【NIKKEI】日本のデジタル化は、まだまだ遠い

 引用した記事の内容は、政府がデジタル技術を用いて都市と地方の格差を埋める「デジタル田園都市国家構想」の対策を決定した、というもの。加えて、その進捗は良くない。個人的に気になるのは、何の「格差」を埋めるのか、が記載されていないことだ。あくまでも、新聞記事のみによる情報だが、これでは目的が不明瞭で具体的に何をするのかが分からない。
 政府はデジタル人材を「エンジニアやデータサイエンティストなどの高水準のIT(情報技術)専門家」としている。ただし、現時点での人数を把握しているわけではない。また、自治体の取組に応じて、交付金等の補助金の施策を打ち出している。

DX人材の獲得は半年以上前から課題

 多少の定義の違いがあるのかもしれないがDX人材やデジタル人材は、概ねデジタル技術に精通してりる人材と理解できよう。うる覚えで申し訳ないが、半年ほど前の日経新聞では、民間企業のDX人材獲得に関する記事が頻繁にあったように思う。しかしながら、さほどの成果は記事にはなっていない印象だ。そうした現状の中で、打ち出されたのが今回の施策である。少なくとも現状、デジタル人材は存在しない。民間企業のDX人材の獲得が上手くいっているのならば、それが新聞記事になるからだ。
 大きな課題として認識されながらも、長らく解決するに至らないデジタル人材の確保、は終着するのだろうか。どうしても推察が多くなってしまうが、考察していきたい。

デジタル格差は環境以上に根深い問題

 デジタル人材の獲得方法は、大きく2パターンあると考えている。
 一つ目は、デジタル人材の登用(中途採用)だ。一般的なイメージはこちらだろう。しかしながら、そもそもデジタル人材がいないのだから、少なくとも日本では確保のしようがない。デジタル戦略の構築から実装まで、知識力と実行力まで備えている人は、かなり限定されるだろう。機能別に必要人材を集めるしかないのではないだろうか。
 もう一つは、デジタル人材の育成だ。ここでも、社会人経験者と社会人未経験者で別れると考えている。社会人経験者は、経験が資産化しているため未経験者として新しくキャリアを踏み出すことへ対する心理障壁は大きいものだろう。一方で、学生はどうだろう。細かく記述することはしないが、概ねデジタルへの素養があると言ってよい。生まれた頃からスマホやパソコン・タブレットに囲まれ生活してきたのだから、様々な点で考え方に違いがあるだろう。
 このように考えてみると、インフラを整えたり、補助金等の制度を整えたところで、簡単にうまくいく状況ではない。例えば、経験資産による心理障壁を取り除く、デジタルに素養がある学生を専門家に育成する、施策が必要である。

まとめ

 ついに、行政もデジタル人材の獲得に向けて動き出したという印象だ。しかしながら、それらしいKPIを設定し、達成すると補助金がもらえるというものでは、企業の転換が進むことはないだろう。そもそも、デジタル人材がいないのだから、企業に対してではなく、個人に対して補助金なりプログラムなりを用意するのがいいのかもしれない。
 

 

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