見出し画像

スイス[40]国境で危うく捕まりそうになる

202301112026 スイス[40]国境で危うく捕まりそうになる

いかつい男「ちょっとお前(私のこと),パスポートを見せろ」
私(ビビりながら)「あ,はい,ええと,ちょっと待って下さい」
「いかつい男」たちは制服を着ていてどうもスイスの国境警備隊員の様子でした。何かまずいことしたかな? 捕まるのかしらん…不安…

私「はい,これが私のパスポートです」(と男に見せる)
男「日本人か。でもお前(チューリッヒ空港の)スイス入国のハンコがないじゃないか。どうやって入国したんだ? え?」(と詰問口調)
私「ええとですね,日本からドイツのフランクフルト空港まで直行便で来てそれからはバーゼル経由の鉄道で…」
男「あぁ,確かにフランクフルトで入国しているな。そうか。ならいいよ」(とパスポートを返してくれる)
(以上はイタリア語訛りの男と日本語訛りの私との英語でのやりとり)
 どのみちスイス・ルガーノからイタリア・ミラノまで行くつもりだったのでパスポートは持っていたのですが,しかし空港以外で国境警備隊にパスポートを見せろ,と誰何 されたのは初めてで,仮に捕まらなくても手持ちのカメラを没収されたりそこまでいかなくても記録媒体(SDカード)を取られたらと思いっきり不安になりました。

 結果的には放免されて国境警備隊員達は自分達の事務所に戻って行ったのでしたが,私としては悪いことはしていない(つもり)だとはいえ,怖くなかったと言えばウソになります。
 何年か前,スイスとイタリアの鉄道国境駅であるキアッソ駅構内のことでした。

 スイスは内陸国なので当然陸路で通過する国境があります。今まで私が経験した限りでは,道路(自動車)で隣国に越境する際にはその国境で少なくとも税関吏がいる場合が多いようです。交通量の少ない細い道路だと国境の検問所が無いか,事務所のような建物があっても誰もいない場合もありますが,大きな道路だと必ず税関事務所があり「申告する物はないか?」と税関吏に聞かれることがあります。
 いわゆるパスポートコントロール(出入国管理)は,スイスとその隣国はシェンゲン圏ですので原則ありません(スイスはシェンゲン協定に加盟していますがEU国ではないので出入国管理はなくても税関はある訳です)。

 しかし,私は上に書いた様にイタリアとの国境を越える際に危うく国境警備隊員に捕まりそうになったことがあります。「捕まりそう」というのはちょっと大袈裟なのですがシェンゲン圏内の国境越えなのにパスポートを見せろ,と言われた訳です。
 このへんは実は私はよくわからないのですが地元の人はともかく,シェンゲン圏以外の国籍を持つ旅行者は仮にシェンゲン圏内の国境越えでもパスポートを持つべきです。
 で,怪しまれた理由ですが,彼ら(国境警備隊員)は何も言わなかったのですが推測するに鉄道・駅の写真それも国境の様子をバシャバシャ写真機で撮っていたからでしょう。
 手元のグーグルマップを見るとキアッソ駅は駅構内にスイス・イタリアの国境線があるという奇妙な駅です。駅だけではなく駅前に出ると駅出口の南側50mくらい先に道路の国境検問所が見えます。
 キアッソ駅で降りずに列車に乗ったままこの路線を通った際には列車内でパスポートコントロールも税関検査も受けたことは私の経験ではありません。しかし無人状態で機能していなかったとはいえキアッソ駅構内では税関で申告をするための事務所(というか窓口)はありました。

 今回,私がパスポートを見せたのは税関吏ではなくてスイスの国境警備隊員だったわけですから関税のことではなく,防犯・保安上の理由だったに違いありません。今は鉄道の情報などは世界中からインターネットや偵察衛星でいかようにでも取れますが,戦時などでは鉄道システムは軍事上重要だからです。
 今回も,日本人で特に悪さをしている訳ではなさそうという理由で強くは注意されなかった,かどうかはわかりませんが私にとってはかなり緊張したことは事実です。
 これから旅行に行かれる鉄道写真好きの皆さんのご参考になればと思います。

(参考)川辺謙一,日本の鉄道は世界で戦えるか,2018年2月21日第1刷,p.176には「海外では(略)駅で一眼レフカメラを持って歩いているだけで目立ちますし、怪しまれて職員に注意されたり、警察官に職務質問をされ、パスポートの提示を求められることもあります。…」とあります。私はこの本を読む前に経験したのですが,注意すべきではあります。日本人に好意的で写真を撮ることを積極的に許してくれたスイスの鉄道職員もいた,という経験が私にはありますがこれは例外的であり現地では気をつけた方が良いでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?