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交通費の出ないボランティア (サミット2016[8])

202305190409「交通費の出ないボランティア」
2016年サミットのお話(その8)

私「これだけ大人数だと仕事には余裕があるので、先に食事か休憩をどうぞ。その後交代します」
男「ええわ(Noつまり否定の意味)。君、休みたかったら休んでー。僕はやるから。あんなー(あのねぇ)、僕ら交通費も出んのにやるんやー(出ないのにするのだ)」
 交通費も出ないんだったら最初っからやらなきゃいいんじゃん!

 近鉄(きんてつ)鳥羽(とば)駅改札口横のタダ働き仕事(ボランティア通訳)の持ち場に着いたら、そこには通訳ID(写真付名札)を付けていないカジュアルウェアのむさ苦しい男が数人たむろしていた。
「誰?」と私が彼らに聞いたら『鳥羽市からのボランティア』だと言う。え? そんなの聞いてないよ。だいたい今でも三重県からのボランティア(私たち)は余ってるのに更に鳥羽市からボランティアだって? 要らない。その鳥羽市のボランティアたちの一人が冒頭の男だった。

 準備段階で三重県のサミット事務局が予想していたプレス(特に外国人報道関係者)の数に対して、フタを開けてみた結果としては(伊勢志摩サミット会場を構成する)伊勢・鳥羽・志摩地域に実際に来たプレスの数は相当に少なかったようだ。仮にプレスの数がそこそこであったとしてもボランティア(この場合は本当に志願者の意味)の数が多すぎたのである。
 だからサミット(*1)の前日(5月25日)の鳥羽市では、警官の数は尋常でなく『戒厳令か?』と思わせて、実際に鳥羽駅周辺ではプレスをちらほら見かけたものの、ガイドとしても通訳としても三重県が募っていたボランティアは仕事がほとんどなかったのである。それなのに何で鳥羽市から? それで私は「仕事はヒマだから交代で休もう」と言ったのだ。

 ところで冒頭の男は実際に仕事が出来るのだろうか?
(つづく)

(*1)伊勢志摩サミット(2016年5月26日と27日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160265.pdf

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