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一般入試・総合型選抜・学校推薦型選抜の特徴解説!どの入試が有利?

これから大学受験を控える受験生や、学校推薦型選抜を狙っている高校1~2年生はどの入試形態が有利なのかと考える方も多いと思います。例えば、高校の進学クラスではクラスのみんなが一般入試や大学入学共通テストを受験し、総合型選抜を受験する人は肩身がせまいと感じていたり、逆にクラスのほとんどが12月までの年内で総合型選抜や学校推薦型選抜で合格するため一般入試の勉強を続けるのが大変など、いろいろな状況もあるのではないでしょうか。

こちらの記事では一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の違いや特徴を紹介します。また大学の入試担当者目線として考える、有利な一般入試や総合型選抜について解説します。
一般入試、総合型選抜、学校推薦型選抜の特徴を理解することで入試ごとの特徴や、自分の強みを活かせる入試区分を選べるようになります。

私立大学の一般入試、総合型選抜、学校推薦型選抜の概要

大学入学のための試験では文部科学省から毎年発表される「大学入学者選抜実施要項」に基づき、以下の方針のもと各大学が選抜方法などを定めています。

入学者の選抜は、調査書の内容、学力検査、小論文、「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告(平成29年7月)」(以下「見直しに係る予告」という。)で示した入学志願者本人の記載する資料等*により、入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法(以下「一般選抜」という。)による。

https://www.mext.go.jp/content/20230719-mxt_daigakuc02-000005144_10.pdf

一般選抜以外も含め、大きく分けると大学入試は以下の4つに分類できます。
大学入学共通テスト利用選抜は一般選抜の一部ですが、受験生からすると大きく異なりますので分けて考えた方が分かりやすいでしょう。

  1. 一般選抜

  2. 大学入学共通テスト利用選抜

  3. 総合型選抜

  4. 学校推薦型選抜

また近年の大学入試全体の傾向はこちらの記事で詳しく解説していますが、大学担当者は以下のようなことを考え入試制度を設計しています。

https://note.com/admission_lab/n/need5205f76cd

  • 少子化に伴い、受験生の数が減っている

  • 偏差値をキープするためには、一般入試での受験者を増やし・倍率をつける必要がある

  • 総合型選抜などの年内入試で多く確保することで、入学者の確保と偏差値のキープを狙うことができる

一般入試って何?

一般入試は、主に学力を問う問題が出題されます。大学独自の問題をキャンパスや、外部会場に受験しに行きその結果をもとに合格者の選抜が行われます。大学ごとに受験すべき科目が異なり、科目数も「2科目」「3科目」など異なります。また、大学によっては「外部の英検等の資格を加算する」などの制度を設けていることもあり、大学ごとのアドミッションポリシーに沿って試験が行われます。

大学入学共通テスト利用選抜とは?

毎年1月に行われる、大学入学共通テスト(旧センター試験)の結果を各大学に提出し、そのスコアをもとに合格者の選抜が行われる入試です。各大学への出願の際に大学入学共通テストの「成績請求番号」を登録することで、各大学は受験者の共通テストの結果を取り寄せることができます。
一般選抜同様に大学ごとに受験すべき科目が異なり、科目数も「2科目」「3科目」など異なります。
大学のキャンパスへ行くこと無く受験ができるため、複数の大学に負担が少なく出願ができる入試でもあります。

総合型選抜とは何か?

一方、総合型選抜は、一般の筆記試験だけでなく、面接や小論文、課外活動の実績など幅広い視点から受験生を評価します。総合的な能力や特技を活かしたい受験生にとっては選択肢となる入試形態です。
また、学力試験ではなく、大学での学びへの意欲によって選抜が行われるため大学や学部・学科への理解をしっかりと行う必要があります。

学校推薦型選抜の特徴は?

学校推薦型選抜は、高校側が推薦する受験生を対象に行われる入試です。学業成績はもちろん、課外活動での実績や人間性を重視して選ばれます。「指定校推薦」をイメージする方も多いかと思いますが、各大学が実績のある高校に与える指定校以外にも、条件を満たしている学生であれば出願できる「公募制」の学校推薦型選抜もあります。
推薦を受けられるかどうかは、高校の内部基準や各大学の要件によるため、早めの準備が求められます。

これらの入試種別の違いについて詳しく解説してきましたが、実際には大学によって試験内容や選抜方法が異なるため、自分が進学したい大学の詳細を確認することが重要です。

これらの入試種別の違い

各選抜ごとに必要となる能力や科目数、対策などが異なりますので、自身の強みを活かせる入試を探すことで合格に近づくことができます。

選抜方法の違い

選抜の方法は学力重視のものや高校時代の成績など大きくことなります。

  • 一般入試(一般選抜)
    主に高校で身につけた学力を大学独自のテストで測り選抜をします。
    中にはテストのスコアだけでなく、英検などの外部資格の取得が加算される大学もあります。

  • 大学入学共通テスト利用選抜
    こちらも高校で身につけた学力を測るものですが、大学独自の試験ではなく全国で一斉に行われる「大学入学共通テスト」を受験し、そのスコアで選抜されるものです。

  • 総合型選抜
    総合型選抜では主に意欲や思考力が問われます。主には面接やグループ面接、小論文、志望理由書などで選考が行われますが、最近は高校での探究学習の成果をプレゼンテーションするものや、英語でのプレゼンテーションなど多様な選抜が行われています。
    総合型選抜が最も大学ごとの特徴がでる選抜ですので、学部・学科だけでなく、入試制度についても確認が必要です。

  • 学校推薦型選抜
    学校推薦型選抜では主に小論文・面接が行われます。学校からの推薦を受けているものが受験するため、面接などでは高校時代に頑張ったことや志望理由といった基本的な質問が多い傾向です。

