見出し画像

スピンオフ!ヤクザに学ぶ喧嘩術(発達障害編)

僕も発達障害当事者ですので、よくわかります。

発達障害者ってナメられやすいんですよね、、、

理由はいろいろあると思います。

・オドオドしている
・場にふさわしい態度がとれない
・失敗やミスが多い
・何しても怒らなさそう

といったところでしょうか?

僕も、イジられキャラだったので、少なからず周囲に上記のようなイメージを持たれていたと思います。

人を笑わせるのが小さい頃から好きでもあったので、自分自身はイジられるのを楽しんでいましたが、激しいイジりに対しては時折怒りをあらわにしてしまうこともありました。

今はイジられることも減りましたが、久しぶりに先輩や友人にイジってもらうと、懐かしかったり嬉しかったりもします。

ですが、社会でイジられやすい(=ナメられやすい)キャラだと、色々と不利益をこうむってしまいます。

具体的には、

・お店で適当なサービスを提供される
・裏メニューを案内してもらえない
・威圧的な態度をとられる

といったところでしょうか。

ナメられやすい発達障害者が、かしこく生きていくためには、今回僕が紹介する、ヤクザに学んだ喧嘩術を習得するといいかもしれません!

僕は、病院勤務をしていた頃、いろんな社会的背景をもった患者さんに接してきました。
その中には、彫りものを背負った、その道の方々が何人もいました。

その方々からいろいろなことを学び、それを活かすようになってからは、上記のような不利益をこうむることはかなり減りました。


「喧嘩術」とかくと物騒ですが、心理戦を制することができれば、さまざまなシーンで望む結果が得られるはずです。

今回のnoteの内容は、僕が直接お話する機会を得た元ヤクザの方々の経験談、僕自身が実際に実践してみて得た知見をベースにしています。

そこに、例のごとく、医学・心理学的な考察を加えています。


皆さんにとって少しでも有用な内容となれば幸いです。

それでは早速いってみましょう!




①ヤクザの世界


みなさん、「ヤクザ」と聞くとどんなイメージが湧きますか?

彫りものをみせつけて怒声をあげたり、パイプ椅子や割れたビールびんを武器に大暴れする血気盛んなイメージではないでしょうか。

テレビでも、武闘派ヤクザの乱闘に巻き込まれた一般人のニュースが流れていたりするので、そういうイメージを持ちやすいかもしれませんが、実際はそんなことをするヤクザは案外少ないんです。

そして、そんなことをするのは、ヤクザの中でも下っぱの構成員であることが多いんです。

僕が、リハビリを提供させて頂いていた元ヤクザ幹部のA氏は、一見すると人あたりのいい優しそうな男性でした。

しかし、そこは元ヤクザ。

短く刈り込んだ髪の毛、首元と足元からチラリとみえるイカつい刺青、顔も含めて体中に刻み込まれた無数の傷、鍛え上げられた筋肉が、たたき上げのA氏のライフヒストリーを物語っていました。

そして、彼こそが僕にたくさんのヤクザ物語を聞かせてくれた人物なのです。

以下はA氏に聞いた話です。

・下っぱのヤクザほど、たやすく激昂するが、打たれ弱く、一度ぶち負かすと犬のように慕ってくる。

・ヤクザとして生きていくには、ビジネスセンスと交渉力が大事。裏稼業で稼がなければならないし、ときには金に汚い外国人とシノギ(=主に暴力団が収入を得るために使う手段(経済活動)の呼び名)を争わないといけないから。

・ヤクザは法律や時代の趨勢(=すうせい。物事がこれからどうなってゆくかという、ありさま。なりゆき)に明るくないといけない。


遠い目をしてそんなことを一介の医療従事者に語るA氏は、さながら”裏の世界で生きるビジネスマン”といった感じでした。




②ヤクザの喧嘩


先程も書きましたが、一部の暴力団や若くて血気盛んな構成員をのぞいて、常日頃、暴力をふるったり大声で相手を恫喝したりするヤクザは決して多くはありません。

法治国家の日本でそんなことをしていたら、すぐに捕まりますし、組にも大迷惑をかけてしまいます。

ですが、ニュースを賑わす発砲事件や傷害事件に登場するような、荒くれ者のヤクザもいることはいます。
そういった方々は、病院でも、看護師やリハスタッフに刺青をみせつけて凄み、自分の要求を押し通そうとします。
しかし、存外、打たれ弱く、涙もろい一面もあり、自分の病状が芳しくないことが知らされたり、職員から思いもよらない温かい対応をされたりすると、急に弱々しく涙を流すことがあったりします。

