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必見!! 衝動性をコントロールする方法!!

『夜の街で豪快に飲み、一夜限りの関係を楽しみまくるプレイボーイ』

『とにかく喧嘩っ早くて、手当たり次第にストリートファイトをふっかけて相手を倒す、向かうところ敵なしの伝説の不良』

漫画に出てくる登場人物のこうした姿、衝動的な生き方を、何となくかっこよく描いていますよね?

実際、僕自身も衝動的な生き方に憧れて、20代から30代にかけてはハチャメチャに生きていました。

人間を衝動的な行動に駆り立てて消費行動などに走らせることは、ビジネスをする側にとってはプラスに働くわけですから、僕たちの身の回りには、「衝動的=かっこいい」という潜在的なメッセージが溢れています。


僕たちは常に衝動的に生きるよう追いたてられているといっても過言ではありません。

特に、ADHDなどの発達特性を持っていると、衝動性のコントロールはますます難しくなって、定型発達の人以上に、衝動的な生き方を送ってしまいやすくなります。

でも、そんな衝動に突き動かされるような、刹那的で退廃的(=風俗・気風がくずれ不健全になること)な生き方やめたくありませんか?

今回は、発達障害当事者でありバリバリADHD気質を持っているイルハンが、衝動をコントロールして生きることの素晴らしさ、衝動をコントロールする具体的な方法について書いていきたいと思います。


①人は何故衝動のままに生きるのか?

衝動性が特に顕著にあらわれるADHDの病態をひもときながら、人間が持つ衝動性について迫ってみましょう。

ADHDの不注意や多動については、様々な仮説が提唱されており、未だに決定的な解明には至っていません。

難しいことはおいといて、大きく分けると、[1]神経伝達物質の偏り[2]実行機能の弱さなど脳機能の低下、の観点から研究が進められています。

要するに、ADHDは、目先の利益に飛びついてしまうことを”抑制”する働きが弱い為に、不注意・多動・衝動性が際立ってしまうわけです。


ではなぜそもそも、人間にはこのような衝動性が備わっているのでしょうか。

ここからは、イルハン個人の私見になりますので、参考程度にお読み下さい。

太古の昔、人類は他の生物と自然の中で共生していました。

食物を育てるすべも知らず、山野を歩き回って、その日に食べるものや一夜を過ごせる場所を探して暮らしていたのです。

今のように、ゆっくり考えて計画を練る暇なんてなかったはずです。

食べ物を見つけたら大急ぎで胃袋におさめないといけなかったはずです。

危険な生物に出会ったなら、瞬時に、”闘争か逃走”の判断をして、命を守ったはずなのです。

つまり、衝動的な行動は、人類が過酷な自然の中で生きる上ではなくてはならないものだったのです。

現生人類の脳の奥底に鎮座する辺縁系と呼ばれる部位には、こうした原始的な機能が備わっています。

我々、ホモ・サピエンスが誕生したのは、諸説ありますが、約20万年前と言われています。

人間が文明を築き始めたのも、大きく見積もっても、たかだか数千年前。

理性的な行動を司る大脳皮質が発達してきたのも、人類の歴史からすれば、比較的最近の出来事なのでしょう。


そう考えると、人間というのは、本来衝動的な生き物なのかも知れません。

かしこぶって、知性だ理性だとさわいでいる人の方が、よっぽどヘンともいえるでしょう。


それでも、今この時代に生きる我々にとっては、衝動を抑制する術を身につけることは大切です。

太古の昔に逆戻りすることはできません。

僕たちは前を向いて生きていくしかないのです。


この人間社会で賢く生き、これからの世界を発展的なものにしていくためにも、いっしょに衝動性をコントロールする技術を身につけていきましょう。


②衝動的な生き方で失うもの


ここでは、衝動性が原因でこうむるさまざまな損害についてみていきたいと思います。


(1)不健康な生き方になる

 人間が特に衝動的になりやすいものの一つに「食習慣」があります。

現代社会には、視覚的に食欲を刺激する食べ物が沢山あります。

TVのコマーシャルやまちなかの広告、SNSには、これでもかといわんばかりの、おいしそうな食べものの画像があふれています。


それにつられて、衝動にまかせて食べたいものばかりを食べていると、確実に生活習慣病になります。

糖尿病、肥満、内臓疾患…。

じっさいに、生活習慣病の診断を受ける人は、激増しています。

僕が日頃臨床でかかわる患者さんのほとんどがこれらの病気を抱えています。

栄養指導や生活指導をしても、染みついた衝動的な食習慣はなかなか変えられず、苦しみながら亡くなっていかれる方があとを絶ちません。


(2)理性的な生き方ができなくなる

衝動に任せて生きていると、段々頭でしっかり考えて行動することができなくなります。

例えば、注目して欲しいがために衝動的に迷惑行為に及ぶ人々を見れば、そのことがよくお分かりになるかと思います。

もはや、一片の知性・理性も感じられません。


(3)人間関係が破綻する

今の時代、地球上に存在する人の大多数が、なんらかの”集団”に所属して生きていると思います。

こと、日本においては、ふつうに暮らしていたら、集団に属さずに生きることの方が至難のワザです。

そして、集団の恩恵にあずかって生きるには、絶対的に衝動を抑制する必要があります。

結婚しているのに浮気をしたり、些細ないさかいから相手に暴力をふるったり、腹が立つからといって部下や後輩を口汚く罵ったりしていたら、人間関係を良好に維持していくことなんてできません。



