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会議室が50室も使い放題で、100人まで入れるオフィスが月額15ドルで借りられます。

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

タイトルは釣りです。すみません。要するにZoomのことです。Zoomでリモートワークしませんか?という話です。

リモートの仕事をするとその人が本当に働いているかどうかわからないという心配をしてしまうのが、経営者だと思います。その場合、せめて顔が見えているだけでも、だいぶその心配は減らせるのではないでしょうか。まあ、実際、Zoomでつながっていたらビーチで日光浴とかできませんよね。

それでこんなことをしてみてはどうでしょうか。

オフィスとして使うZoom

ズームの有料アカウントを開設するんです。1ヵ月15カナダドル(1200円ぐらい)かかりますが、オフィスとか会議室レンタルが必要なくなるので、ずっと経費は削減できると思います。

Google でちょっと検索してみると、東京の会議室のレンタル代は安い物件で1時間500円ぐらいからあるようです。 1日9時間レンタルするとして4500円、1ヶ月で20日間借りるとして9万円になります。ズームの場合は一つのアカウントで会議室(ブレイクアウト)が50個まで作れますから、最大で450万円ぶんの会議室の利用代が節約できるわけです。今までそれほど多くの会議室を使っていなかった組織でも、これだけ豊富に会議室が使えるとしたら、組織も活性化するのではないでしょうか。

これほど多くのブレイクアウトルームが作れたら、チームごとに分かれて作業することもできますし、個人で作業したい人は全員がマイクをミュートにするブレイクアウトルームを指定して、そこで黙々と作業するのも良いでしょう。

50人以下の組織だったら、一人で一つの breakout room を占有して、その人に用事がある人がその breakout room を訪れるというような使い方もできます。全員を共同ホストに指名すれば、それぞれの部屋に移動することができますし、会いたい人がどの部屋にいるかもブレイクアウトルームのリストから確認することができます。Breakout room の名前を変更することもできますから、「社長室」というような部屋を作ることもすぐにできます。 外部のお客さんと会うための「応接室」などを準備してもいいでしょう。そうすると訪問客が最初に訪れるメインルームは受付のような機能を果たすことになりそうですね。そこに常駐している受付係がホストの権限を持っていて、訪問客を応接室にアサインするのです。 「会議室 A」「 会議室 B」 というような名前の部屋を作って、普通の会議室マネジメントシステムでカレンダーと連携させてスケジュールを組んだりするのもいいでしょう。

もちろん、仕事をするための特殊な機器、たとえば粒子加速器とか風洞とかが必要な場合はリモートワーキングという訳にはいかないだろうと思いますが、普通のホワイトカラーの場合はネットとパソコンと会議室さえあれば充分ですよね。Zoomのようなビデオ会議と、Slackのようなビジネスチャットがあれば、もう物理的なオフィスなんか必要ないんじゃないかというのが、2020年の僕の印象です。そして実際に「フラット化する世界」 でトーマス・フリードマンがこうしたリアルタイムでかつグローバルな新しいビジネススタイルを紹介したのが2005年で、それ以来こうしたビジネススタイルを実現している組織は高い生産性を維持してきました。

実を言うと、今僕が働いているアルバータ州教育省のオフィスも、みんなで集まる会議というのは一週間に1度しかありません。それ以外は全部、カナダの先生方との連絡などを自分のパソコンから行うというスタイルになっています。オフィスの中でも色々な連携する仕事がありますが、それもチャットやメールや電子書類を通して行うので、わざわざ会議室に集まる必要がないのです。同じオフィス内にいても、電子的な書類のやりとりをする場合はSlackなどのビジネスチャットがなければ 不可能になっています(もちろんプリントしてから手渡したりするスタイルも厳密に言えば不可能ではありませんが、お金も時間もかかりすぎて実際には無理ですよね)。先日は氷点下38度という寒さが数日続いたのですが、「今日は寒いから休む」という同僚もいて、彼も出勤はしなかったもののオンラインでは仕事をしていました。

教育への応用

このようにたくさんのブレイクアウトルームが使えると、仕事だけではなく教育でも色々な応用ができます。僕は今は教師研修の方が多いんですが、それでもEdCamp形式やワールドカフェ形式はこのブレイクアウトルームには非常に親和性のある活動だと思っています。

また、一般的な語学の教室では、ほぼありとあらゆる形式のグループワークに使うことができます。

例えば2人ずつのペアを作るペアワーク。100人のクラスでも、50組のペアを一瞬で作ることができます。ランダムに割り振ることもできますし、面倒くさくなければ一人一人をそれぞれの部屋にアサインすることもできます。

ピア・リーディングやピア・ライティングなどのピア活動も、 breakout room で簡単にできますよね。

その他にインフォメーションギャップを作るためのグループ分けにも活用できます。典型的な例はジグソー・リーディングです。

厳密な意味ではジグソーリーディングとは少し違うかもしれませんが、グループをシャッフルして読解授業を行うアイデアを13年ほど前に書いたことがあるので、一つの例としてご覧ください。これももちろん breakout room を使うと簡単に実施することができます。

むらログ: 読解授業のアイディア グループをシャッフル
http://mongolia.seesaa.net/article/50007502.html

インフォメーションギャップを作るためのグループとしては、最初に大きなグループを二つ作って、それぞれが違う映画の予告編を見て、その後にそれぞれのグループのメンバーからなるペアワークをたくさん作って、自分の見た予告編について相手に伝え、二人で一緒に見に行く映画を選ぶような活動にも、ズームの breakout room は非常に効果的でしょう。

むらログ: 映画の予告編+iPadで日本語教育
http://mongolia.seesaa.net/article/164758683.html

今までに breakout room を使わない方が良かった例としては、クイズレットライブがあります。これはみんなでメインルームでやった方が盛り上がりました。ただし、本番の前にチームで分かれて出題される内容について復習したりするには、 breakout room はとても役に立つでしょう。

ツールから発想してもいい

よく、「活動を最初に考えて、次にそのために必要なツールを考えろ」とかいう人がいますが、「会議室が50室も使えたら何ができるだろう」と考えてみることで、逆に新しい働き方や、新しい教室活動をブレイン・ストームすることもできます。というのも、僕たちの発想というのは、実はかなり現実的な条件に制限されているからです。皆さんだったら、会議室が50室もあったら、何ができそうですか?

そして冒険は続く。

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【参考資料】
むらログ: 読解授業のアイディア グループをシャッフル
http://mongolia.seesaa.net/article/50007502.html

むらログ: 映画の予告編+iPadで日本語教育
http://mongolia.seesaa.net/article/164758683.html

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