そういう人たちは、おしなべて、本人の望まざる結末を迎えることが多かった印象です。


A氏は違いました。

スタッフには、朗らかで明るい態度で接していました。
そして、自分の味方になった人たちへの気配りを欠かしませんでした。

ですが、一度、その逆鱗に触れると、元ヤクザ幹部として培った百戦錬磨の手腕をいかんなく発揮して、周囲を震え上がらせました。
対応にあたった法人の危機管理対策室の警察OBですら退職に追い込むほどでした。

何があったかは、個人情報保護の観点からくわしく述べられませんが、その過程でA氏が発揮したスキルこそ、このnoteの骨子となる『最強の喧嘩術』なのです。



③実践編


ここからは、実践編になります。

A氏から学んだこと、僕自身が実践して磨きあげたもの、その他の知見を織り交ぜて、皆さんが実践しやすいものになるよう体系だてました。

これから、もめごとが起こったときや、面倒な交渉ごとに臨むときにお役立てください。


(1) 目的を明確にイメージする

「弱いやつほどその場の感情で動く」

これもA氏がよくいっていた言葉です。
大事なことは、相手と対峙するにあたって、「自分は何を得ようとしているのか」を明確に思い描くことなのです。

これについては、世界的に活躍する米国人弁護士のライアン・ゴールドスティン氏の言葉を借りようと思います。

交渉に臨むときには、何よりも冷静になることが重要だ。
「怒り」や「恐れ」などの感情にとらわれたままアクションを起こせば、自分が望んでいない事態を引き起こすだろう。感情から離れて理性的になる。そのうえで、冷静に自分が置かれている状況を見極めながら、「何を目的に交渉するのか?」「交渉で何を得るのか?」を考えなければならない。
(中略)
そのためには、漠然と「あれも大事、これも大事」と考えるのではなく、自分が求めることの優先順位を明確にしておかなければならない。重要なのは、「絶対に譲れないもの」と「譲歩してもよいもの」を切り分けることだ。そして、「絶対に譲れないもの」を守るために、「譲歩してよいものを」を「譲歩カード」としていかに活用するかを考える。これが、交渉戦略の基本なのだ。

『二流は交渉前に「落とし所」を考え、一流は「いつ”NO"を言うか」を決める』
ダイヤモンド・オンライン


これ以上の言葉は不要ではないでしょうか?

A氏は、法人を相手どって大立ち回りを演じたとき、自分が望むことを明確にイメージしていました。
ゴールから逆算して、緻密な戦略を一つずつ実行にうつしていくことで、最終的には望んだ通りの結末を迎えました。

そして、先ほども述べた通り、この案件の対応にあたった警察OBの首まで飛ばしたのです。

正直、見事としかいいようがなく、「絶対に敵に回してはいけない人だ」というイメージを全職員に植えつけたのです。

そんなことがあっても、事件後も変わらず、退院まで職員とは良好な人間関係を保っていました。

まさに、喧嘩のお手本といっても過言ではない出来事でした。


一般人の我々も、誰かと対決する前に、自分がその一戦に何を求めているのかを明確にするといいかと思います。

目的のない感情的な対決は断じて避けるべきです。


(2) 事前に有利な状況をつくる

喧嘩がへたな人間は、目の前の相手をやっつけることしか考えません。
その後に何が起こるかなんて一切考えないのです。
そして、感情的に手を出してしまって、取り返しのつかない事態を招いてしまうのです。

喧嘩のうまいヤクザは、「一対一」で考えるのではなく、もっと広い視野で考えています。

広い視野をもって状況を的確に分析し、倒したい相手と直接やり合う前に、絶対に自分が勝てる状況をつくってしまうのです。

具体的な例を挙げると、A氏は、法人本部との話し合いの場に臨む前に、懇意にしている職員に、自分の正当性を説いてまわっていました。

いつの間にか僕も含めて、病院の職員は「正しいのはAさんで、法人本部の方がまちがっているのではないか」と思うようになっていました。

(今ふりかえると、見事にA氏の術中にハマっていたのではないか、とも考えられます…)

そうやって、病院側の人間を味方につけて、A氏は交渉を有利に進めたのでした。

このようにして、戦う前に勝てるよう、自分の正当性をまわりに伝えて味方を増やしておくのです。

そうすることで、大局が決まります。

まさに、「戦わずして勝つ」孫子の兵法に通ずるものがあります。

(3) 相手の弱いところを探る

相手が何をされると嫌がるのかを知っていると、そうでない場合に比べて圧倒的に有利に戦いを進められます。

そのためには、相手を知ることが大切です。
情報を集めて、相手の言動の端々に注意して、相手の弱みを探るのです。

社会的地位を失うことを恐れる人もいれば、自分のプライドを打ち砕かれることを恐れる人もいます。
経済的な損失を嫌がる人もいれば、所有物を奪われることに怯える人もいます。

