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晩秋の鹿島参拝

2020年も暮れ
12月も半ばになろうかという週末
ふと思い立って車に乗り込んだ

東京の自宅を出る時は、秋晴れのそらは爽やかで、気温も暑からず寒からず、快適な日だ。
常磐道を北上し、つくばJCTで圏央道に乗り換えて千葉方面へ走る。

高速道路は車も少なく、自分のペースでのんびりと走ることが出来る。
千葉に入って東関東道に差し掛かると、目的地はもうすぐだ。

潮来ICで下道を走り、辿り着いたのは湖面に浮かぶ鳥居

西の一ノ鳥居

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北浦に浮かぶ大きな鳥居
遠くからでも見える存在感がとても印象的。
なんでも水上鳥居としては日本最大のものなのだそう。

太陽との関係が強いと言われる鹿島神宮の中でも、夕陽と共に眺める幻想的な姿は一見の価値がある。
レイラインなどとよく言われる、一直線に由緒ある物が並ぶものの一つの起点ともされる。
鹿島神宮から富士山、伊勢神宮、そして日本始まりの地と言われる宮崎の高千穂神社が一直線に並ぶそう。
ちなみに神社の各式が決められて、最初に「神宮」とついたのは、伊勢神宮と千葉県の香取神宮、そしてここ鹿島神宮なのだそう。


鹿島神宮境内へ

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さて、一ノ鳥居を見たらいよいよ境内へ参拝へ向かう
鳥居の横にある駐車場に車を止めて正面から境内へ入ることにした。

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鳥居から振り返ると、雰囲気の良い参道をみることが出来る。
電車を使ってお参りをするとこの参道を歩いてくることになるのだが、車では通り過ぎるだけの景色となってしまうのが残念。
もちろん車を止めてから散策するのも良かったが、今回はすぐに境内へ入ることにした。

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大鳥居をくぐると奥に朱色の楼門が見える。
さすがに立派な境内だ。

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日本3大楼門に数えられるこの門は、とても立派で厳かな佇まい。
重要文化財に指定された門をくぐるといよいよ本殿にたどり着く。


常陸国一之宮 鹿島神宮

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参道に対して正面ではなく横に位置する本殿と拝殿。
なんの気無しに進んでしまうとうっかり通り過ぎてしまいかねない気もする。

御祭神は武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)で、日本建国そして武道の神様。
そのせいか、この日も道着を着た武道家たちが沢山参拝に来ていた。

4棟からなる社殿の脇には、まだ散り切っていない紅葉が差し色を添えていた。

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周りの紅葉は既に散ってしまっているのに、ここだけ鮮やかに燃えている朱色が、移り行く季節を感じさせてくれた。

写真を撮り忘れたが、この社殿から振り向くと近代的な社務所が佇んでいた。
近年の大きな神社はみんなこの傾向のような気がする。
積み重ねた歴史と、快適な文明とが共存する、不思議な空間となる。


奥参道を進む

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さて、拝殿でお参りをしたらさらに奥へ続く参道を歩く。
ゲートのような柵を越えると、一直線に続く杉林に差し掛かる。
この奥に広がる森は天然記念物なのだそうだ。

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途中に鹿が居る。
神社で「鹿」というと奈良にある春日大社が一番有名だと思うが、字の通りで鹿島神宮が由来となっている。
現在鹿島神宮で飼育されている鹿は春日大社から受け継いだものらしいが・・・

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杉林の途中で振り返ってみると奥に先ほどくぐってきた「楼門」が見える。
一直線に続く”散歩”はとても気持ちがいい。

鹿園を過ぎて程なくすると「奥宮」に到着する。

ひっそりと佇む奥宮と神秘の要石

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杉林のちょうど行き止まりに「奥宮」がある。
こちらは関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康が奉納したもので、もともと現在の社殿がある場所に「本宮」としてあったもの。

本宮を横目に続く道を進んでいく。

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メインの参道から奥に入ると道は狭くなる。
両側に杉林が近く迫り、視界に遠近法がかかり、より景色が神秘的に見えてくる。

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そんな道の先、一本だけまるで目印のように色付いた木のある広場に到着。
ここが「要石」のある場所、写真右側に写っている鳥居の先にある。
あえて写真は撮らなかった。というよりも、なんだか撮ってはいけないような気がした。
「要石」は見た目は地面からニョキっと頭だけ出た石。
言い伝えでは、掘っても掘ってもその石の全貌が分からないほど巨大なものだという。
地震を起こす鯰の頭を抑えているという石で、不思議な雰囲気をまとった場所だった。

足元には散った紅葉が散乱していた。

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さて、先ほどの奥宮まで戻ってから「要石」とは反対の道へ進んでみる。


水底を見渡せるほどの透明度 御手洗池

奥宮から今度は反対側の道を下っていく。
神秘的な杉林が続いていた要石方面とは異なり、こちらは急斜面を階段で下っていく。
その坂を下り切ったところに「御手洗池」がある。

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透明だとは聞いていたが、実際に見てみると本当に透明度が高い。
池の横から絶えず湧き出る湧き水は1日に40万リットルを超えるそうで、常に綺麗な水が供給されているからこその透明度。そして、不思議と波一つ立たないので池全体の水底を見渡すことが出来る。

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この日は風もなく、じっと動かない鯉とあいまってまるで絵のような世界が広がっていた。

一通り境内を散歩したので帰路に着く。

休日の午後ということもあり、参拝者はそれなりに居るものの、静かな杉並木を抜け、立派な楼門をくぐると出口はすぐそこ。

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鳥居をくぐり、振り返って一礼

すると、それまで静かだった辺りを、強い風が吹き始める。
空はなんとか雲の切れ目から青空と太陽のぬくもりを届けていたのに、風と共に暗い雲に覆われていく。

なんだかまるで私の参拝が終わるのを待っていてくれていたように

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