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出世は信用で買えるチケット

出世って偉くなることだと思っていました。

でも出世してみると、といっても小規模の会社なので大したことはないのですが、大したことでは無いのです。


あなたにとってどうかはわかりませんが、僕にとっては心躍るようなことではありません。ましてや人を落として守るようなことでもありません。

しかし、出世をするべきか?辞退するべきか?で言えば確実にしたほうが良いものですし、すべきもの。タイミングに逆らわず。それはあなたの心が躍る踊らないに関わらず。

なぜなら出世とは《行き先自由なチケット》であり《会社員としての割符》だからです。

割符。木片などの中央に証拠となる文字を記し、また証印を押して、二つに割ったもの。当事者どうしが別々に所有し、後日その二つを合わせて証拠とした。


僕もそうだったのですが、出世、昇進の際には打診があります。その時に断るか断らないか?なんてことは僕は考えたことは無いのですが、やっぱり「嫌だなぁ」と思う人がいるのも事実です。

誰にでも当てはまる女神がいないのと同じで、誰にでも当てはまる幸せも無いのです。出世にしろなんにしろ。

出世と聞くと自由な時間を削られる、自由意思を奪われる。そんな想像をしてしまいます。

ですから、出世すれば自分の意思で判断できるんだぞ!といくら言われても納得できないのです。

ましてや僕らの知ってる課長、部長なんてたかが知れてますし、たかが知れてるような課長、部長しか見たことありません。

確かに役員になるほど出世すれば思い通りになる範囲が広がります。しかしながら、というか僕のような《すごく無い人》平凡な日々を過ごしながら生きる人。

そのような人には役員になるということ自体が想像できません。ほんの一握り、優秀な人がなるものですし、運という要素もそこには放り込まれます。

だからこそ気持ちがよくわかります。

よくわかりますが、出世はした方が良いのです。なぜならそれ、つまりは出世というのは前述した通り《行き先自由なチケット》であり《会社員としての割符》だからです。

僕のような、あなた"も"かもしれませんが、目的の無い、言わば曖昧に生きる人が大多数です。

ワンピースのルフィのように「海賊王に俺はなる!」とは言いにくいものです。

だから「チケットなんて手に入れても…何処にいきたいわけでも無いし。」と思ってしまうのです。

しかしながら理由がないからこそ、曖昧に生きるからこそチケットが必要なのです。

例えば、あなたがアテのない旅をしているとしてください。もしその時に喪黒福造のような車掌から、チケットを渡されたと想像してください。そして車掌はこう言います。

「このチケットは行き先を書いていません。それに何処まで行けるのかもわかりません。しかし、あなたに信用をもたらすことができます。なにに使うかなんて私にはわかりません。そうですねえ、お代はあなたのほんの少しばかりの責任とほんの少しばかりの時間で結構ですよ。」

と言われたらどうでしょうか?まぁとりあえず貰っとこうかな、ですよね?

出世ってそんなものなんですよ。


役職は機能

この話に納得するために、まず会社というものがどのようなものなのかをあなたに説明させてください。

まずあなたの間違いがあります。役職というのは偉い人になるわけでも、あなたを、もちろん僕も偉くしてくれるわけでもありません。

なぜなら職位というものはただの機能だからです。

というかそもそも偉い人なんて会社にはいません。いるとしたら会社そのものが1番偉いのです。代表取締役だって課長部長と同じく機能でしかありません。

会社というのは設立した時に法人格を持ちます。そもそも会社を設立するというのは法人格を習得することです。

法人というのは読んで字の如く法の上での人格です。実在はしないけど法の下では人格があるとみなされるわけですね。

漫画の推しが生きていると思うのと同じです。まぁラムちゃんはこの世に絶対存在しますが。

個人には人格があります。当たり前のことですが。生まれてから死ぬまでずっと権利能力を持って生きることができます。

口座を作ったり、契約したり、訴訟したり、それこそものを売ったり買ったりできますよね?

法人格も同じです。つまり今まで個人の名義でしていたことが法人格があれば法人名義でできるようになるのです。

つまり会社という存在自体が法のもとでは人なのです。

だから僕らは実際のところ雇用契約してるのは会社な訳ですね。社長からお金をもらってるのではなく、会社さんからお金をもらっているわけです。


クロロ=ルシフェルに学ぶ組織論


次に組織ってなに?がわかればグッと理解が深まります。

組織について話すにはHUNTER×HUNTERを例に挙げてみましょう。幻影旅団を知っていますか?

幻影旅団(げんえいりょだん)は、冨樫義博の漫画『HUNTER×HUNTER』に登場する架空の盗賊集団。団長はクロロ=ルシルフル。
団長を蜘蛛の頭、団員を12本の蜘蛛の脚に見立てた13人で構成される。通り名として「旅団(クモ)」とも呼称されている。

Wikipedia

団長のクロロが「頭(オレ)が死んでも誰かが跡を継げばいい」「場合によっては頭より手足の方が大事な時もあるだろう」というセリフを作中で言うのですが、これが組織のあるべき姿なんです。

組織というのは目的があって結成されます。目的を達成するためのものですから当然ですよね?

旅団の中のメンバーには優先順位があります。他の組織との戦いで命を落とす順番と言った方がわかりやすいでしょうか?

