも消耗が少なく、元気だということもあるとは思うが、ルック、アクション、真田広之やリナ・サワヤマをはじめとするキャラクターの存在感、どれをとってもこの映画ならではの世界により引き込まれる魅力に溢れていた。

出典:映画.com

ルックの印象としてはブレードランナーの近未来ディストピア、あるいはキル・ビルでのヘンテコオリエンタル感にも通じる独特なイリュージョンで、あらためてハリウッド映画のヘンテコ日本描写の楽しさを感じさせてくれた。

サクラ、ニンジャ、スモウ、カラテ、ヤクザなどを、実像とは無関係にモチーフとして配するアート感が如何にもハリウッド映画のそれっぽい。

出典:映画.com

そんな微妙にリアルと隔絶された世界で繰り広げられるあの華麗なアクションには、やはりウットリさせられる。

あと、個人的には梅田駅のホームに一応本物の面影があるところもウケた。(あれはきっと御堂筋線をロケハンしたと思われる。)

この映画最大のバリューは盲目の殺し屋ケインを演じたドニー・イェンであり、今作は彼が主役だと言ってもいいくらいだ。

出典:映画.com

盲目の武術家としてはスター・ウォーズ「ローグ・ワン」の、あの「絶対ジェダイより強いやん!」というチアルート役が周知だが、この映画のケインにはそれよりも鷹揚な貫禄と気品がある。

加えて、殺し屋は引退した筈なのに愛する娘を守るため、やむ無く旧友ジョン・ウィックを狙うという哀感も深みになってる。

登場時には髪を下ろしていて野暮ったい感じの風体だが、その時点で既に殺気を秘めている。

そしてはじめの格闘シーンを見た時の驚き、昂ぶり、ときめきは筆舌に尽くし難い。

大阪コンチネンタルホテルの厨房で、皆が激しく戦ってるなか、彼は呑気にラーメンを食ってるのだ。

まずは腹ごなしといったところだろうが、その不気味なまでの落ち着きっぷりが、もうカッコいい。

それからドンブリ鉢をおもむろに置いてからの快進撃。

目にも止まらぬ早技とはこのことだ。

盲人特有の目線の定まらない異様さながら、武器になってる杖を縦横無尽に操り、剣劇とカンフーが混ざったような立ち回りのしなやかさ。

出典:映画.com
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あんな美しい殺陣を見たことがない。

あと格闘シーンでいうとリナ・サワヤマのスタントダブルを「ベイビーわるきゅーれ」の伊澤沙織ちゃんが担当しているというので、バックショットなどを注意深く見ていて、微妙な体つきとか動きで彼女だとわかった(気になった)のにも、オジサンはキュンと来ちゃった♡

にも増してだ、実はそんな手練れ・達者たちを押してMVPを授けたいのは、賞金目当てでジョン・ウィックを狙うミスター・ノーバディ(シャミア・アンダーソン)の愛犬くん。

出典:映画.com

常軌を逸した超人が凌ぎを削るこの映画にあって、あのワンコはまさに「超犬」

まったく見劣りしないどころか、敵のキ◯タマにガブりつくわ、高速の車に跳ねられてもケロッとしてるわ、オマケに自分を助けてくれた人には敵味方に関係なく恩義を示すお利口さん。

裏社会とて義理人情が大事であることを、あらためて教わった気分。

あ、義理情か( ̄▽ ̄)

出典:映画.com



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