(4)様々な危険を招く

欲しい情報に瞬時にアクセスできて、あらゆる欲求に応えてくれるスマートフォン。

街を歩けば、スマートフォンに気を取られて、周囲の環境に全く注意が向いていない人をたくさん見かけます。

見てはいけないときにスマホをついつい見てしまう人は、衝動を抑えることがもはや全くできなくなっているのです。

そしてそれがとても危険なことであることは、いわなくてもお分かりかと思います。



(5)将来設計が立てられなくなる

 目先の利益に走ってしまうと、将来に向けた長期的な計画が立てられなくなります。

特に、経済面でその影響は顕著となります。

脳の辺縁系による短絡的な欲求充足の命令は、賭博行為や極端な消費行動をひきおこします。

その人間の脳内メカニズムを大いに利用しているのが、いわゆるギャンブルです。

楽しみ程度にそれらをするなら構わないのですが、多くの人が楽しみの域をこえてのめり込んでしまってるのではないでしょうか。

純粋にお金を増やしたいなら、他にいくらでも方法はあります。

株や投資も賭博に近いものがありますが、より長期的な視点に立たないと儲からない仕組みになっていますので、それらで儲けるにしても衝動をコントロールする必要があります。

意外にも、株や投資においては、衝動性の強い人こそ損をしてしまうそうです。

ヤケ買い、ヤケ喰いなども、一回きりならいいですが、つもりつもると将来のための資産を食いつぶします。


お金ほど、人間の欲求を刺激するわりに、増やすためにはとてつもない自制心が必要になるものは他ありません。

つまり、将来設計をしっかりするには、一攫千金をねらったり、衝動的な消費行動をすることなく、戦略的に資産運用をしていくことが重要なので、衝動性をコントロールする必要があるのです。



③自律的な生き方で得られるもの


(1)心も体も健康になる

 前章でみてきた通り、食に対する衝動的な行動をコントロールすることは健康に直結します。

糖質をなるべく控え、タンパク質・脂質・食物繊維をバランスよく摂ることで、全身の状態はまちがいなく改善します。

衝動的な食行動を控えることができたら、健康という無二の資産だけでなく、治療にかかる費用を削減できて経済的な資産をも守ることができます。

(2)他者とのコミュニケーションが円滑になる

 衝動的な行動をとってしまって人間関係をぶちこわした経験をお持ちの方も多いはず。

かくいう僕も、過去には、とっさに手が出てしまったり、暴言をはいてしまったりして、人間関係をぶち壊してしまったことがあります。

どんな罵詈雑言を浴びせかけられても、どんなに不当な扱いを受けても、やるべきことは一つ。

衝動性をコントロールして、粛々となすべきことをなす。

それだけなんです。

今の時代、どんな対立においても、理性的にふるまった方が最後に勝つようになっています。

衝動性をコントロールして、アサーティブ(=相手も自分も尊重したかかわり)に自分の意見を伝えられると、多くの人があなたの味方になってくれます。


僕も、対人関係における衝動性を手放してからは、たくさんの人に助けてもらえるようになりました。

もちろん、まだまだ修行中の身ですが(笑)


(3)やりたいことができる人生を手に入れられる

 ここまで読んで下さった方なら、衝動性をコントロールして生きることで、何が可能になるか、何となくお分かりですよね?

