生まれて初めて脳内に静寂が訪れた日のこと(コンサータ1日目)


朝8時にコンサータ18mg投薬

普段は昼頃まで爆睡しているのだが、今日は待ちに待った革命の日である。

アラームの前に目が覚め、高揚した気持ちで投薬予定時刻を迎え、枕元に用意されたコンサータを流し込み、効果が発揮されるのを布団の中で待つ。

医師の説明では、通常、投薬して30分後に効果が出始めて快適に起床できるとのことだった。

しかし、目は覚めたものの寒さ故に布団から出られない。怠惰な人間であることに変わりはないようだ。ネット上で収集した経験者たちの感想とのギャップになんだこんなもんかと拍子抜けする一方、変わらぬ人間性に胸を撫で下ろす。

投薬2時間後、起床

宅配便のチャイムでようやく布団から脱出。

朝の支度を整えながらふと気づく。

生まれて初めて脳内に静寂が訪れている。

これまでの21年間、私の脳内では絶えずマジカルバナナが行われてきた。皿を洗っていても歯を磨いていても、頭の中では行為とは全く関係のない様々な話題が常に展開され、毎秒ごとにその話題は変化し、それらに感情を揺さぶられ続けていた。

しかし、今、脳内は自分の意思に伴い思考し、あれほど激しかった感情の波は消え、静寂が訪れた。

21年間のマジカルバナナに遂に終止符が打たれた瞬間だった。

投薬3時間後

先程家に届いたテレビを開封し設置し、気が付く。

白い壁と、黒い画面

この2色の最強のコントラストが最悪な存在感を生み出し、何をしていても目の端に入り込み主張し、気を紛らわしてくる。

ADHD特性である気の散りやすさは消えず、一生このゴミカスのような集中力と付き合っていかなくてはならないことを悟る。


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