見出し画像

狩猟採集民の睡眠

前回で人類は狩猟採集民の時代が長かったのでその生活が本能的にしみついていることについて書いたが、そこにフォーカスを当てて書かれた本がある。ジョン J・レイティの「GO WILD」だ。
この本は人類が狩猟採集民の時代から進化していないことに着目し、彼らのように生きれば都市に住む我々現代人が抱える問題も解決できるという内容で、食事や運動、マインドフルネスなどが取り上げられている。
中でも私が興味深く読んだのは睡眠について書かれている第5章だ。そこには狩猟採集民の睡眠パターンが紹介されている。寝ることは非常に無防備な状態に自分を置くことで、捕食動物に囲まれ生きてきた人類は安心して眠りにつくことは大変だった。そのため、非常事態が起こっていないことを知らせる一定のリズムの火のはぜる音や家族の話し声などの中で眠ると深い眠りにつくことができるという。なので、録音したものでも焚火の音や波の音などの中で眠ると、狩猟採集民の時代から変化していない我々現代人の体も深く眠るようになる。
 また現代は夜になっても明かりを欠くことがない。昼夜、季節の周期を感じることができないので、体が寝るモードにならないのだ。結果的に睡眠不足になり、健康を害する。
 我々人類は狩猟採集の生活には戻れない。人類がいまだ持っている太古の記憶にあらがって生きようとしているのでそこでひずみが起き、かつてなかったような問題が起きる。便利な生活を手放すことはできないが、行き過ぎたときには一歩下がって自分を見直してみるのもいいだろう。