初めての北アルプス - 薬師岳1泊2日(荷物リスト付)
8月6日・7日の1泊2日で北アルプスの薬師岳に登ってきました。高山も山小屋泊も初めてだったので、モンベルアウトドアチャレンジのツアー(ガイド付)に参加したので、その模様も含めて記録を綴ります!
ツアーってどんな感じ?
ツアー参加者(8名)は、北海道・福島・東京・高山・名古屋・大阪・山口と全国各地から集まっていました。年代は70代・60代・50代・30代とバラバラで、意外だったのはみんな1人参加だったこと。そして私以外の参加者はみんなツアー経験者でした。薬師岳下山翌日に白山に登るという60代の男性がいたり、翌週に燕岳に登る30代の女性がいたり、槍ヶ岳経験者が複数いたり、とにかく猛者だらけ。でも疲れが出始めたら楽しい話をしてくれたり、トラブルが起こったら持ち物を出し合って助け合ったりと、気持ちのいい人ばかりでした。ガイドさんや他の参加者さんから歩き方や靴の履き方、山小屋のマナーなど基礎的なことをたくさん学べたのがすごくよかったです。
迷いに迷ったパッキング。リスト大公開!
登りはどれくらい暑いのか、山小屋や頂上はどれくらい寒いのか、山小屋の乾燥室でちゃんと服が乾くのか、適量の水ってどのくらいなのか、1泊2日分の行動食ってどのくらい必要なのか・・・???これまでの低山経験だけでは想像がつかないことが多すぎて、パッキングには相当悩みました。
「てんきとくらす」で数日前から天気予報をにらめっこし、どうやら荒天にはならなさそうだと考え、当日出発直前にシャミースジャケット(フリース)を置いていく判断をするなどギリギリまで何とか軽量化できないか頭を巡らせました。
で、悩みに悩んだパッキングの結果がどうなったのか?noteに書ききれそうにないのでスプシにまとめてみました!
少し補足すると、終わってみて思うのは相当天候に恵まれた2日間だったということ。1日目の登りはほとんど曇りで直射日光に体力を奪われずにすみ(それでも大量の汗はかいた)、山小屋も温かく、山頂アタックもウインドシェルとレインウェアで足りる程度の風しかなく、下山時は雲一つない晴天で直射にさらされたものの、太陽を背にして歩く時間帯が長くストレスはそれほど大きくなかった。
もっと荒天だったら、もっと風が強かったら、もっと日差しが強かったら、もしかしたら下山まで終えられなかったかもしれない。一緒に登った人たちも「ちょっとつまづいて頭から転倒したことがある」「下山時に転んで脛骨骨折で歩けなくなり、近くの山岳部の人がおぶって下山してくれたことがある」とヘビーな体験談を聞かせてくれて、自分の身体と対話しながら一歩一歩負担が蓄積されないように踏みしめて集中して歩かないと、何が起きるかわからないなと痛感しました。
究極のヨタヨタ歩きをマスター
登りは「足裏全体で一歩一歩踏みしめる」を意識して歩くようにしたのと、ガイドさんがかなりゆっくりペースで歩いてくれたからか、想像以上に脚の痛みも少なく、自分でも驚くほど!
が、登山の真髄は下山にあり。
百戦錬磨のツアー参加者の皆さんいわく「いやぁ、登りに使う筋肉はストレッチとか筋トレで何とかなるんだけどね」、ガイドさんいわく「下りに必要な筋肉は下山でしか身につかないから、落差のある岩場を降りる回数をもっと増やした方がいいね」とのこと・・・。
薬師峠の岩場を降りたあたりから膝始め脚全体が使い物にならなくなり、身体全体を支えることすらままならなくなる。ガイドさんが30~40分に一度、「もう無理かもしれない」と思う絶妙なタイミングで休憩を取ってくれるおかげで何とか気力を取り戻し、気力だけで歩いていた感じ。
そのときにガイドさんが「今って脚に全然力が入らないでしょう。その歩き方が理想の歩き方。登りの最初からそれをすると、疲労度が全然違ってくるよ」と教えてくれました。
そのときはわかったようなわかってないような、だったけど、下山後に立ち寄ったスーパー銭湯で完全にわかった。そう、お風呂の床で滑らないように、でも脚に力が入らないからそろりそろり力なく足を前に踏み出すしかない、その歩き方こそが!山での理想の歩き方だったのね!!
