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【なぜあなたの農業はもうからないのか】農業は儲かりにくい職業!?

【浜松で次郎柿の栽培と販売をしている3代目農家です。儲からない農家だった私が経営をどのように学んできたかを書いていくブログです。新規就農者か農家を目指している人、また2代目農家さんへのおすすめです。】

柿

なぜ農業は儲かりにくいのか?
MG(マネジメントゲーム)を経験した私は経営の師匠から農業の儲かりにくい構造を教えていただきました。一つ一つ解説していきます。

1 自分で価格を決められない
 2 生産量が土地の面積に比例し、気象条件に左右される
 3 初期投資がかかる
 4 1個当たりの利益額が低い
 5 商品の差別化がしにくい
 6 現金になるまでに時間がかかる
 
1農業は自分で価格を決められない。
農産物を農協や市場に卸した場合、農家は自分で商品の価格を決められません。価格は買い手が決めます。普通の商売でしたらあまりないことです。

ここを読んでいる皆さんは物を買いに行ったときに自分で価格を決めて買い物をしたことがありますか?例えば、洋服を買うときに「この服は生地が少し安い物だから1000円で買いますね」いうような感じです。

その商品(農産物)を作るのにどれだけ手間(経費や時間)が掛かっていたとしてもそれは買い手にはあまり関係のないことです。価格は出荷量や需要によって決定され、安定せず、農家に決定権はありません。

売り上げの予測がつかないと、どれくらい利益が出るのかがわかりません。そのため経費や投資をどの程度行ってよいのか判断がつきません。多くの人は良かった時の数字を参考にするので過剰な経費や投資になりがちです。逆に「来年不作だったらどうしよう」という思いから必要な投資をするのに及び腰になってしまう場合もあります。

2生産量が土地の面積に比例し、気象条件に左右される
すでに農業を始めている方ならわかることですが、農産物の生産量は土地の面積に比例します。工夫をすることで反当りの収穫量を上げることも可能ですが、限度があります。生産量を増やすには規模拡大が必要になります。規模拡大をするとその分、経費がかかります。

生産量が増えたことによって粗利が上がってもそれ以上に経費が上がると利益は下がります。しかも品目によっては実際に生産量が増えるまでに長い時間がかかるものがあります。(果樹など)

さらに、どんなにきちんと経費をかけて農園を整備しても台風や遅霜など、気象条件で生産量が落ちることが多々あります。自然は容赦がありません。経費を掛けたにもかかわらず生産量が落ちれば、売り上げが下がって利益は下がります。

3お金と技術の初期投資がかかる。
農業は投資産業です。まず土地が必要です。その次は農業用倉庫そして農業機械です。どちらも、ものすごい高い金額です。とてもすぐには払えないので銀行にお金を借りることになりますが、1番2番の理由から売り上げは安定しません。しかし返済は待ってくれません。

すでに倉庫や機械に投資をしてしまっているので利益を上げるために他のことに投資をすることもしにくくなります。そして何より借金や農地があるために儲からなくても仕事を辞めにくく、転職がしにくいです。儲からないまま、生活が出来る分だけの利益で回していかなければいけなくなって貧乏な農家の出来上がりです。

また、農業技術の習得にも時間がかかります。まともな農産物が作れるまでには最低でも1,2年は必要でしょう。そうした時間的なコストもかかります。

4 1個あたりの利益額が小さい
農産物は人々の食生活を支えるインフラの役割もありますので、みんなが買える金額でないといけません。それは大切なことなのですが、どうしても1個当たりの販売金額は低くなり利益額も低くなります。

そうすると利益を出すためにたくさん売らなければ行けなくなります。そうすると1個当たりの販売経費がかかり利益が下がります。また、2番の理由から収穫量がすぐに多くなることはありません。

5商品の差別化がしにくい
「うちの野菜は他の所のちがっておいしい」という農家の方がよくいらっしゃいますが、はたして本当にそうでしょうか。小さな差はあるかもしれませんが、おいしさの感じ方は人それぞれなので、際立った明確な差がない場合、差がないのと一緒です。

また、もし明確な差があったとしても、そうしたところをうまく消費者に伝えられないと差別化はしにくいでしょう。また農産物のパッケージだけを個性的にしても、他の農家に真似をされやすく差別化が難しいことと、パッケージを変えただけでは販売価格が上がりにくく経費を余計にかけることになります。

ここまで読み進んだ方の中にはこれから農業に挑戦しようという方がいらっしゃるかもしません。もし撤退をするなら今のうちです。それは逃げたことではなく賢明な判断だと私は思います。

わたしは経営の師匠に「農家になるやつは前世で悪行を重ねたから罰として農家に生まれた」と良く言われます。これはもちろん冗談ですが、これくらい大きな利益を出すのが難しい業種なのだと思います。すでに農家の方や投資をしてしまった方は、どうやって利益を出していくのか、このブログが多少のお役に立てれば幸いです。

では、こうした不利な条件があるのに、私はなぜ農家をやめずにやっているのか。次回はこちらを書きたいと思います。

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