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9才でチック症になった時の話〜誰も病気だと気付かないで怒鳴られた日々
私は9才で肩が凝る様な感覚に襲われる様になった。
肩がダルくてたまらなくて肩をよく動かして骨をコキコキと鳴らす様になった。そのうちに肩を動かさずにはいられなくなった。
右肩をカクッと上にあげ、首を右斜め下に向かってゴキっ!と下げていた。ビートたけしさんが事故に遭い、その後この行動をする様になった時、驚いた。昔の私の癖と同じものだったからだ。
大人になるまで癖だと思っていた。
大人になって癖ではなくチック症だと言う病気だと知って愕然とした。
友達に不気味がられ、先生に不愉快な顔をされ、祖母に「子供のくせに大人の真似事をするんじゃない!」と貶された。父からは
「みっともないからやめろ!」
と怒鳴られ思い切り頬を打たれた。
やめれるものならやめたかった。でも、チックはやめられないのだ。
背中に毛虫が一匹貼りつく様な感覚がする。その毛虫が背中を這い回りだす。背中全体がゾワゾワと嫌悪感に包まれる。チック行動をするとその嫌悪感はスーと無くなるのだ。
リラックスしている時は1時間に1回。意識したり緊張したりすると5分に一回の割合で出たりする。
父にチック症のことで怒られている時が辛かった。怖くていつ殴られるかの恐怖でチック行動が頻繁に出てしまう。その度に父は
「やめろって言ってるのが分からんのかーーー!!!」
と、激しく頬を平手打ちにした。倒れ込みながらもチック行動は出てしまう。止めようとすると一匹だった毛虫が二匹、三匹と増えていき背中全部を埋め尽くす感覚に襲われる。気がおかしくなりそうになってしまうのだ。
叫びだしたいのを我慢して首と肩をコキッ!と曲げた。スーと毛虫が一匹残らずいなくなった。ホッとしたのも束の間、
「馬鹿にしやがって」
洋服を掴まれ顔を上げさせられまた頬を打たれた。
何で叩かれるの・・・・私だって止めたい。
やめたいけどどうしたらいいのか分からない。
どうしたらやめれるの?
その日からチック行動が出る度に涙が出る様になった。
チック症だと知らなかったし、周りの大人たちもただの癖だと思っていた。
「やらない」と言う意思をもってさえいれば治るんだ。と言われた。
知識も情報もない中で言うことを聞かない体と付き合うのは本当に大変だった。
味方が誰ひとりいなくて悲しかった。
チック症は一年間続き、強迫性障害に変化していった。
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