東京から一番近い陶芸の里・益子で過ごす〜職人親子と益子焼と田舎暮らし〜
益子町って知っていますか?
栃木県にある人口22,073人(2020年1月1日現在)の小さな町ですが、国の伝統的工芸品に指定されている「益子焼」の産地であり、全国的には知名度のある町ではないかと思います。
東京から一番近い陶芸の里として、秋葉原から高速バス「関東やきものライナー」で片道2時間半。この地にADDressの栃木県第1号拠点があります。
2020年1月にADDressの家としてオープンし、1か月が経った2月14日(金)、ADDressスタッフが現地入りし、ADDress益子の家の家守(やもり=管理人)を務める川尻親子を囲んで交流会を催しました。収容キャパに限りがあるため、事前にADDress主催イベントなどに参加してくれた何名かの会員に声掛けし、総勢15名で益子に集まりました。
こちら(画像下)がその時の様子です。
午後早い時間に到着された方もいれば、東京で仕事を終えてから最終バスに乗って到着した方もいました。ちなみに、秋葉原発の最終は18時40分発で、益子到着が21時7分です(最寄駅は益子駅1つ手前の「陶芸メッセ入口」)。
ADDressの家では、今回の益子以外にも、鎌倉(神奈川県)や宇城(熊本県)でも、家守が中心となって会員や地域の人たちが交流できるイベントを開催することがありました。今後はさらに、他の拠点での開催も増えていくと思います。
何となくスタート時間は告知するけれど、ゆるく始めてゆるく終わるのがADDress式。眠くなった人は寝ますし、語り合いたい人は朝まで語り明かす人も。この日は朝4時まで元気に起きていた方が5名いたようですが、私は早々と12時には布団に潜っていました。朝早く起きてジョギングしましたが、空気が澄んでいて車通りも少なく、最高の環境です。
下の画像のように、家守さんお手製の囲炉裏で暖をとりながら、夕食を囲みました。
囲炉裏っていいですね。
実はここはADDressの家の壁を挟んだ隣で、大きな登り窯のある小屋の中なのです。元々はADDressの家のリビングに集まる予定でしたが、家守さんが囲炉裏に火をおこしながら作業を始めたのをきっかけに、何となく皆が家守さんの周りに集まり、結局登り窯の小屋が交流会会場になったのでした。
上の画像は登り窯の上部の入り口から撮影したものですが、奥に小さく炎が見えます。ここが囲炉裏部分です。この囲炉裏の向かって左手にADDressの家があり、リビングから出入り自由になっています。
夜、外から見た時のADDress益子の家の玄関(画像上)。静まり返った漆黒の夜は、星も綺麗に見えました。ついさっきまで、煌々と照明の灯るビル街・秋葉原にいたのに。
会員さんが撮影したADDress益子の家の内部。壁に用いたレンガは登り窯として使ったものです。この家のスペースは、以前は登り窯でした。当時使っていたレンガを再利用されています。
この家を設計し、自ら作られた家守・川尻弘さん(画像下)は、元陶芸家で現在は庭師のほか、建築など幅広いジャンルで活躍されています。
陶芸自体は息子の琢也さんが継ぎました。琢也さんは沖縄で修行され、新しい技術を習得されたそうです。琢也さんは家守サポートとして、父・弘さんのお手伝いをしてくれていて、同じ敷地内に親子のご家族が住んでいます。
今回参加したADDress会員には、陶芸に詳しい方や陶器好きな方もいました。琢也さんの作品はADDress益子の家の離れにある売店にありますが、土の温かみを感じる作品に、一同感激していました。
陶芸好きな私は、ここへ来る度に新しい作品を購入しています(笑)。
ところで皆さん、陶芸の工程はご存知ですか?
おおよそ、以下の手順となります。
1. 土練り
2. 成形
3. 仕上げ
4. 乾燥
5. 素焼き
6. 釉薬
7. 上絵付け
8. 窯詰め
9. 本焼成
10. 窯出し・検品
上記の「素焼き」という工程を飛ばすのが、川尻さん流の作品工程で、いきなり本焼成(=窯炊き)をするそうです。
素焼きは本焼きする前の仮焼をする工程。水分の蒸発で釉薬をしっかり吸い込みやすくし、不純物が燃焼されて土色が安定し、粘度が焼き締まり割れにくくなります。
工程が短い分、制作の時間は短縮されますが、これらの素焼き本来の意図をカバーするための技術が必要になります。それは企業秘密とのことですが、最初の土練りにヒントがあるとのことです。
窯炊きは数日、火を絶やさずに交代制で行う工程です。ADDress益子の家でも年に数回、窯炊きをされます。いつもは川尻さんのご友人が手伝っているとのことですが、ADDress会員で窯炊き体験をしたい人は是非参加してもらいたいとのこと。
窯炊きは一人ではできないので、必然的にコミュニティが生まれやすい作業かもしれません。交代制の寝ずの番で過酷ではありますが、川尻さん曰く「皆で集まること自体が楽しい」と言ってました。今回、囲炉裏を囲んだ交流会を実施してみて、まさに同様の感覚を味わっていたのではないかと思います。
さて、日が明けて益子の朝。会員さんがドローンを飛ばして、上空から撮影されたので、動画をシェアしてもらいました。
朝陽が射して神々しい風景が堪能できます。上空100メートルから、益子の町が一望できます。
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益子も他の市町と同様、人口減少課題を抱える地域です。
しかしながら、今も陶芸工房や店舗が軒を連ね、土日祝日は観光バスも訪れ、観光客も多く、食事処も充実しています。お蕎麦屋さんから洋食、オシャレなカフェも点々とあり、町歩きをする度に新しい発見が楽しめる町です。
陶芸作家のみならず、陶芸以外の作り手やアーティストの移住も増えており、陶芸作家とのコラボレーション作品も見られるようになりました。陶芸を中心としたアートの町として、この地で活動する若い作家を応援する人たちが集まってくれれば嬉しいです。そんな願いも込めて、ADDress益子の家をオープンしました。
今回はADDress益子の家についてレポートしましたが、ADDressには全国にどんな家があるのか、どんな会員が暮らしているのかを一般の人向けに共有している交流会「ADDress Meet Up」を定期開催しています。
東京での次回実施は、2月26日(木)19時半より「平井の本棚2階イベントスペース(東京都江戸川区平井5丁目15)」にて。JR総武線「平井」駅下車徒歩1分です。
ADDressで多拠点生活をスタートしてみたい方、興味・関心ある方も含めて幅広く募集していますので、お時間ある方はお越しください。
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