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障害者×移動手段(公共交通機関編)

こんにちは。wamです!
理学療法士として働きながら、障害者の余暇活動について
発信しています。

さて今回は、「移動手段」についてです。
障害を負って退院して、自宅や施設に戻った後
まずは自分の新たな生活様式に慣れるのが大変だとは思いますが、
気持ちが少し外に向いて「よし!外出してみよう!」
となったとします。

もちろん、徒歩や車椅子その他の補助具を使用して
目的地へ行くのが第一段階です。
では、もう少し足をのばしてみる気になったら?

利用することになりそうなのが、
タクシー、バス、電車などの公共交通機関や自家用車。
もっと遠くへ行く場合は新幹線、飛行機!

今回は、外出するために必要になってくる
移動手段(前編・公共交通機関)についてまとめたいと思います。

公共交通機関を利用してみる!

入院する病院によっては、リハビリの一環として
電車やバスを利用する訓練を行う場所もあります。

普段から利用していた方にとっては
それほどハードルが高くないように思いますが、
よく利用していた方ほど、後遺症がある身体での
利用に戸惑いを覚える方が多い印象を受けます。

事前知識を入れ、準備や心構えの参考になれば幸いです。

1.バス

 まずは地域によって、どのドアから乗車するのか、
 どのタイミングで支払いをするのかが異なるので
 事前にお住まいの地域で確認しておくことを
 おすすめします。
 
 また、圧倒的にICカード払いが楽です!

 自分の乗車場所から降車場所までの運賃を
 事前に調べておいて小銭を用意しておくか、
 ICカードで「ピッ」とするかにした方が、
 余裕をもって乗降車できます。

画像1
https://www.kanachu.co.jp/bus/route/norikata.htmlより引用

 大抵のバスは乗車口の右手にICリーダーが
 備え付けてありますので、かざすだけでOKです。
 バッグにしまってあったりすると出し入れに不便なので
 首から下げたり、すぐ出る場所にストラップでつけて
 おくほうが安心かつスピーディーです。
 ※ICカードには必ずチャージしておきましょう!
  チャージすらも面倒な方は、スマホのアプリでも
  ICカード支払いすることができます。

 また、乗る車種としては
 「ワンステップバス」「ノンステップバス」がお勧めです。

 従来の車種では、席までかなり高度差があるため、
 高い段差を登っていく必要があります。
 手すりなどはありますが、荷物を持っていたり
 混んでいたり、疲労などを考慮すると、
 段差がない、もしくは少ないバスを選ぶといいでしょう。
 行く先にもよりますが、どのバス会社も
 1時間に1~2本は運行しているはずです。

 時刻表の記載は、これもバス会社によりけりですが
  時刻の数字の所に○されていたり、
 「ノ」や「N」と書かれていたり、
 色付けされていたりします。

 また、神奈中バスを例にとると、
 バスの正面の行先表示の横に車椅子マークがついているものは
 車椅子に乗ったまま乗車することが可能です。
 
 当該バスの時間にバス停に並んでいれば、
 運転手さんが下りてきて、スロープを設置してくれます。
 乗った後はタイヤをベルトで固定してくれます。
 ※ただし、多くて2台までなので場合によっては
 そのバスに乗れない可能性も
 ※ストレッチャー型車椅子、ハンドル式車椅子は不可

 時刻表に関しては、今時わざわざバス停に行って確認する
 というのは中々ない?と思います。
 各バス会社のサイトへ行くと時刻表が
 掲載されていますので、事前に参照することをお勧めします。

 少し残念なのが、よく使用されている乗換案内などの
 サイトにはノンステップバス等の情報が反映されていません。

 唯一、Googlemapでルート検索すると
 ルート条件設定の中に「車椅子対応」という欄がありますが、
 ノンステップバスの時刻で検索表示がされるわけでは
 ありませんでした。(※2022.10時点)
 改善されていくとより便利になりますね。

