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読書(主に小説)

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小説を読んだ感想と印象に残った文章を載せています。
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記事一覧

『日の出』

佐川光晴さんの作品。

明治の終わりに清作は徴兵から逃れるために故郷を飛び出す。

清作を曾祖父に持つあさひは、教員採用試験のために勉強中である。

在日コリアンになるかどうかは二十二歳で決めるということを初めて知った。

あさひの職に対する心構えがカッコいいと感じた。

清作があやに名前を教える場面では、清作はとても辛かっただろうと感じた。

あさひが菊池くんと文くんと社会の教科書の記述について

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『雪の香り』

塩田武士さんの作品。

新聞記者の恭平は、捜査情報の中に12年前に失踪した学生時代の恋人である雪乃の名前を見つける。

雪乃が正岡子規の写真について意見を述べるシーンが面白かった。

民宿の夜ごはんの際にレンジの音がたくさん鳴っていると思ったら鈴だったのが面白かった。

一番面白いTシャツを2人で探す場面が、とても面白かった。

図書館のビデオを2人で鑑賞するシーンが最高だった。

印象に残ってい

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『週末探偵』

沢村浩輔さんの作品。沢村さんの作品は初めて読む。

町中に置かれた鉄道車両を事務所にして、週末だけ探偵業を行う瀧川と湯野原。

彼らの元に少し不思議な事件の依頼が来る。

表紙のような鉄道車両に探偵事務所があったら、とてもワクワクするだろうなと感じた。

「月と帽子とひったくり」の真相に驚いた。被害者が泣き寝入りしなかった理由に納得した。

「探偵たちの雪遊び」が一番好きな話だ。

印象に残ってい

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『七色結び』

神田茜さんの作品。

主婦の矢沢鶴子は、水引を作る内職と息子のPTA活動で忙しい毎日を送っている。

ある日、PTA会長のスキャンダルによって鶴子がPTA会長になってしまい……。

PTA会長のスキャンダルを知って、こんなことが現実にあったら面白いだろうなと思った。

PTA会長決めの時の市之瀬みたいなことを言う人は、現実に確かにいるなと感じた。

マサキの作った「PTA」という曲の歌詞に笑ってし

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『おれたちの青空』

佐川光晴さんの作品。

札幌にある児童養護施設「魴鮄舎」で生活する中学生の物語。

今回は卓也と恵子おばさん、

前作の感じからして、卓也が家出をするなんて思わなかった。大竹に寒さの我慢比べをしようと言うシーンが印象に残っている。

職員の寺井の横暴に対して、卓也はきちんと行動を取っていて偉いと感じた。

美江と聡子が魴鮄舎にいきなり来た理由に、とても驚いた。

印象に残っている文

『嫁の遺言』

加藤元さんの作品。

嫁の遺言、いちばんめ、あの人への年賀状、不覚悟な父より、あんた、窓の中の日曜日、おかえり、ボギー、の7つの話が収録されている。

「いちばんめ」の終わり方が個人的にとても好きだと感じた。

「あの人への年賀状」のお母さんのように、ずっと続けているお店というのは素敵だと思った。

「不覚語な父より」では、父と娘で「士道不覚悟」と言い合うのが合言葉みたいでいいと感じた。

「おか

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『四百三十円の神様』

加藤元さんの作品。加藤元さんの作品を読むのは初めてだ。

四百三十円の神様、あの川のほとりで、いれずみお断り、ヒロイン、腐ったたぬき、九月一日、鍵は開いた、の7つの話が収録されている。

「あの川のほとりで」では、父親に遊んでもらったことを思い出しながら読んだ。

「いれずみお断り」では、最後の2行でグッときた。

「腐ったたぬき」がとても面白かった。たぬきに恩返しをされるおじいさんの心境などを想

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『いい奴じゃん』

清水義範さんの作品。

鮎太の身には運の悪いことばかりが起こる。鮎太は派遣社員として富士山運送で働いている。鮎太は事務担当の派遣社員である大道寺と仲が良い。そんな鮎太の身に今日も運の悪いことが起こる。

鮎太は落ちた会社に間違えて行ってしまうというのが面白いと感じた。

鮎太がナオのいいところを本当に三十六個出し切ったところがカッコいいと思った。

摂食障害が母親の愛情について不安になった時に起こ

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『緑の窓口 樹木トラブル解決します』

下村敦史さんの作品。

市役所に新設されて「緑の窓口」の配属になった天野と先輩の岩浪。

2人はある日、樹木医の柊紅葉と出会う。

天野は花言葉をたくさん知っていて、さりげなく披露できる知識があっていいなと思った。

クヌギの木が倒れた原因を突き止める話が印象に残っている。

天野と紅葉はいいペアだと感じた。

紅葉と紅葉の母の過去のわだかまりが解決して本当に良かった。

印象に残っている文

『私が結婚をしない本当の理由』

志駕晃さんの作品。志駕さんの作品は初めて読む。

スマイル結婚相談所には、結婚相手を探しに多くの男女が訪れている。社長の岸本はさまざまな客の要望を聞きながら、結婚相手を紹介していく。

宇都宮がマッチングした家事手伝いの女性の、お見合いの数理という考え方がとても興味深かった。

「娘があまりにも幸せになることを望まない親」という言葉が印象に残っている。

希と岸本は良い夫婦になるのだろうと感じた。

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『テロリストの処方』

久坂部羊さんの作品。

「勝ち組医師」を狙った連続テロ事件が起こる中、全日本医師機構の総裁となった狩野のもとにも脅迫状が届く。

医師の免許更新制度や医師の階級制など、狩野は興味深いことを考えるなと思った。

裏社会を牛耳るグループに対して、琴美は強心臓だなと感じた。

奄美大島に行ったことがないので、いつか行ってみたいと感じた。

安達が自分の思いを浜川に語るシーンが、とても印象に残っている。

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『賞金稼ぎスリーサム!』

川瀬七緒さんの作品。

麻布署捜査課の刑事だった藪下は、寝たきりの母を介護するため刑事を退職した。

ある日、下町の元ペットショップ店主相原の自宅が火災に遭い、放火犯だと疑われてしまう。

藪下は警察マニアの淳太郎と共に事件の真相を追うことになる。

淳太郎のキャンピングカーで一度生活をしてみたいと感じた。

淳太郎が大川自治会長と呑みに行ったと聞いて、笑ってしまった。

ねじりバネの罠の説明を聞

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『動物学科空手道部1年高田トモ!』

片川優子さんの作品。

大学の動物学科に入学した高田トモは、空手道部に入った。ある日学科の飲み会で、築山くんという男の子と同じテーブルになる。

産業動物に対する主将の言葉が、とても印象に残っている。これからは肉を無駄にしないようにしたい。

築山くんはトモのことをよく見ていて、素敵な人だと感じた。

午前2時まで飲み会をした後に、朝の5時からランニングはキツすぎると思った。

印象に残っている文

『妻の終活』

坂井希久子さんの作品。

製菓メーカーの嘱託職員として働く廉太郎は、ある日妻の杏子からがんになったと伝えられる。

点滴でしか栄養を取れないというのは、もどかしいだろうと感じた。

廉太郎が会社にポロシャツで行った場面が印象に残っている。

今までカレンダーにバツをつけていたが、マルにしないかと提案した廉太郎の考えが、とても良いなと感じた。

杏子さんは廉太郎のお茶の成長ぶりに気づいていていて、素

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