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#佐藤可士和展 で見た創造の設計図


こんにちは。㈱アドパブリシティ 特派員のツボツボです。


皆さんは佐藤可士和さんをご存知ですか?


今、国立新美術館で開催されている佐藤可士和展に行ってきました(開催は2021年5月10日まで)。

佐藤可士和(さとう・かしわ) 
1965年、東京出身。名前は、士(さむらい)の強さと平和な心を併せ持つように、とロシア語学者の祖父が命名した。多摩美術大学卒。
博報堂で「ホンダ ステップワゴン」の広告などを手掛け、2000年に独立。
"士"の文字にあやかり、クリエイティブスタジオ「SAMURAI」を立ち上げた。

名前は知らなくても、佐藤可士和さんの手掛けた広告やプロダクトを見れば「あ、見たことある!」というひとがほとんどだと思います。

個展は撮影OK(動画は不可)だったので、まずは佐藤可士和さんの作品をご覧あれ。百聞は一見に如かず。

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ホンダ ステップワゴン


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日清食品


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セブンーイレブン


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ユニクロ UT


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Smap(2000年)


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Mr.Children『シフクノオト』


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楽天


当時の大人気アイドルの広告に顔を出さないのは画期的過ぎます。SMAPという存在が顔を見せなくても世間に知れ渡っていたからこそできた発想。

同じように車の広告もボディや走る姿を見せるのではなく、家族で車に乗るワクワク感が表現されています。奇抜なアイデアやアッと言わせるサプライズではなく伝えたい本質がカタチになっているのです。


なぜ佐藤可士和のデザインは生活に浸透するのか?


作品の一部を見るだけで、佐藤可士和さんの仕事の幅の広さに驚かされます。もはや広告の領域を超えた守備範囲。それは内野手なのに二遊間の打球だけではなく、ホームラン性の当たりもフェンスによじ登って取ってしまう異次元の世界ともいえます。


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外で目にするロゴたちは、気が付けば私たちの生活にしっくり馴染んでいます。デザインはスパイスではなく、白ご飯といったところでしょうか。


デザインに見る「潔さ」


なぜデザインが違和感なく生活に溶け込んでいるのか。佐藤可士和さんの本にはこう記してあります。

直線(的なもの)が好きなのは「潔い」からだ


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改めて見ると潔さにも程がある(笑。私も写真を撮りながら少しでも斜めに写っていると気持ち悪さを感じるくらい直線に敏感になっていました。

佐藤可士和さんのデザインは誰もいない障害物のない一本道を見た時の心地よさに近いのかもしれません。

「潔い」からこその心地よさ。トレンドといった時代や特定のひとの好みにこだわってしまうと途端に廃れてしまう。伝えるの本質を見失わないために絶妙な境界線を設計図に落とし込んでいるのです。


設計図に見るデザインの境界線


実際の個展では設計図の展示もされています。私はこの設計図に大いに魅せられました。世に出るモノ・コトの裏側や背景といったプロセスには必ずストーリーがあります。

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一切妥協を許さない、これぞプロの仕事を見せつけられました。とても自分にできる芸当ではないなと痛感させられます。自身が何かしらアウトプットを創り出すとき、佐藤可士和が自分の仕事を見たらどう思うか、そう思って仕事をしたいものです。


設計図についても佐藤可士和さんはこう言っています。

設計図が好きだ。そのとおり作れば再現できる。
音楽にも譜面という設計図がある。
僕もデザインにおける譜面図のようなものを作りたい。

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設計図による再現性の凄さはセブン―イレブンの商品デザインで見て取れます。1,700を超えるプライベートブランド(PB)の全アイテムをカテゴリーごとに整理し、デザイン戦略を再構築したそうです。店の顔である商品に統一感を出すことが答えだったわけです。

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「整理」することで導かれる答え


 佐藤可士和さんの仕事は「目にするモノ」だけに留まりません。三井物産の社員が新聞広告を作るプロジェクト「三井物産 Advertising Pro-ject」ではブランディングをこう定義しています。


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ブランディングとは本質的価値をもとに戦略的イメージコントロールを行っていく活動の全てであり、その99%以上はロゴやスローガン制定後の現実的アクションが占める。


「三井物産 Advertising Pro-ject」では、プロセスが惜しげもなく展示されています。方向性が導き出され、且つそのプロセスが誰にでも分かる表現がされていれば迷うことはありません。


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模索→分解→整理→精密化


幼稚園「ふじようちえん」をデザインしたプロジェクトでは、園長先生の頭の中が「整理」されています。顧客との対話から答えを導き出す、そして答えまでのプロセスが社員に可視化されれば納得・安心して顧客に向き合うことができる。

ブランディングの「ING=進行形」の道しるべを分かるように示しているからこそ、異議を唱えやすい前向きな議論も生まれるのだと思います。

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WeとSocityの接点に生まれる広告


プロセスが可視化されている展示では、広告メッセージも定義されています。常に相手に理解されるコトバを心がける。相手に理解されていないのだとしたら、自身の翻訳力が足りないからである、と。何かと専門用語に頼って説明しようとする自分も見習わなくてはいけません。


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広告メッセージは受け手側のコトバへの「翻訳」


私と佐藤可士和さん


最後に私と佐藤可士和さんのことを語らせてください(笑。

私が佐藤可士和さんを知ったのは広告批評だったと思います。広告屋の端くれとして社会人になった私にとって、異彩を放ち、時代を引っ張る佐藤可士和さんは憧れの存在でした。

2007年当時、佐藤可士和さんが出版物を出したタイミングでサイン会に行きました。

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そのときに貰ったサインがこちら。


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そのときの佐藤可士和さんとの会話


私:佐藤可士和さんの「士」から、息子の名前に「士」を付けさせてもらいました!その名前も書いてもらっていいですか?
可士和さん:「お~そうなんですか!ありがとうございます!」


ちょうどそのタイミングで生まれた、息子の名前に「士」を付けるほど佐藤可士和さんに影響を受けていたのです。命名の際、外国人に名前の由来が説明できるといいなと思い、日本人であること=「士」を付けました。(私の下の名前が雄弘なので「雄士」と名付けました)


まとめ


1.日常に溶け込むデザインたち
2.潔さを象徴する直線的なモノ
3.デザインの譜面図を表す設計
4.整理により導き出される答え


ここまで佐藤可士和展をまとめてきましたが、くれぐれもこの記事を見ただけで「行った気分」にはならないでください。是非自身の目で体感してきて頂きたいと思います。そういう意味で東京以外でも開催してほしい!と切に願います。

自粛生活も時世を見ながら少しずつ緩和されていくことを願いつつ、気軽に美術館巡りできるようになって欲しいですね。そのときは佐藤可士和展、名古屋に来てちょ~よ~。

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佐藤可士和展は2021年5月10日まで。密を避けるため、チケットはオンライン予約がおススメです。


佐藤可士和展の記事後の自社紹介はなんだか身が引き締まります(笑)が、デザインやマーケティング、SNSのご相談は㈱アドパブリシティまで!