2.電車

 電車に乗る際も、下調べはかなり重要です!
 なぜかというと、エレベーターの位置が各駅でバラバラなのです、、、
 まして路線の違う電車に乗り換えようもんなら
 駅構内で迷子になり、それだけで体力消耗です。

 事前に
 ・乗車駅、降車駅のエレベーター位置
 ・乗車する電車のフリースペース位置
  (車椅子で広いスペースが必要な場合)
 ・目的地へは何口に出たらいいのか、
 ・そこまでの最短ルートはどこか
 ・多目的トイレの位置
 などを把握していくことをお勧めします。
 各鉄道会社のHPなどで、駅構内図や車両案内図
 を確認することができます。
 
 、、、確認する事多いですかね?
 面倒くさいと感じる方は
 事前に対象駅に連絡すれば、親切に駅員さんが
 教えてくださるので大丈夫です!

 また、車椅子などで乗降車にスロープや
 手伝いなどが必要な方も事前連絡が必要です。
 (これに関しては様々な意見がありますが;)
 特に、小さい駅などで人員が少ない場合は
 なるべく早く連絡をしておくと、お互いスムーズに
 ことが進みます。

https://www.jr-odekake.net/railroad/service/barrierfree/wheelchair/より引用

 JRの大きい駅などでは、↑のような標識が
 あるようなので、そこへ向かうと良いようです。

 車椅子でキャスター(前輪)上げができる方は
 特にスロープや補助などは必要なく乗降車できると思います。

 最近の電車は、落下防止の観点からも
 車両とホームの隙間を狭くしようという傾向があるようで、
 今後はスロープも必要なくなるかもしれませんね。

 あともうひとつ盲点なのが、
 駅のホームの傾斜問題です。

 広い駅や屋内の駅だと気にしなくてもいいのかも
 しれませんが、少し線路側に傾いています。
 
 雨などの水はけをよくするためと言われていますが、
 立位バランスが不安定な方や車椅子の方に
 とっては多少の傾斜も不安要素です。

 なるべく線路から離れた位置で待機するか、
 立位であればスタンスを広くとる
 車椅子であればブレーキをしておく
 というのを覚えておくといいと思います。

 あとはバスの項でも記載したICカードを
 用意しておくといいでしょう。

 乗車中の注意点として、
 立位で杖歩行が中心の方で乗車時間が短い場合、
 立っててすりに掴まったり、寄りかかりながら
 乗車することをお勧めします。
 揺れがあったり、ドアが開いている短い時間で
 立ち座りするのはとても大変だからです。
 焦ると転倒にも繋がり危険です。

 乗車時間が長い場合も、途中までは座り、
 降車駅が近づいてきたら事前に立って待つと
 余裕をもって降車することができます。

 車椅子の方は必ずブレーキをかけましょう。

もっと遠くへ行ってみよう!

さて、近場の移動が慣れたらもう少し遠出して
旅行などを楽しんでみましょう!

1.新幹線

 遠くへ行くと言っても、新幹線であれば電車の延長です。
 ただし、乗車時間が長くなるので、快適に過ごせるよう
 事前に下調べしておきましょう。

 電車と異なるる大きな点は、車椅子ユーザーの場合
 必ず予約が必要となります。

 しかも、JR系の新幹線であれば
 大きな駅にあるみどりの窓口にいくか、
 専用WEBサイト、電話での予約が必要です。
 (※WEBで予約可能な乗降車駅は限定されているみたいです)
 乗車日の1か月~2日前になっていることが条件です。

 そして、その予約が確約されたかの連絡が
 直接入ります。(乗車人数に上限があるため)

 予約が完了したら、申込時に指定した購入駅で
 手帳などを提示して切符を購入します。(アナログ!)

 新幹線内は、車椅子ごと乗れる広いスペースや、
 座席に移乗して隣に車椅子を置いておくタイプの座席
 ベッドで横になることができる多目的室
 が用意されているものもあります。
 
 トイレはバリアフリーのものが併設されて
 いるので安心です!