健康な心と体があって、経済的な余裕ができれば、やりたいことができるようになります。

僕は、これから起業を考えていますし、家族ともいろんなところに旅行したいとも思っています。

オーロラもみたいし、海外のマラソン大会にも出てみたいです。


衝動的に生きていた頃なら絶対に不可能であったであろうこうした目標も、自律的な生き方を手に入れつつある今なら叶えられそうな気がしています。


さて、いよいよ最終章です。

ここからは、実践編になります。

確実な成果が期待できるものではありませんが、日々の生活に取り入れていただくと、間違いなく”衝動コントロールスキル”がUPすると思います。

発達障害当事者であり、現役医療従事者であるイルハンが実践して効果のあったものを厳選してお伝えします。


④衝動をコントロールする為のスモールステップ



(1)心身を健康に保つ

 疲れていたり、落ち込んでいるときにかぎって、衝動的にふるまってしまいがちですよね。

人間の神経伝達物質にもかぎりがあります。

衝動をコントロールするためにも、これら神経伝達物質の働きが不可欠です。

心身が弱っていてそれらが不足していると、衝動をコントロールできなくなります。


だから、あたりまえのことですが、しっかり栄養をとって、適度に運動をして、夜はぐっすり眠ることが大切です。

これらは意識するだけで、少しずつ改善していくことが可能かと思います。



(2)”衝動的な生き方は恥ずかしいこと”というマインドセットを持つ

 前述したように、衝動的な生き方をかっこいいと感じる気持ちは誰しもが持っていると思います。

本能的にそう思っている部分もあるでしょうし、メディアにそう思わせられてる部分もあるでしょう。

ですが、そういう生き方をやめたいのであれば、『衝動的な生き方は恥ずかしい』と自分自身に言い聞かせる必要があると思います。


僕は、マルクス・アウレーリウスの『自省録』を読んでいたく感動しました。

あれほど大きな帝国の皇帝でありながら、決して衝動性に流されることなく、気高く生きた彼の生き様に、人間としての真のかっこよさを見ました。


(3)衝動を抑制しなければならない場面を減らす

 これは、『意志力』という観点から説明できます。

衝動を抑制するためには意志力が必要になってきますが、意志力は体力とおなじく消耗するものです。

衝動を抑制しなければならない場面が多ければ多いほど、意志力は減っていきます。

そうなると最後の方は意志力が枯渇してきて「ええい、もういいや」と衝動的になってしまいます。


そうならないためにも、誘惑をなるべく遠ざけるといいです。


異性とつい関係を持ってしまいそうなら女性のいる場に出向かない、浪費家ならショッピングに行かない、腹が立つ相手にはなるべく近づかない、などの対策をとるのがいいです。

意志力に関しては、『WILL POWER 意志力の科学』という書籍をおすすめします。


(4)衝動を抑制するトレーニングを日頃から行う

 これまた『意志力』の観点から説明できます。

衝動をコントロールする意志力はきたえることができるのです。

衝動がわき上がったときにそれを抑えるには、ちょっとしたコツが要ります。

何故なら、ただガマンするだけではストレスがたまる一方で、長続きしないからです。

衝動が湧き上がったときに、それをうまくコントロールするには、瞬間的に視点を切りかえる、意識を他にそらせるなどのテクニックが必要なのです。

そして、このテクニックは一朝一夕には身につきませんので、日々少しずつ鍛錬していくことが大事です。

例えば、運転中などは良いトレーニングの場です。

運転では、ドライバーの本性があらわれやすく、衝動性の強い人は荒い運転になりがちです。

急なわりこみをされたとき、前の車がノロノロと走っているとき、ついついイライラしてしまいます。

ですが、そこでグッと堪えて衝動をコントロールする練習をしておけば、運転以外の場面でも必ず役に立ちます。


僕は、運転中は、わざと鷹揚にふるまい、歩行者や他の車に道をゆずり、平常心を保ち続けられるようトレーニングしています。

他にも、通勤電車、仕事場など、心がけ次第では、どこでも衝動性をコントロールする練習ができます。


皆さん、筋トレばかりするのではなく、意志力も鍛えていきましょう。


(5)衝動的に生きている人を遠ざける

 これも大事なポイントです。

人間とは朱に交われば赤くなるもの。

周りに衝動的な生き方をしている人がいれば、ついその影響を受けてしまいます。

自分がそういう生き方と訣別したいなら、勇気を持ってそうした人たちを遠ざけた方がいいと思います。


少し注意してみれば、衝動に従って生きている人と、理性に従って生きている人の見分けがつくはずです。

もちろん、後者と付き合った方が、理性的な生き方に近づけるはずです。


⑤おわりに

 ここまで色々なことを書いてきましたが、僕は衝動的に生きることが決してわるいこととは思いません。

人に迷惑をかけないのであれば。


それに、僕は衝動性を抑えて生きろと言っている訳ではなく、それを『コントロール』して生きた方がいいと言っているだけです。

ここは、重要なポイントなので、改めて説明しておくと、衝動性は今も変わらず生きる上では必要なものです。

僕自身、日々の生活の中で衝動性をうまく発揮して成し遂げていることはたくさんあります。

人生という長いスパンでみても、衝動性がなければなしとげられないことだってあります。

ただ、最もダメだと思うのは、衝動性に人生の舵取りをさせることです。


自分の生き方を決めるのはやはり「理性」であるべきです。

その理由は既に述べましたので、改めて述べることはやめておきます。


でも、生き方は人それぞれですので、今回のnoteもあくまで「提案」という形で受け取ってもらえれば幸いです。


皆さんの人生がより豊かなものになることを願っています。


イルハン


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