相手によってウィークポイントは異なるので、そこを確実に抑えてください。

実際にそこを攻めるか攻めないかは別にして、「いつでも弱いところを攻撃できますよ」と思わせることで、喧嘩のイニシアチブをとれます。

(4) ボロを出させる

喧嘩においては、相手のうかつな発言や対応を記録しておくことが、かなり有効な手段となります。

A氏と病院の争いの事例に戻ります。

A氏は、対応にあたった法人の役員(警察OB)のうかつな言動を事細かに記録しており、それらがある程度集まった段階で、論理の矛盾をついて相手を執拗にせめました。

ヤクザの世界では、うっかりもらした言葉が命とりになることはよくあるようです。

だから、A氏は自分が不利になるような発言は一切しませんでした。


相手にボロを出させるには、コツがあります。

・殴るより殴らせる。現代社会では先制攻撃をした方が圧倒的に不利になります。先に攻撃を受けた方が勝つ、と考えて余裕をかまし、相手の怒りを呼びおこすのです。太平洋戦争のときに、日本がアメリカにやられたのもコレです。

・相手を調子に乗らせる。調子に乗ってベラベラ喋りだすと、人は思わぬうっかり発言をしてしまうものです。真剣勝負の場では、よく喋るやつほど命を落とす、というわけです。


ヤクザの世界では、沈着冷静な人間ほど、最後に勝つのです。

(5) ロジックで相手を追い込む

喧嘩にあたっては、感情を出してしまうのはご法度です。
感情的になるということは、自分が追い込まれていることを相手に示してしまうことを意味しています。

どんなときも論理的であるべきです。
特に、日本人は、喧嘩になると感情論に走りがちです。
感情的になると、絶対に論理に矛盾が生じはじめます。

なので、究極の方法としては、相手の感情を逆なでして怒らせつつ、自分はロジカルに話すのです。

(かなり極悪ですが…)

自分は冷静さを保ち、相手が感情的になっていると、必ず相手の論理の矛盾に気づけます。

要するにそこを突いていくだけでいいわけです。

まさに、巌流島の戦いで、宮本武蔵が佐々木小次郎を相手にとった戦法です。

(余談ですが、武蔵が著した『五輪書(ごりんのしょ)』は、現代ビジネスパーソンにもおすすめです。僕自身もこれを読んで交渉力がアップしました)


(6) 逃げ道をチラつかせて凄む

再三述べている通り、喧嘩とは、目的がある戦いであるべきです。
ゴールに向かって、戦略通りにことを進めるゲームのようなものでもあります。

これまでの5ステップを実施して、いよいよ相手が追い込まれたところで、逃げ道を提示してやるのです。

かしこいヤクザは徹底的に相手を潰すことはしません。
相手のメンツを完全に潰すことが、報復を招くことを知っているからです。

最終的な局面で「じゃあこれでどうだい?」と、妥協案とみせかけたコチラの最終的な要求をつきつけるのです。

そうすれば、地獄に仏とばかりに、相手はその要求を喜んで受け入れるわけです。



④心得


実践編をものにしていくためには、日頃からの心がけが大切です。
ここでは、最強の喧嘩術をマスターするための、心得をご紹介したいと思います。

(僕自身、喧嘩道はぜんぜん極められていないので、皆さんと一緒に精進していきたいと思っています)


(1) 笑顔を忘れない

激しい口調でまくしたてるより、穏やかな口調で、ほほえみながら悪魔のようなことをいう人の方が、恐ろしい印象を与えられます。

怒ったときにすぐに表情に出てしまう人は、相手からすると「御しやすい(=コントロールしやすい)」人物にみられてしまいます。

これには、ピッツバーグ大学の社会学者マーギー・カー氏による心理学的裏づけがあります。

私たちの「恐れ」は「予測」と密接に関わっており、物事が思う通りに進まなかった場合に私たちは「恐れ」を抱くのだと言います。
(中略)
当然ですが、人は「楽しいとき」に笑います。そのため「楽しいと感じている人」が笑っているのはとても自然なことですが、その逆に対しては「恐怖」を感じることになります。つまり、「楽しいと感じているはずのない人」が笑っていれば、自分の予測と違う結果が起こっており、そこに恐怖といった感情が湧いてくるのです。

『なぜ笑顔が「怖い」と感じることがあるのか?』
ナゾロジー

だから、不測の事態が起こっても、常に微笑を絶やさないよう心がけてください。

そうすることで、喧嘩の場においても、相手より心理的優位に立てます。


(2) 怒らせるとヤバいと思わせる

相手から軽んじられていると、交渉を優位に進めにくくなります。
これは、日々の生活の中で、皆さんも実感されていることと思います。
ですので、自分は「怒らせるとヤバいやつ」と思わせることも、交渉を優位に進めるには有効な手段となります。

