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生産性とは、罠なのか⁉︎

人間の平均寿命が80年くらいと考えた時、それははたして長いのか?短いのか?

百獣の王であるライオンの平均寿命が15年くらい、ライオンすら恐れて闘いを挑まないゾウの平均寿命が70年くらい、(陸の生物ではないが)野生のアオウミガメの平均寿命が80年くらいだそうだ。

つまり人間の平均寿命はアオウミガメと同じくらいで、それは他の生物と比べるとやはり長いほうなのだろう。


しかし80歳まで生きるとして、あなたの寿命は4000週間ですと言われたらどうだろうか?

私はもう40代後半なので、残り1700週間くらいしか生きられないと考えると、何だかすごく短いような気がしてくるのである。


『限りある時間の使い方』という、ものすごくストレートなタイトルの本を読んだ。


この本はの原題は
“FOUR THOUSAND WEEKS”(4000週間)である。

私たちは限りある時間である4000週間を、どう生きるべきなのか?という究極の問いに答える本である。


著者のオリバー・バークマンは言う。

問題の核心に近づいていくと、さらに深いところに、なんとも言いがたい感覚が居座っていることに気づく。
どんなに大量の仕事をこなしても、どんなに成功しても、自分は本当にやるべきことをやっていないのではないか、という感覚だ。
本当はもっと重要で充実した時間の過ごし方があるんじゃないか。今こうやって黙々とこなしている仕事は、本来やるべきこととは違うんじゃないか。
限りある時間の使い方

現代人はとにかく忙しい。

もっと多くの仕事をこなしてもっと多くの会議に出て、もっと稼いでもっといい暮らしをして…

そんなことで頭がいっぱいになっている現代人は少なくない。

効率化やタイムマネジメントなど、日々の生産性を上げるための本やウェブサイトはうんざりするほど出ていて

世の中は、もっともっと多くのタスクをこなしたい!という、半ば悲鳴のような声であふれているのではなかろうか。


そう、全てはわれわれの命(時間)が限られているからなのだ。


著者は言う。

しかし、生産性こそが罠だったのだと。


経済学者ケインズは1930年に、「われわれは100年後には、富の増加と技術の進歩のおかげで、みんな週に15時間くらいしか働かなくなるだろう」と予言したそうだ。

「人の悩みは忙しいことではなく、ありあまる余暇をいかにうまく過ごすかということになる」と。

しかし残念ながら、ケインズは間違っていたと著者は言う。

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールはかつて、現代社会の生活をベルトコンベアにたとえた。古い仕事を片づければ、同じ速さで新しい仕事が運ばれてくる。「より生産的に」行動すると、ベルトの速度がどんどん上がる。あるいは加速しすぎて、壊れてしまう。
限りある時間の使い方

PCやインターネットが普及し、携帯電話ができて(それがスマホになって)、私たちの生活は確かに便利になった。生産性が上がったのだ。

しかし生産性が上がれば上がるほど、私たちの生きるスピードまでが上がってしまった。そう、ベルトコンベアの速度が上がるように。

そして人は、もっともっと多くのタスクを処理したいという願望にかられるようになった。

つまり100年後の現代は、「暇をもてあます」というケインズの言うようにはならなかったのだ。


ではどうしたら、もっと充実した時間を送るとができるのか?われわれはどのように生きるべきなのか?


その答えは、この本の中にある。


一つだけヒントを出すならば、時間という存在は、一人の人間が独占できるものではないということだ。

時間は独占するものではなく、共有するものなのである。


日本には、「時は金なり」という諺があるが、金は独占できるし貯めることもできるが、時間にはそれができない。そういう意味で時間は、金よりもずっと貴重な存在なのかもしれないし

その使い方も、実は金とは全く違うものなのかもしれないということだ。


こんな世の中だからなのか、この本は今、日本でもベストセラーになっているという。

残り○○○○週間の時間を、あなたはどう生きていくのか?

ご一読あれ。



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