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個人開発者向けにWaterfallの欠陥とメディエーションで単価を上げるテクニック、マルチコールを世界一わかりやすく説明する

前回のnoteで、WaterfallとOpenBiddingbiddingの違いを説明しました。
今回はWaterfallで単価を上げるテクニックであるマルチコール(マルチビッディング、マルチフロアプライス、多段配信、みたいに色々な呼び名がある)を説明するぜ。

マルチコールはその名の通り、一つの広告事業者に対して、何度も広告をリクエストする配信構成。
たしか外資系のイケてる事業者たち(ironsource、Mopub、Applovinらへん)が2017~18年頃この仕組みを日本に持ち込んできて、一気に流行した記憶(当時は結構、画期的だった)。

てことで、今回はマルチコールの説明をするよ!

Waterfallの復習と機会損失

Waterfallの単価が決まる流れ覚えてますか?
忘れちゃった人はこっちのnoteで復習してね
個人開発者向けにAdmobメディエーションを世界一わかりやすく説明する

ザックリ説明すると、広告リクエストが来ると、「事前に設定された単価を基に、広告事業社が高い順に並び変えられる。その後、上から順番に設定単価よりも高い単価で買える事業者がでるまで、広告リクエストを飛ばしていく」でしたよね?図にするとこんな感じ。

この配信構成は過去実績を基にして、順番に広告リクエストを飛ばすので、どうしてもその瞬間のリアルタイムの単価と乖離してしまって、機会損失出てしまいます。

例えば↓の順番で広告リクエストがきて、ironsourceが買わずに、Admobに広告リクエストが落ちて、Admobが$10で広告リクエストを買って、広告が配信されたとします。
しかし、このとき後ろに控えているLINEは本当に$10以上出せなかったのでしょうか?LINEは$8の順番で待っているだけで、広告リクエストを飛ばすと、もしかしたら$15出せたかもしれません。


このように過去実績を基にリクエストを飛ばすWaterfallは多かれ少なかれ、最高単価を出せる事業者を取り逃してしまい、機会損失を生んでしまいます。
この機会損失を軽減するのが、マルチコールです。

マルチコール

マルチコールはその名の通り、メディエーション内にいる同じ事業者に複数回広告リクエストをあてる方法です。
例えばさっきの広告リクエストのとき、$8の順番にいるLINE以外にも、$12の順番にLINEがいたらどうなっていたでしょう?
以下の図のようにironsourceが買えなかったとき、さきほどの例だとAdmobが$10で買ってましたが、今回は$12の順番にLINEがいることで、LINEが$15で広告リクエストを買うことができました。

こんな感じで広告事業者につき、複数のフロアプライスを設定してあげて、広告リクエストを飛ばすと、フロアプライスが1本ずつだった時と比べて、収益の向上が期待できます。
一つの事業者に複数のフロアプライスを設定して、複数回広告リクエストを飛ばす、これがマルチコールはです。
イメージ図にするとこんな感じ↓


レイテンシー問題

みなさん、お気づきかもしれませんが、理論上、広告事業者が入札してくるであろう単価帯で、全ての事業者に1円刻みでフロアプライスを引きまくれば、収益棄損が無くなり、収益性は最大化されます。しかし、ここで問題が起こります。レイテンシーです。

当たり前ですが、フロアプライス一つにつき、
「おぬし、〇円以上で広告ある?あ、ないなら大丈夫。次の人に聞くから」
の通信が行われ、広告を買う事業者が決まるまで、これを繰り返すわけです。

例えば、ゲームアプリのバナー広告だと1~500円まで1円刻みで、各広告事業者に500本フロアプライスを引けば、かなり高い確率でどこかの価格で広告は買われ、機会損失を防ぐことができるでしょう。
しかし「広告が決まるまでに時間がかかり過ぎて、広告が出る前にユーザーが離脱して、結局インプレッションを欠損してしまう」みたいな本末転倒な事態になるリスクも高まります。

なので、イケてるデベロッパーさんは広告が買われるボリュームゾーンの単価を調べて、その周辺に多めにフロアプライスを引くなどをして、効率よく運用していたりします。

またこのレイテンシー問題を解決するのが、前回説明したOpenbiddingです。
フロアプライスとか引かずに「みんなで何円だせるか、せーので言い合おうね!一番高い人が広告リクエストを買うよ!」で単価が決まるので、レイテンシーも少なく、機会損失も最小化されるんでしたよね。忘れちゃった人はちゃんとこっちのnoteで復習してね。

個人開発者向けにAdmobメディエーションを世界一わかりやすく説明する

結局どう設定すればいいの?

結論、両方とも設定するのが無難
基本的には運用の手間もなくなるし、機会損失もぐっと小さくなるので、Waterfallじゃなくて、OpenBiddingを優先して設定するのがおススメ。
とはいえ、AdmobのOpenBiddingにすべての事業者が対応しているわけでもないし、アプリによっては、少し手間をかけてWaterfallでマルチコールで運用した方が、OpenBiddingよりも収益が高いこともあるので、OpenBiddingとマルチコールのWaterfallを両方とも設定するのがおススメ。(例えば、Waterfallで複数のフロアプライスを引いたApplovinとOpenBiddingのApplovinがいるイメージ)
ちなみに事業者によっては、WaterfallかOpenBiddingどちらかしか設定できなかったり、そもそもOpenBiddingに対応していなかったりもするんで、詳しくは各広告事業者の担当に聞いてみてね!

まとめ


・Waterfallを普通に設定すると機会損失がでてしまうよ
・Waterfallの機会損失を防ぐために、アドネットワークに複数のフロアプライスを設定するよ。これがマルチコール
・たくさんフロアプライスを設定しまくると、レイテンシーヤバいから、フロアプライスは効率よく設定しようね
・OpenBiddingがおススメだけど、Waterfallと並行して設定するとよりいいよ

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