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「あはは、君の頭の中には、本棚がないみたいだね!」

いつだっただろう。とある本屋で出会った人と会話をしていたら、こんなことを言われました。

とても、びくっ、としました。

初対面の人に、こんなに短時間の会話で、頭の中を覗かれてしまったのですから。

私の頭の中には、本棚がない。

…本当に、その通り。

散らかった頭の中の部屋を見つめながら、同じことを思いました。

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これは、今年の夏のある日に私が体験した出来事です。回想っぽくなっちゃった。

カレンダーのテーマを聞いてから、

自分はどんな一年を過ごしたか考えていたら、あの言葉をすごく思い出して。

あぁこれは、2021年の私を例えるのに、ぴったりだなー、と。
だから、一年をこの話に絡めて、振り返ることにしました。
ちょっと抽象的だから、もしかすると読みづらいかもしれません。

【1-3月】ジャケ買い

私は、色々なことにすぐに興味を持ってしまう性格です。
しかも、直感的に決める節があります。

初対面でも、すぐ人に話しかけちゃったり、
気になるイベントに、すぐ飛び込んだり、
行きたいところに、すぐ車を走らせたり、
気に入った土地に、すぐ移り住んだり、
やりたいことに、すぐに手を出したり。

その先にある、何だかワクワクするものに、本能が抗えないような感覚です。
特に今年は拍車がかかっていて、じゃじゃ馬のように、色々した記憶があります。

こんな性格の私は、

表紙のタイトルやデザインに惹かれて、何冊も本を買ったりすることなど、日常茶飯事でした。

【4月某日】開きっぱなしの本

このようにして、
会いたい人、行きたい場所、やりたいことがどんどん増えていき、読みたい本も増えていきました。

本を買って表紙を開き、序章をもの凄い勢いで読み進めていくのは私の得意技。
でも、その日は途中でお腹がすきました。気分転換にランチを食べようと、本を置いて出かけました。
帰ってきて、さあ続きを読もうと意気込むのですが、、私はその本をどこに置いたのか分からなくなってしまいました。

私の部屋の至るところに、本が散らばっていたからです。
しかも、開きっぱなしの本が他にも複数あって、もう何がどこにあるのか、さっぱりです。

本を整理しなければ…。
そう思いました。

【4月下旬】1回目の大掃除

たった数ヶ月であまりに増えすぎた本を、一旦、整理することに決めました。

そこで大きな問題が3つ。
・どの本も愛着があり手放せないこと
・この部屋には本棚が無いこと
・片付けにかける時間も限られていたこと

どうしたものかと思いました。時間さえ許してくれるのなら、本当は全部、読みたいのに。

でも、いっぺんに複数の本を読めないのは、私の性格上分かりきっていることです。

だからせめて、今年読みきる本を3冊だけに絞りました。

この3冊だけ机に置いて、残りの本はしおりを挟んで一旦閉じて、しょうがないので壁のほうに積み上げて置いてしまいました。
この時、もっと丁寧に時間をかけることが出来ていたら、と、今となっては思います。

【6月某日】本の雪崩が起きる

大事に読むと決めた3冊を、持てる時間を全て使って、大事に読んでいきました。

どの本も読み甲斐があり、学びも多く、
片付けしてよかったなぁと心底感じました。

しかし、それでも時間が足りないことに気づきます。

選んだ3冊は、どれも分厚くて、難しいことが書いてありました。経験の浅い私が、一気にそれらを読みこなすには、まだ早過ぎたのでした。

それを認めたくなかった私は、焦っちゃって、今まで買った本の中にもきっとヒントがあるはず!とか、色んなことを言いながら、
積み上げた本を引っ張り出そうとしました。

すると本のタワーはバランスを崩し、音を立ててバサバサと崩れていき、再び床を埋め尽くしてしまいました。

無惨に床に散らばった本を見た時、私は、全部大事な本なはずなのに、いつ買ったか、何がどんな内容だったか、栞はどこに挟んでたのか、もう何も分からなくなってしまいました。あの3冊の本も、山の中に埋もれて見えなくなってしまいました。

【7月】一生もんの本

そんなことがあって、1か月くらい、ぐちゃぐちゃのままの部屋で、泣いてました。

今まで出会ってきた本…、人や場所、その時に湧いた感情とか、あれは何だったんだろう。結局私は何もやり遂げられない人なんだ、と、心底自分に失望していました。

まあ、どれだけ凹んでも、それでもいつかお腹が空くのが人間というもの、、。ご飯が食べたくなり、動こうとして辺りの本をどかしたら、何か懐かしいものが出てきました。

すごくボロボロなんだけど、なんか好きで、中学生の時に見つけて以来ずっと持ってた本でした。すごく内容が多いし、複雑で読むのは大変だけど、たまに読みかえすと必ず前向きになれる、不思議な内容の本。どんな時も寄り添ってくれる本でした。本を買いこみすぎて、この大切な一冊の存在すら埋もれていたことに、その時気が付きました。

この本をもう一度見つけた時、色々抱え込んでた気持ちがすーっと楽になりました。

それで私はようやく、本当にちゃんと時間をかけて、部屋を片付ける勇気を出せました。

【現在】2回目の大掃除

…それから一気に5か月飛びます。
文量がもっと増えちゃうので、割愛しました。
最後に、今の私の話を少々。

クリスマスももう終わり、そしてこれから年越しですね。

私は今、年末大掃除をしてるところです。

そして小さな個人的ニュースですが、今の私の頭の中にはちゃんと、本棚があります。小さい本棚ですが、私には丁度いいサイズです。

そして大量に散らばっていた開きっぱなしの本は、約半年かけて、一冊ずつ、丁寧に閉じていきました。いろんな閉じ方をしましたし、どれも思い出があったのでつらい作業でもありました。でも、それぞれの本と最後に向き合えて、良かったと思います。

本はだいぶ数が減り、整頓もできました。
小さな本棚には、本当に大事な本たちが、ほんの数冊だけ、並んでいます。

お陰さまで、とても穏やかな気持ちで、来年を迎えられそうです。

今、1冊だけ新しく買った本があります。あの古い本の続編です。来年はこの1冊を、大切に読んでいこうと思います。その次の年はまたその続編、それも読んだらそのまた続編を読みます。分厚くて難しいけど、お陰様で飽きずに一生読み続けられるので、ワクワクしています。


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気づけばずいぶんと長い文章になってしまいました。しかもとても抽象的な話になってしまって。読んでくれて、ありがとうございます。

この年末、皆さんは大掃除されますか?
普段しない大きな片付けをすると、懐かしいものが出てきたりして、面白いですよね。

あ、ちなみに関係ないですが、名前に使った Haru Fruhlingは、私が春が好きなのと、ドイツ語で春がFrühlingってことをその時偶然知ったので使った、というだけでした。本名では無いですし、純血の日本人です。笑

まだしばらく、雪が続きますが、
これからやって来る春が、とても楽しみです。

それでは、皆さん、メリークリスマス。
どうぞ、お体にはお気をつけて。
そして、良いお年をお迎え下さい。

~~~~~~🦌🛷🎅🎁 皆のAdvent Calendar 2021~~~~~~~~~~

とうとう最終日!!
いまからでも遅くないので、大作の数々を是非読んでください🥳










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