「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」その①〜シンジが××××になったワケ〜
シンジくんは、つくづく苦労性だなぁ。
どうも、安部スナヲです。
私がここに書く解説や感想は、出来れば映画を観ていない人にも読んで興味を持ってもらいたいと思っているので、基本的にネタバレなしのつもりなのですが、ことエヴァに関してはその許容範囲が極めて狭いようなので、まず「ネタバレとは何か」その定義をハッキリさせた上で進めたいと思います。
例えば浦島太郎でいうと、助けた亀に連れられて竜宮城へ行くー。
ここまでは誰がどう見てもネタバレではありませんよね?
それから、そこがどんな場所でナニが行われたのかー。
このあたりがグレーゾーンです。
さらにその先、ナニ姫と出会って、ナニ手箱を渡されて、最終的にナニ太郎になるのか、犯人は藤真利子か?
ここまで行くと完全にネタバレです。
というワケで、私はそのようにネタバレを定義し、映画の核心となる部分は伏せながら内容に触れつつ、感想を述べて行きたいと思います。
ちなみに本作を語る上で必要な、エヴァ過去作の内容に関してはネタバレ100%ですので、そこんとこヨロシク。
そもそも私は本作について大きな誤解をしていました。
庵野秀明監督作品で「シン」とつくものは、あの「シン・ゴジラ」のように、これまでの設定をすべて初期化し、現代の情勢や概念で再構築されるものだと思い込んでいました。
現代の都市に謎の生命体が攻めて来たら、実際問題として国連や政府はどう対処するのか。
実際の法律や条約を忠実に適用し、実際の科学技術のロジックに基づき、それらをどうやってエヴァンゲリオンに結びつけるのだろう?
そんな勝手な期待を抱いていましたが、ちがいました。
それは今夏公開予定の「シン・ウルトラマン」、来春の「シン・仮面ライダー」へと続く「シン」シリーズの作品ポリシーであって、本作は純粋に2012年の新劇場版「Q」からの続編でした。
あれまだ終わってなかったんですね(⌒-⌒; )
だいたい、旧劇場版と新劇場版があって、新劇場版の中に「Q(キュー)」という作品があって、その「Q」の続きが「シン」ってややこしいわ!
ま、こういうコジれ方をしてしまうのも庵野イズムと捉えれば、それさえも楽しむしかありません。
例によって前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入ります。
前作「Q」のラストでエヴァから離脱して地上に不時着したシンジ、アスカ、アヤナミはコア化により赤く汚染された地をさまよい、ようやく汚染区域を抜け出したところで一台の車に助けられます。
そうして「第3村」という「ニアサードインパクト」の災害から生き残った1000人ほどの人たちが暮らす集落に辿り着いたところから、物語の本筋が始まります。
苦労性のシンジくん。
今回は完全に心を閉ざしてしまいます。
第3村にはスッカリ大人になった、かつての同級生、鈴原トウジや相田ケンスケ等が居て、それぞれの役割でそこで暮らす人たちの生活を支え、助けています。
シンジたちのことも手厚く保護し、寝泊まりから身の回りの世話までしてくれて、傷ついたシンジを刺激しないよう、どこまでも優しく接してくれます。
しかし、シンジはダメです。
誰とも喋らない。
ご飯もイヤ。
ずっと膝を抱えて隅っこでシクシクしています。
無理もありません。
というのも前作までにおいて、それはそれは酷い目に遭ったからです。
第10使徒との死闘の末にアヤナミを助け、それからエヴァ初号機の中で14年間も眠りー
目を覚ますや否や、何故かみんなからメンチ切られてるような空気。
挙句にエヴァ搭乗以来ずっと、事実上の保護者でもあったミサトさんから
「碇シンジくん、
あなたはもう、何もしないで」
と言われます。
しかもこんな冷たい目で…
は?な、何すかそれ?
もし直属の上司にこんなこと言われたら、それだけで病みますよね?フツー。
しかもそこまでの大ひんしゅくを買うのは自分が「サードインパクト」の引き金になったせいだと知らされ、さらに愕然とします。
何でも例の第10使徒との戦いの時、アヤナミを助けたい一心のシンジは感情的になり過ぎたばっかりに初号機を覚醒させてしまったらしく、それによってサードインパクトが起きて、その結果、またたくさんの生命が葬られてしまった。
「すべてのきっかけは君なんだよ」
えー、知らんしぃ!
さらにはそこまでして命懸けで助けた筈のアヤナミにそのことを確かめると…
「知らない」
と、あの無感情な口調で言われます。
極めつけは、唯一心の拠り所だったカヲルくんが目の前で死ぬのですが、またその死に方の残酷さったらないです。
首に付けたDSSチョーカーが作動して、頭部からグシャ!
しかもその凄惨な光景をエヴァ13号機のエントリープラグ内という、カプセルホテルで隣同士の個室みたいな距離感で間近に見てるんですよ!
これでトラウマになるなという方が無茶です。
やはり、この「グシャ」のショックが最も大きいようで、本作の劇中、シンジはアスカが付けているDSSチョーカーを見ただけで嘔吐します。
かなり重症。
可哀想ではありますが、困ったもんです。
鳴り物入りで迎えたシリーズ完結編。
主人公がこんな調子では先が思いやられます。
何とか立ち直ってくれんかのう、シンジくん。
何やったら、ええ病院紹介したろか?
などと思っていましたが、心配御無用。
ちゃあんと立ち直ります。
そのきっかけはやっぱりあのコ♡
というワケでこの続きは「その②」にて。
さいならごめん。
出典:
追告A「シン・エヴァンゲリオン劇場版」