まちがっても「俺を怒らせるととんでもない目にあうぜ」なんて言わないでください。

言葉で伝えてしまうと、ただの強がりととられ、逆効果です。
また、タトゥーをみせつけたりするのも、自分に自信のないあらわれととられてしまいます。

あくまで雰囲気で相手に伝わることが大事です。
こればかりは、うまく言葉でお伝えすることができません。
すいません(笑)

僕が実践しているのは、表情を一切消すこと、どの角度から相手が殴りかかってきても一瞬でスキを突いて殺すつもりで構えること、の2つです。

殺気を放つ、とでもいうのでしょうか。

A氏に限らず、僕の周りの胆がすわっている人というのは、みんなそういう雰囲気をまとっています。

所詮、人間も動物ですから、自分の命を賭してまで襲ってくることはありませんので。


あとは、発言の端々に「出るとこ出ますよ?」というニュアンスを込めることですかね。
これも、あからさまにいうと、こちらがダサいやつになってしまいますので、冷静に微笑みながらいうよう心がけてください。

これに関しては、保身的な相手に有効な手段といえます。



(3) 万が一に備える

「君子危うきに近寄らず」という言葉通り、できるなら喧嘩なんて避けてください。

このnoteの意義が薄れるような言葉ですね(笑)

ですが、他人と揉めるのは双方のエネルギーの浪費になりますから、不要な争いなんて避ける方がいいんです。
それでも、生きていれば絶対にめんどうごとに巻き込まれることがあります。

そして、平穏な日々の中でも、そういった事態に備えておくことが、最強の喧嘩術を身につける第一歩です。

具体的な方法は以下になります。

・経験を積む。あなたが責任ある立場なら、部下や後輩が巻き込まれているめんどくさい案件に首を突っこんでください。喧嘩は90%が「慣れ」です。僕自身も、役職についてから、悪質なクレーマーや困った患者の対応をすることが多くなり、その中で、日々交渉術を磨きました。それが、今もとてつもなく役立っています。

・どんな相手も制圧できる技術を磨く。人類が誕生してから約7万年が経つといわれ、そのほとんどを「動物」として過ごしてきました。なので、自分より「強そうな」相手には恐れを感じるようなシステムが体に組みこまれています。しかし、人間は他の動物とちがい、「知恵」と「勇気」でその恐怖を克服することができます。自分より体が大きい相手と戦うときは正面から相手の膝の皿を思い切り蹴る、顎の痛点を下から押すなどのテクニックを練習しておくことはもちろん、本やスマホなど武器になるものを咄嗟に使えるようにイメージトレーニングをしておくなどが有効です。そうすることで、どんな相手と対峙しても、心理的余裕ができます。

(4) どんなときも冷静に

サイコパスの心拍数は一般人よりもかなり遅い、といわれているのはご存知でしょうか?
多くの人が興奮してしまうような状況でも、彼らは興奮の兆候は示さないわけです。

恐ろしい話ですが、だからこそ彼らは身の毛もよだつ悪魔の所業がこなせるのです。

なので、喧嘩という、双方が興奮の絶頂に達してしまうような場でも冷静でいられることで、相手に恐怖感を与え、優位なポジションを占められるのです。


冷静さを失わないためには、究極的には「死」を受けいれる心構えを普段から養っておくことが重要です。

『葉隠』という、江戸時代に武士が愛読していた書物があります。

その中に、かの有名な言葉があります。

そう、「武士道とは死ぬこととみつけたり」です。

この言葉こそ、最強の喧嘩術をマスターするために、絶対必要な心がまえを示してくれています。

つまり、「死んだ身」になって生きよ、ということです。
江戸時代の武士も、太平洋戦争中の日本兵も、この言葉を胸に、死への恐れを克服して勇敢に戦ったのです。

A氏も含めて、有能なヤクザの多くが、幾多の死線をくぐり抜けてきているため、死への恐怖を克服しています。

死への覚悟があるものと、その覚悟がないものが喧嘩したら…

結果は目に見えていますよね。




いかがでしたか?

みなさんがヤクザに対してもっているイメージが大きく変わったのではないでしょうか。

凄腕のヤクザは机に向かって勉強することはほとんどありません。

その代わり、実戦に実戦を重ね、野生の勘ともいえる天賦の才能をつかって、己の中に実践的なテクニックをつくりあげていきます。

そして、これこそ、発達障害者に限らず、今の日本人全体に足りていないものだと思っています。

命を削りながら彼らが身につけたテクニックを活かすことで、発達障害をもっている方々が、少しでも生きやすくなれば幸いです。


イルハン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?