次に山に登るときは、最初から「脚全部どうにもならないくらいの筋肉痛なんです」のテイで歩いてみようと思っています。笑
一瞬一瞬目が離せない景色
登りの道中、薬師平あたりから周囲の山々が見えるようになってきて思ったのは「ちょっと目を離した一瞬でなんで景色がこんなに変わっちゃうの!??」ということでした。
きれいに見える山並みに癒されながらも、足元に注意せねばと下を向き、ちょっと安定したからと顔を上げると、雲みたいに濃い霧が山を覆ってしまっている。
山頂アタックに向かった夜中4時。周囲は濃い霧に囲まれ、頂上についてからも眼下は霧に覆われて何も見えない。みんなが諦めかけていたけれど、ガイドさんの「日が昇って温度変化が起こると霧が流れていく。少し待ったら見えるかも」という言葉通り、本当に文字通り「さあっ」と霧が流れていく!刻々と変わる景色に息を飲んでしまいました。
山小屋のおもてなし
社会人経験が長くなるにつれ、世の中にはいろんな仕事があることがわかってくる。目立たない裏方の仕事がどれだけ大変か、想像の範疇を超える仕事だってたくさんある。今回の登山で感じたのは、山小屋の仕事のすごさでした。
山開き前に雪が残る山を登り、小屋のメンテナンスをしたり、食材の管理をしたり、掃除をしたり、トイレットペーパーの焼却処理をしたり、登山道の整備をしたり。
夏は標高2,600mの山小屋で仕事をして、冬は麓で暮らす。どんな生活なのか想像もつかないなぁ。
太郎小屋で食べたラーメン(チャーシューが絶品!)、薬師岳山荘についてすぐに食べた白玉あんみつ、夕食と、ごほうびにつけた缶ビール。山頂アタック後に食べまくった朝食。どれもここまでにどれだけの人手と時間と手間がかかったのだろうと想像するだけで胸がいっぱいになってしまう・・・。
京都とか観光地の値段を考えたらむしろ安すぎるくらいの値段だし、ごはんも味噌汁もおかずも麓で食べるのと遜色ない美味しさだし、ほんとにほんとに山小屋は素晴らしい!!!!
治る気配のない筋肉痛
下山の後銭湯でお風呂につかり、水風呂で脚全部冷やし、湿布を貼り、アンメルツヨコヨコを塗り(ガイドさんいわく、筋肉の張りには冷却が一番らしい)、できそうなことはすべてやったけど、とにかく激烈な筋肉痛が全然治らない!!!
下山直後は登山靴がアンマッチなのか足首周りの腫れや内出血、膝がとにかく痛かったのだけれど、時間があれば脚を揉みまくり湿布で冷やしたのが功を奏したのかどの部位も翌日には回復。
一方で最後まで痛みが残ったのは(というか現在進行形でまだ全然痛い)、太ももの前とふくらはぎ。畳に座っているところから、腕力の助けなしでは立ち上がれない。もはやバンビ。世の中のバリアフリーが進んでいてほんとに助かった。トイレも階段も手すりがある!涙
冷静に考えて、普段全然運動してなくて下半身太りが進行していて太ももの筋肉なんてほぼ皆無なんだから、筋肉痛になるのは当たり前っちゃあ当たり前か・・・。帰ったら地道にスクワットしよう。次の登山後に苦しまないためにも。
登山の奥深さ - 一歩一歩の積み重ね
今回、約22kmを約17時間かけて歩き切ったわけですが、それだけの時間歩き続けようと思うと、結局最初から一歩を大事にしないといけないんだと痛感しました。例えば岩場でたまたま踏んだ石の角度が悪くてバランスを崩してしまう。その時は大したことなくても、それは確実にダメージとして蓄積されているわけです。下山時(疲労はピーク)、脚に力が入らなくなったとき「こういう何でもないところでつまずいて転んで骨折、なんてことは全然起こり得るよなぁ」と思いました。
こんなに経験も筋力もない私がケガなく下山できたのは、たまたま運がよかっただけ。自然の中に入らせていただいて、自分の脚で行って帰ってくる、というだけなのだけれど、すごく謙虚な気持ちになりました。
ツアーで一緒だった方がみんな「あの山はよかった」「槍ヶ岳は最高だった!」と目をキラキラさせながら熱く話してくれて、私もいつか行ってみたいなぁと思ってしまったので(笑)、とりあえずこの筋肉痛が回復したら次の山探しと筋トレをまた始めようと思います。なんであんなにしんどいのにまた行きたくなっちゃうのかなぁ。山は不思議だ!
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