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起業と妄想

はじめまして岡田吉弘です。

2020年9月30日、私が取締役をつとめる株式会社フィードフォースは、第1四半期の決算発表と合わせて、子会社の「株式会社リワイア(Rewire Inc.)」の設立を発表しました。



設立を発表しただけで、実際に会社ができるのは10月です。代表をやることになったので、今は設立の準備に追われながらこれを書いています。

会社をつくるにあたっては、ただでさえ話が長いことで悪名高い私がわざわざ「この話は長くなりますよ… フゥ…(ため息交じりに)」と前置きしたくなるくらい割と長めのストーリーがあるのですが、興味のない方にはどうでもいい話ですので割愛します。

…が、もし「聞きたい」という奇特な方がいらっしゃいましたらぜひお声掛けください。ついでに手伝ってください。いや、この際一緒に働きましょう(唐突)。

(お仕事はいただけそうな予感がしているのですが同時に手も足りない予感がしてまして…)

できたばっかりの会社を手伝うのも飛び込むのもムリという場合は、親戚のアナグラム株式会社は絶賛募集中ですのでぜひ一度覗いてみてくださいね。手前味噌ながら、かなりのホワイトカンパニーですのでオススメです。私も監査役やってます。



なぜか自社の設立noteで別会社の宣伝をしてしまいましたが、もとい、既存会社の一部門ではなくわざわざ会社をつくるわけですから、なぜつくるのかくらいは今のうちに宣言しておこうと思います。まだ設立前でコーポレートサイトがないですし、仮にあったとしても設立前の想いは今しか書けないので。


何をしたいのか

リワイアがやりたいことは、その名のとおり再配線(Re-Wire)です。世の中のプロトコルがずいぶん変わってきたので、であれば手段と設備を見直すお手伝いをしようと。そのメタファーとしての再配線です。


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ロゴです!地味に「DX」成分入れてます


新会社でやることは、フィードフォースの決算説明で DX(デジタル・トランスフォーメーション)事業として紹介されているものです。

DX とは一般的に「デジタル化による顧客ニーズや環境変化への対応、およびそのためのビジネスプロセスの変革や再構築」という幅広な定義がされています。

論文がたくさん出るようなややこしい概念ではありますが、私なりに卑近な理解の仕方をすると、以下のような感じに近いのではないかと捉えています。

・長く使っている古い家電に生活導線や習慣が最適化されている

・何かの拍子で引っ越しや建て替えイベントが発生

・思い切って家電を新しいくてイケてるものに刷新

・生活が一変「なんでもっと早く変えなかったんだろう」

全自動洗濯乾燥機や食洗機を最初に動かした日の感動、私は覚えてます。まあ正確に言うと覚えてはいないですけど、「”もう戻れないな” と感じた」記憶はあります。

大げさな表現をすれば、認識と行動の不可逆な変化。そのビジネス版が DX ということでいいんじゃないかと。

一方で、ビジネスは家電と違っていきなりリプレイスできません。コア機能を別のものに置き換えることは、人とテクノロジー、それまでのプロセスや関係性を再構築することが求められます。それは外野が想像している以上にパワーがかかるものです。

たとえば、私が懇意にしているある老舗メーカーさんは、今でも代理店や販売店との受発注業務の大半をFAXに依存しています。

それをデジタルネイティブな若い人が「ファ、FAXwwwww 昭和www」と草を生やして揶揄するのはかんたんですが、取引先の多くが FAX での受発注に業務を最適化している以上、そのメーカーさんには FAX に適応した業務フローを維持するインセンティブがあります。


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自社だけを変えるのはかんたんだとしても、自社を取り巻くワークフロー全体を切り替えるには、その何十倍もの労力が必要です。やり方を間違えれば商流は滞り、取引先を失いかねない。

日本には約400万の企業が存在しますが、それぞれに必要なデジタル化のレベルは企業ごとに違います。一つとして同じものはない。

デジタルにいきなり転換(Digital Transformation)する前に、アナログの業務をデジタルに置き換えるデジタル化(Digitaization)が必要なケースが多いですし、既にデジタル化されているプラットフォームや SaaS を利用して業務改善や販売促進をするデジタライゼーション(Digitalization)だって、まだまだ道半ばです。

そして、その先にある DX は、人や情報の構造を再構築していくことが必要な長い道のりです。バズワードとして短期に消費するような概念ではなく、本来はもっともっと尺の長い実際的な取り組みであるはずです。

だからこそ、求められているのはシステムを納品して終わりの一過性のお付き合いではなく、顧客体験とワークフローの変革を過程を一緒に伴走して見届ける仕事なのではないだろうか。そんなことを様々な企業さんとお話してきた中で感じています。

もちろん、求められるかどうかは自分たち次第なんですけど、とにかく、そういうことをやらなきゃいけないと、妙な使命感が今はあります。


具体的に何をするのか

じゃあその使命感を具体的にどんな業務に落とし込むのか。これが大事です。概念や使命感でメシは食えませんからね。

ただ、これが本当に説明しにくい。企業によってコンディションが違うので、誠実に対応すればするほど毎回提供するサービスが変わるからです。

一方で、説明しにくいものは売れません。これは世の中の真理です。なので、分かりやすくしないといけない。

というわけで、ものすごくざっくりいいますと、Shopify に代表されるEコマース支援はやっていきたいと考えています。


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なぜEコマースか。

マクロ的な理由は、Retail Industry があらゆる業種の中でも最大の市場の一つであり、技術革新と環境変化の影響を受けて変化が激しく、最も成長している分野だからです。ここにトライしない手はない。フィードフォースグループとしても以前から小売向け広告で強みがある分野でもあります。

さらに、Eコマースは既にデジタライゼーションができている競争環境でもあります。Amazon や Google といったEコマースの情報流通を牛耳っている巨大プラットフォームがあり、SNS の隆盛によってメディアとコマースの垣根は曖昧になりつつあります。

そして Shopify のようなマーチャントの基盤となる OS もできつつある。これまでフィードフォースが培ってきたデータの構造化や製品フィードといった技術(を扱う思考回路)は、そういった市場環境において OS とプラットフォームをつなぐ配線の役割を担えるのではないか。まさに再配線(Rewire)じゃないかと。

ミクロ的な理由は、私がEコマースにまつわる技術が好きだからです。好きこそものの上手なれ。

Google のショッピング広告は PLA(Product Listing Ads)と呼ばれていた9年前からワーワー言ってましたし(そのおかげで ECZine という翔泳社さんのメディアでも連載を持たせていただいております)、何よりリセッション下ではモノやサービスが売れて、雇用や文化が継続できることが大事です。コマーステックはそれに貢献できるはず。役に立つものに携われるのは楽しいです。だから好き。

Cookie の賞味期限が迫っている今、あらゆる分析業務は岐路に立たされていますが、目の前で誰かがモノを買ったという事実は、Cookie の保持期間とは関係ありません。データがどうこうではなく、人間社会ができてから脈々と続いてきた小売という商いの現代版が目の前にあるというだけです。それを自分たちがお手伝いすることで伸びたり可視化できたりするなんてワクワクするじゃないですか。

そんなわけで、会社をつくるのは初めてではないのですが、始まる前からそれなりに高揚しています。これから先にたくさんの Hard Things が待ち受けていると思いますが、少し先の未来でこの note を読み返して笑えるように、今の気持ちをパッケージしておきます。

リワイアは10月に始動いたします。何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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