レア度の高い能力、例えばシズクというキャラが持つデメちゃんという念能力がそうです。

「生命体」と認識しているもの以外なら、大きさ・重さ・形状を問わず何でも吸い込める。他者の念が吸い込めないことを利用して、念能力による罠を見破ったりすることも可能。生命体であっても死体となれば吸い込める。また、傷口から毒や(流出している)血液を吸い出すという使い方もできる。

Wikipedia

このような能力は代替え不可能に近く、逆に強さに特化した戦闘要員は代替え可能であり、命の順番が低いのです。

クロロはウボォーというキャラが死んだ時に敵討に行くんだ!という仲間に対して「お前やウボォーは特攻だ。死ぬのも仕事の一つに含まれる。お前ら進んで捨て石になることを選んだんじゃなかったか」と言い放ちます。

これが組織というものです。代替え可能な戦闘要員は死地に向かうのも仕事なのです。

つまり良い組織というのは個人に重みが無く、組織にとっては、達成目標に対しての代替え不可能性が大事であり、さらに言えば費用対効果が大切です。

つまり、頭が取れようが腕がもげようが目的を達成するのが良い組織なのです。

これは会社でもそうです。個人というのは徹底的に機能であるのが良い組織。個人に重みを持たせると組織というのはダメな組織。

魚は頭から腐る。

これは組織のトップから腐っていくという比喩ですが、実際のところそうではなく、組織のトップに重みを置いているから腐るのです。

組織のトップだって本来代替え可能です。ですがだいたいの組織が間違ってトップを守ろうとしてダメな組織になります。

つまり組織とは個人を軽く扱うのが正しくて、個人に重みを置いたらだめになるものなのです。

だからって個人を使い捨てにばっかりしていたら組織が崩壊します。だから費用対効果の範囲内で、レア度の低い高いを意識して個人を扱うのです。

じゃあそんな殺伐としたところで出世したって、役職がついたって意味ないんじゃないの?すぐ使い捨てにされるんでしょ?という疑問が湧きますが間違いです。

役職がつけば組織としてレア度が上がるから優先順位は上になります。

それに出世することは世の中から認めてもらえるという利点もあります。この部分が《会社員としての割符》と冒頭で述べた意味です。

確かに役職がついても偉くはなりません。しかし社会から信用してもらいやすくなります。

あなたがもし、融資担当だとしてお金を貸したいのは平社員ですか?課長ですか?

もちろん僕ですよね?


よくわからない会社であろうとも課長のはずです。つまり役職というのはとっても信用してもらいやすいのです。


信用は通貨


信用というのは世の中でとっても大切なものです。それを少しばかりの時間と責任で貰えるのだからお得ではないでしょうか?

役職というのは《行き先自由なチケット》であり《会社員としての割符》です。

転職の時は役職がついてるだけで書類の通過率が全然違います。お金を借りるのもそうです。社会で認められる人になる簡単な方法なのです。

個人というのは大切なものです。権利も有しています。それらは平等です。

しかし、信用というのは人の優先順位を決めてしまいます。それはある意味平等で公平で公正です。

出世するということはーー何かを得ようとする営み自体がーーたいてい何かと引き換えです。自由な時間であったり、友達とのコミュニティであったり様々です。

それも会社組織と同じでリスクとリターン、つまりは費用対効果で考えるべきことです。あなたにとってインセンティブが出世することに対して

"ない"

と考えるのであればそれは不必要なものかもしれません。

しかしながら、信用というのは僕らが生きていく上で、通貨と引き換えできる資産でもあります。だからこそ出世するしないというのは考えるべき問題になりえるのです。

しかしながら、もし人生の目的が明確でない場合、僕も含めて多数の人がそうだと思うのですが、この社会的信用が得られるチケットというのはチャンスがあれば取るべきものだと思います。

職位は機能。だからこそ出世しようがしまいがあなたにとっては、また会社にとってもどうということもないことです。

ただの役割でしかないのですから。

チャンスの女神は不気味


つまり、逆説的に言えば会社から信用を得て出世するのは、会社に依存しない方法でもあるのです。

出世が不必要で自分の時間が欲しいのであれば、その方が幸せだというのであればそれでもいいでしょう。

しかし、幸せというのは移ろいやすいものです。昔食べてたお菓子が不味くなるのは味覚が変わったのもありますが幸せが移動しただけです。

昔全力で走ることが楽しくとも今は楽しくないはずです。友達が屁をこいたくらいで笑わないのと同じように。

幸せというのは移動します。感じ方の問題であり幸せというのは状態のことだからです。

だからこそ出世することによる今の幸せ、幸せだと思うことというのが消えるように感じても、もしかしたらそれは移動するだけなのではないでしょうか?

迷うくらいならやってみる。サイコロを振らずに死ぬのはとっても簡単で最悪の生き方です。

チャンスというのは平等に巡りません。しかもいつ来るか?なんて誰にも予測できません。チャンスというのは準備できていない時にしか来てくれ無いのです。

チャンスの女神は前髪しかないそうですが、もしそうなら女神というよりもというのは野暮ですよね。誰にとってもの女神が存在しないのと同じく。

しかし、その、えもいえぬ不気味な女神が平等ではないチャンスを与えてくれるのだから、僕らはそれを慈しむしか無いのでは無いでしょうか?

まぁもしかしたらそれはチャンスではなくピンチなのかもしれませんが。

それは後で考えてみることにしませんか?とりあえずは巡る機会を慈しみ、じっと幸せが移動するのを眺めるのもいいかもしれません。

じっと、じっと。


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