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香水の選び方 基本まとめ(図解入れました!)

初参加の方の多いセミナーやワークショップでは香りの基本を簡単にお伝えしています。香水を選ぶ時に知っておきたい3原則をここにまとめます。

香水類には①「匂い立ち」という現象があります。②香料がその製品にどのくらいの濃度で含まれるか、これを賦香率といって、賦香率によって香りの強弱濃淡だけでなく、持続時間も変わります。③使われる香料の特性から、ノート、タイプ、あるいはファミリーなど、その特徴を伝えるためのタグのようなもの、そしてそれに基づく分類があります。

匂い立ちは時間の経過に伴う香りの変化です。

トップノート(top note)・・・つけてから15分くらい。まさにその香りの第一印象。その香水に含まれる香料のうち揮発性に富む柑橘系やフルーティ系などが香り立ってきます。音楽で言えば前奏、コースならアミューズや前菜でしょうか。

ミドルノート(middle note)・・・ハートノート(heart note)とも。まさにメインディッシュ、歌のサビでしょうか。その香水に託されたヴィジョンやイメージが最も強く表現されるパートです。

ラストノート(last note)・・・ベースノート(bese note)とも。揮発性が低く保留性に富む香料が配され、ムスクのような動物性香料や白檀のようなウッディ系の香料が代表的です。賦香率にもよりますが、半日以上、1日を経過しても香りが持続するものもあります。

このトップからラストまで、はっきり香りが切り替わるということではもちろんなく、徐々にゆるやかに香りは変化していきます。舞台で言えば、場面転換があって登場人物が変わる、ということではなく、常時全キャストが舞台に立っていますが、前に出てパフォ―マンスする人が少しずつ変わっていく、というイメージです。香水を選ぶ時には、一日しっかり香りの変化を見てからということです。

次に賦香率ですが、香料濃度が15~30%と最も高い「パルファン―parfum extrait」は持続時間も長くまた、やはり高価と言えます。半日から1日近く香りが持続するとされています。「オーデパルファン/パルファンドトワレ―eau de Parfum/parfum de toilette」の賦香率は8~15%で香りの持続は5~6時間ほど、「オードトワレ―eau de toilette」は4~8%で3~4時間の持続、香料濃度が2~5%と最も低い「オーデコロンeau de cologne」では1~2時間が目安とされています。が、これも先にお伝えしたミドルノートの持続時間といえます。香りの種類によってはトワレタイプでも1日近くラストノートが残っていたり、オードパルファンなどは2日ほど仄かにラストノートが香っていてこともあります。伝統的な名香は少なくとも一つの作品にパルファン、オートパルファン、オードトワレまでのラインはそろえていました。昨今はトワレのみ、オードパルファンのようなパターンが多く、賦香率のラインを整えでリリースされるケースは稀になりました。

香水に用いる香料の特徴をnote(香調)として表現します。上記に示したもの以外にもノートの表現は多々あり、合成香料アルデハイドの特徴が顕著なアルデハイディックなど使う香料に由来したもの、クール、パウダリックなど香りの印象に由来したものなど様々です。

どの様なノートの香料を処方するかで最終的にその香水の香りのタイプが決まってきます。ここにあげたのはあくまでベーシック、例えば「グリーンフローラルウッディタイプ」など、ノートの特徴が単一ではなく複数の組み合わせの場合にはタイプも複合的な表現になっていきます。

ただ、ノートの中には相乗効果を出しやすいもの、親和性の高いものも少なくなく、研究者によっては組み合わせやすさ、や伝統的にパターン化されているノートを「ファミリー」として分類しています。2つのファミリー分類をご紹介します。一つは英国の研究者ロジャダブによるもの、もう一つはドイツのハーマン&ライマー社によるものです。

ハーマー&ライマー社のファミリーは女性用と男性用にまず分けていますが、私自身は香水を使う時にこの境界線を越えた方が遥かに楽しくまた、本当に自分に似合うものに出会いやすいと確信しています。

それぞれのノート、タイプ、ファミリーについてはまた別の機会に。

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