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大学スポーツを変える

1.アメリカの大学スポーツの今

アメリカにおいて大学スポーツはNBAやNBLにも劣らない市場を形成しています。これは各大学の努力によるものです。アメリカの大学ではスポーツを、部活を教育活動の一環として考え、その活動を広報戦略の一環として考えています。そのため、各大学は真剣に取り組んでいるのです。

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まず、教育という観点から考えるとアメリカの多くの大学がAD(アスレチックデパートメント)を大学内の組織で持っています。ADはその大学のスポーツ活動を統括・管理・運営を行なっており、教育という観点から無理のない練習計画でないかや学業に支障がでていないか、チームのガバナンスがしっかりしているかなどをチェックしています。チェックだけではなく、適切な人員の派遣や道具の支給によりチームの活動をより効率的にしています。

2.日本の大学スポーツの今

一方で、日本の大学スポーツを顧みるとそのような取り組みはほとんど見られません。大学は、各部活の活動を「課外活動」として捉えています。あくまで各部活は各部活によって独自に運営されているものであり、大学は責任を持たないというのが日本における基本スタンスです。このスタンスでは、社会的な問題が生じた際、責任を持って対応する主体が不明になりアスリートを守ることができないし、何より大学スポーツを維持はできても成長につなげることはできないでしょう。

またこの問題をさらにややこしくしているのは各競技の学連の存在です。学連は、主催の試合の興行収入や放映権、選手の肖像権の全てを保有しています。特に収入に関しては学連の活動の維持にほとんどを使い、各大学へのリターンは全くないといっても過言ではありません。一方で競技において問題が生じた際責任を放棄したり、各競技の発展への活動が活発的に行われてきていないなど学連は様々な問題を抱えています。

皆様は日大アメフト事件を覚えているでしょうか?本来監督や選手を守らなければいけない大学の対応が遅れたり、謝罪や責任の所存について世間で大議論となりました。

3.大学から変えていこう!

これらを踏まえ、日本においてまず取り組むべきことは各大学が自身の部活動を教育の一環であると捉え、ADを設置することではないかと私は考えます。ADが主体となり各部活の活動の見直しを行い、適切な運営を行なっていくことが最優先ではないでしょうか。例えば大学スポーツで最近話題として取り上げられる、コーチと選手間でのパワハラ問題。こうしたものも課外活動だからと言って放置をするのでなく、ADが介入を行えば問題解決につながるのではないでしょうか?

各大学でのADの活動が積極的になると次は自然と学連の見直しが行われると考えられます。各競技学連の問題点を大学とADが認識することで、それを改善するために意見を発信していくことにつながるでしょう。そうした、あくまで大学を中心とした大学のための学連を作り上げることが必要になってくるだろう。

その将来像がアメリカのNCAAではないでしょうか?NCAAでは競技を横断して大学スポーツの発展のための活動、そのための体制を作り上げています。そしてその収益は大学に、そして選手へと還元をしておりさらなる発展につなげています。

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(ネブラスカ大学の施設)

日本においてはUNIVASがその役割を果たすことが期待されています。各学連およびNFがUNIVASの元に入り、UNIVAS主体の大学スポーツ改革を行なっていかなければなリマセン。しかし今のUNIVASではまだ、そのような姿を目指すビジョンと方針が見られません。各大学がスポーツについて見直しを行い、各大学からの声と運営によってUNIVASを変えていかなくてはなりません。

4.スポーツでビジネスをしていこう!

ここまでは大学スポーツを取り巻く体制の話を述べてきました。ここからはビジネスという観点で話を進めて行きます。どれだけ崇高な意見を述べても、結局はそれを実現できるだけの人材も資金を各大学が得なければ事態は平行線のままです。ただでさえ、大学の資金不足が問題になっているのに余力はないでしょう。スポーツと金を絡めると嫌な顔をする人がこの国には一定数います。それはスポーツとは、”綺麗なもの”であるという宗教染みた概念がこの国にあるからです。しかし、スポーツの発展には金は必要不可欠です。最新のトレーニング機器、優秀なコーチ陣、選手の栄養管理、その全てに金は必要なのです。

そこで大切なのはビジネスです。日本の大学にはアカデミックな人材が豊富である一方で、こうしたビジネス的な観点で物事を進める人が少ないです。まずは、大学という(スポーツ)チームをブランディングしていくことが大切であるように感じます。他の大学との差別化を図るため、カラーを設定したり、ロゴを作成したり、学生の共通のグッズを配布するなど様々な手を打つことができます。

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(ウィスコンシン大学の例)

そして生徒、OB・OGのロイヤルティを高めることも同等に大切です。スポーツやイベント、共通のグッズを持つことなど等して仲間意識、帰属意識を持ち、それがロイヤルティへと繋がります。そしてこのロイヤルティは、自身の大学のチームへの応援という形で繋がっていくことでしょう。また、こうした姿を見せることで大学を目指す人の増加につながげることができるでしょう。

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(ハワイ大学)


また外部から資金を得ることも必要です。その点において地元とのつながりが非常に大切となるでしょう。地元のための活動を各部活動が行う。例えば地域の子供達に向けたスポーツ教室であったり、大学のスポーツ施設を地域に開放したりなどがあげられます。それらの活動により地域に貢献し、それのリターンとして地域企業から支援金をいただく。これにより豊富な資金を得ることができるし、試合への集客につながることでしょう。


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