 乗れてしまえばそんなに大変ではないので、 
 行き先が決まり次第、早めに利用する新幹線の
 情報を調べ、予約を取っておくことが大事ですね。

2.飛行機

 新幹線もとても便利ですが、場所によっては
 4~5時間乗りっぱなし、、、
 なんてことになると結構大変です。
 そんな時は飛行機を利用してみましょう!

 国内で乗り継ぎの必要ない場所であれば
 東京から沖縄、北海道まで2時間程度でついてしまいます。

 空港に行くまでや、空港内での手続きなども
 含めると時間はまあまあかかりますが、
 座りっぱなしによる疼痛発生や褥瘡予防という
 観点からは、飛行機の方が長時間の新幹線乗車よりも
 安心と言えるでしょう。

 予約方法から搭乗方法、到着時に関してまで
 各航空会社のHPで事細かに説明されていますので、
 ここでは車椅子利用の場合を例に簡単に紹介します←

 ・予約時
  各航空会社のHPや旅行会社の予約サイトから予約します。
  航空会社のHPで予約する際は歩行状況や、
  預ける車椅子についての確認があります。
  ※旅行会社から予約する場合は直接航空会社に連絡する

  基本的には、普段乗りしている車椅子は無料で手荷物として預け、
  航空会社の用意する専用の車椅子↓に乗り換えます!
  (空港よっては大型のものやリクライニングのものも)

https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/flight_service_info/assist/walking/より引用

  座席に座ることが難しい場合は、ストレッチャーで乗ります。
 
 ・搭乗時
  専用のチェックインカウンターで航空券の確認、
  手荷物や車椅子の確認を行います。

  事前改札サービスを利用することができるので、優先的に
  手続きは行われますが、
  国内線であれば60分前、国際線であれば120分前に
  手続きを行うよう推奨されています。
  
  搭乗する際は上述した車椅子に乗り換え、
  その車椅子から指定された座席に移乗します。

  座位が不安定な方は上体ベルトも用意されているようです。

 ・到着時
  座席から機内用車椅子に移乗し降車します。
  降車時や手荷物受取時に預けていた車椅子を
  受け取けとり、乗り換えることができます。

 その他、移動時にサポートが必要な場合は
 事前に相談しておくと、当日にスムーズに案内を
 受けられます。

 機内での介助動作などは基本的に添乗員は
 行えない為、介助者が付き添うことをお勧めします。

 ※障害の程度や、受けるサービス内容によっては
 診断書の提出をお願いされる場合があるようです。

障がい者手帳でお得に移動?!

 障害認定すると交付されるのが障がい者手帳です。
 手帳を取得するメリットとして大きいのが、
 この公共交通機関などの割引制度です。

 外出する際のコストを軽減することにより、
 社会参加の機会を増やそうという制度です。

 住んでいる地域や、利用する交通機関、
 障害の程度によって異なるので、
 ここではざっくりとした割引率、代表例を
 紹介したいと思います。

 障がい者手帳は、障がいの等級によって
 「一種」(重度障害)/「二種」(中軽度障害)
 に分かれています。

・電車、新幹線

 大体が半額ですが、本人のみの利用なのか
 介助者がいるのかによって異なるようです。

 例)JR東日本…「一種」本人、介助者が50%引き
        「二種」本人のみ50%引き
          ※片道の営業キロが100キロを超える場合
 

・バス

 例)神奈中…
   一種、二種関係なく本人・介助者ともに50%引き

・飛行機

 行き先や飛行時間帯によって割引が異なりますが、
 大体3~5割引きになることが多いようです。
 直接航空会社に問い合わせてみましょう。

まとめ

 いかがだったでしょうか。
文章にすると簡単なように思えますが、
最初にトライするハードルはきっと高いですよね。

 まずは付き添ってくれる方と一緒に近所の移動から
始めてみてはいかがでしょうか。
外出することで、自分に自信が持てますし
生活が豊かになります。

行きたかった所や、会いたかった人に
ぜひ自分で行ってみてください!

次回は、交通手段第二弾ということで
自家用車、タクシー編でまとめたいと思います!



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