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「オーメン:ザ・ファースト」“オレは反キリスト”と歌ったSex pistolsのデビューも1976年。

どうも、安部スナヲです。

「オーメン」1作目から48年を経た今、あの〈オカルトアイドル〉ダミアン出世の秘密が明かされる⁉︎というので観に行って来ました。

出典:映画.com

【あらましのあらすじ】

リチャード・ドナー監督による1976年の映画「オーメン」の前日譚。

1973年6月6日午前6時に悪魔の子が生まれるに至った顛末と、その子が外交官ロバート・ソーン夫妻に引き取られ〈ダミアン〉と名付けられるまでのハナシ。

孤児としてアメリカで育ったマーガレット(ネル・タイガー・フリー)は、修道女になるために 1971年、ローマの教会へ入り、教会内の孤児院でカルリータ(ニコール・ソラス)という少女と出会う。

挙動が怪しく、不吉な絵を描いたりもするカルリータは、問題児として敬遠されているが、マーガレットはこの少女にシンパシーを感じる。

ほどなくして教会において、不可解な怪死事件が立て続けに起きる。

そんなある日、ワケあって教会を追放されたブレナン神父(ラルフ・アイネソン)がマーガレットのもとを訪れ、教会の不埒な陰謀を明かす。

ブレナンは教会の陰謀を暴くため、マーガレットに協力を求める。

はじめは訝っていたマーガレットだが、次第に募る教会への不信感と、謎に包まれたカルリータへの想いから、ブレナンと共に真相究明に乗り出す。

か、その先には想像を絶する恐ろしいアレコレがマーガレットを待ち受けていた…。

出典:映画.com

【感想】

前日譚というのは、オリジナル作者意外が作る場合、すべてが後付けということになる筈なのだが、この映画は後付け感がまったくない。

物語だけでなく、ルックや世界観も含め、まごうことなき「オーメン」だった。

これはひとえに、アルカシャ・スティーヴンソン監督とプロデューサー/共同脚本ティム・スミスの〈オーメン愛〉の賜物にちがいなく、個人的な好み以前に、〈いい映画〉とは、こういう作り手の愛と熱意に満ち溢れている映画だよなと、あらためて思った。

核心に迫るネタバレは避けるつもりだが、「オーメン」には反キリストの権化たる悪魔の子=ダミアンを世に放ったのは、キリスト教会自身という前提があり、このことにだけは触れなければ、何も語れない。

では何故、キリスト教会はそのような凶事に及んだのか?それが本作のメインテーマなのだが、そこには昔も今も変わらない、力を持ったが故の悪徳と腐敗、そして宗教原理主義特有の独善的な終末思想…。

それらがホラー仕立てにデフォルメされ、とてもとても恐い映画になっている。

悪魔の子の生成プロセスそのものも凄惨極まるが、これまで色んな映画や書物でテーマとされて来た「ヨハネの黙示録」への忌まわしさが、さらに増した。

あの記録自体が、キリスト教が人々の恐怖心を煽り、恣意的に信仰に向かわせる目論見であるかのように印象づけられてしまったのだ。

私は、信仰そのものは決して否定しない。

それで苦しみから救われるのなら、何を信じてもいい、神でも偶像でもビリケンさんでも、それぞれの心のなかに存在させることには何の問題もない。

ただそれらが組織になって一定以上の力を持てば腐敗が進むのは摂理。そこに信仰が絡むと、より厄介になる。

と、世相を斬るテーマ性を感じ取りつつ、ホラーとしての嬉しいサービスも盛りだくさんな映画である。

まず、随所に登場するジャンプスケア(大きな音や不意打ちでドキッとさせる手法)

オリジナルの「オーメン」には意外とこれがないのだが、ホラー映画の嗜みとして、適度にある方が絶対楽しい。 

そして序盤で、修道女のひとりが「あなたのためよ」と言って首を吊るシーンは、オリジナルへのわかりやすいオマージュだが、何とそれに灯油をかぶっての火を点けるというプラスaのおみやげ付き。

このゴア描写のマシマシにも、サービス精神を感じる。

マーガレットとカルリータの視点や立ち位置を微妙にずらしながら、気がつけばより恐ろしい〈真実〉に引き込まれている、あの誘導の仕方も実にうまい。

極め付けがあのラスト。

ある意味あのラストだけがホラーらしくないと感じたのだが、個人的には逆にそれが良かった。

あのまま教会の思惑通りだと、相当気分が悪いし、何よりマーガレットとカルリータがしあわせになってくれることを願うからだ(これネタバレやな)

まあフツウに考えて、続編がありそうな終わり方だが、もしそうだとしたら、ダミアン、マーガレット、カルリータの3人組オカルトアイドル戦隊が、クソッタレな教会とどう闘うのか、是非見てみたい。(これはネタバレでなく、ただの妄想です)

出典:映画.com

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