出願方法の違い

  • 一般入試(一般選抜)
    一般入試では評定基準や外部試験などの出願要件はなく、だれでも出願が可能です。出願の際に受験科目を選択するため、自分が目指す学部・学科ではどの科目が必要か、範囲はどこまでかといった確認が必要です。

  • 大学入学共通テスト利用選抜
    こちらも評定基準や外部試験などの出願要件はなく、だれでも出願が可能です。出願の際に大学入学共通テストの「成績請求番号」を入力することで、自動的に共通テストの結果が大学に通達されます。

  • 総合型選抜
    総合型選抜の出願では、大学ごとに評定基準や外部試験の出願要件を設けている場合があります。また、意欲などを多様な方法で測るため、出願の際に小論文や課題の提出が求められる場合がありますので、各大学の出願要件を必ず確認しましょう。

  • 学校推薦型選抜
    学校推薦型選抜では名前の通り、「学校から推薦された者」が出願することができます。そのため出願の際には学校長からの推薦書といった書類が別途必要になります。高校によってはすぐに推薦書が準備できない場合がありますので、余裕を持って確認しましょう。また学校長からの推薦書などには大学ごとの書式が用意されている場合が多いので、HP等で書式を確認し高校の先生に依頼をしましょう。

評価の違い

  • 一般入試(一般選抜)
    学内試験のスコアで順位を算出し、順位ごとに合否が決まります。調査書を得点化し、テストの結果に加算する大学も一部出てきていますが、現状はテストのスコアで評価されていると考えていいでしょう。一部の面接併用する一般入試以外の場合は、点数を満たしていれば高校時代の欠席日数などを理由に不合格にすることもできない入試です。

  • 大学入学共通テスト利用選抜
    こちらも一般入試同様に共通テストのスコアで順位を算出し、順位ごとに合否が決まります。

  • 総合型選抜
    大学での学びへの理解や意欲、また思考力などが評価されます。「なぜその学部か」を深掘りして準備すると良いでしょう。
    興味を持った原体験や、探究の授業で調べた内容を深く研究したいといった具体性が求められます。

  • 学校推薦型選抜
    「学校から推薦された者」ですので、特に指定校入試についてはほとんどが合格します。公募型の学校推薦については、総合型選抜同様に大学理解について具体的に話せているかなどを評価します。

どの入試種別が有利?

どの入試が有利かどうかは大学ごとに異なりますが、昨今の大学入試の状況をもとに以下のポイントを調べると有利な入試が推測できますので、参考にしてみてください。

募集定員の比率

各大学は入試概要などで、各入試の募集定員を定め発表しています。
ここで注目してほしいのは「推薦系の入試は募集定員≒入学者数」といった点です、年内入試では多くの大学で専願(合格したら入学することが条件)の場合が多いです。なので、自分が志望している学科の入学定員から推薦系の入試の募集定員を引いてみましょう、そうすると一般入試と推薦入試の比率が見えてきます。
この時に、一般入試の募集定員も気になるでしょうが、公表されている一般入試の定員はあまり参考にならないと考えてよいでしょう。一般入試では合格しても全員が入学するわけではないため募集定員以上に合格を出します。
なので、「入学定員-年内入試の募集定員=一般入試の実質の入学者」とみることができ、その大学・学科がどの入試で多く入学者を確保しているかが分かるので、有利な入試が見えてきます。

前年定員割れをしている学科

もし前年の入試結果で定員割れをしている学部・学科があれば、今年度はその学科の総合型選抜・学校推薦型選抜で多く合格を出すと予想できます。大学の入試担当者は単年での入学者数もコントロールしますが、4年間での在籍者数も注視しています。大学も一種の箱物ビジネスですので、定員ギリギリまで在学生がいないと財務が成り立ちません。
しかし、以前も解説したように一般入試で多く合格を出すと偏差値が下がるリスクがありますので、前年定員を割っている学科については総合型選抜・学校推薦型選抜など偏差値への影響がない入試で学生を確保します。

前年定員割れをしている学科が属する学部の他学科

こちらも前述のとおり総合型選抜・学校推薦型選抜で多く合格を出すと予想できます。大学というのは学部全体での定員数を基準としているため、定員割れをした学科と違う学科でも入学者を確保し、学部全体で人数を確保したいと考えるため、前年定員割れ学科と同じ学部の他学科が狙い目です。

一般入試の中で募集定員が少ない入試区分

大学の偏差値は「一番募集定員が大きい入試区分」のものが主に公表されます。そのため、偏差値を下げたくないと考える大学は、募集定員が大きくない入試区分で合格を出しやすいといえるでしょう。
一般入試でのⅡ期や中期試験、共通テスト併用型などの入試が狙い目です。
一般入試の区分を細分化し、偏差値のコントロールを行っている大学は結構多いです

昨年高倍率の学科

大学の入試担当として数年入試の状況を見ていると必ず「隔年減少」というものがあります。これは前年高倍率だった学科・入試は懸念され、今年度は倍率が下がるといったものです。逆に昨年、倍率が低かった学科・入試は今年度高倍率になるといった状況が発生します。
受験生からすれば、昨年高倍率だった学科に出願するのは勇気がいるものですが、昨年高倍率の学科は狙い目といえます。しかし、毎年高倍率がついている学科は継続して倍率が高い可能性があるので、前年より前の倍率も確認すると良いでしょう。また、昨年高倍率の学科を志望する場合は、総合型選抜・学校推薦型選抜などで入学者を確保することが予想されるため、推薦入試で合格する可能性が高いかもしれません。

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