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インターネット広告市場における士業広告の調査

甲斐 亮之
株式会社ギャプライズ 代表取締役
士業適正広告推進協議会 理事

本稿は2021年4月28日に開催された、一般社団法人 士業適正広告推進協議会のシンポジウム「士業広告の現状と将来像」内容の一部抜粋、加筆修正となります。

1. 好調なインターネット広告市場

電通報「2021年 日本の広告費」によると、コロナ禍においても延び続けていたインターネット広告費は、ついに2021年、マスコミ4媒体(「新聞」「雑誌」「ラジオ」「テレビメディア(地上波テレビ+衛星メディア関連)」の媒体費と制作費の合算)広告費を上回りました。
参照元:https://dentsu-ho.com/articles/8090

2. 士業系インターネット広告規模の推移

士業市場におけるインターネット広告規模も、同様な推移を辿っています。
下記データは2019年4月~2021年3月のトラフィック推移で、COVID-19の影響下においても堅調な推移を見せています。

参照元:SimilarWeb調べ

同一期間の中で、特徴的な動きを示しているデータが下記です。観測起点である2019年4月と観測終点の2021年3月を比較すると、60%弱を占めていた上位2サイトが30%以下にトラフィックシェアが落ち込んでいます。

市場全体のトラフィック量が落ちていないため、本データが示すのは上位2サイトのトラフィック量が減ったのではなく、新規参入企業(Others)が増加し、市場のコモディティ化が見られ、シェア率の平坦化が進んできていることを指しています。

参照元:SimilarWeb調べ

もう一歩掘り下げ、士業系キーワード5,000語をグループ化し、トラフィック量TOP10のWebサイトを調べたところ、下記結果となりました。(2021年4月時点)

注目なのは、4位に位置する「ジャストアンサー」。ユーザーと士業をマッチングさせた上で個別相談に移行するモデルではなく、月々定額(いわゆるサブスクリプション型)ユーザーと専門家のチャットサービスです。
インターネット上での評判はポジティブネガティブともに並んでいますが、今後はこういったサービスが伸びてくる可能性があることは念頭に置いたほうがよいと考えます。
余談ですが、ジャストアンサー2003年にカリフォルニアで生まれたWebサービスで、類似サービスが各国から参入してくる可能性は否定できません。

3. 動画広告へのシフト

伸長するインターネット広告市場において見逃してはならないのは、動画広告。
下記が示すように、インターネット広告市場を牽引しているのは、今や動画広告です。

参照元:https://webtan.impress.co.jp/n/2022/04/05/42565

下記は2020年2月~2021年4月というCOVID-19が猛威を振るっていた時期における、某動画プラットフォーム上での士業業界動画広告出稿量の推移です。有料検索広告出稿(リスティング広告など)が減っている中でも、動画広告の出稿量は増加していることが分かります。

ここで注意すべき点は、動画広告は新しい分野であり、広告表現のチェックや審査が緩いという点です。動画広告に触れる機会が多い方は、過激だったり行き過ぎた表現を見かけることが日常的かと思料します。テキストや静止画の広告クリエイティブへの審査精度は向上しつつありますが、動画領域についてはまだまだ注視が必要です。

インターネット広告市場が伸び、士業広告も比例して伸びていくことが、本当に困っている方々、士業の手助けが必要な方々に対して貢献できる世の中になる為にも、適切な広告であることが必要です。士推協のようなマインドと姿勢、取り組みが必要とされる時代なのだと感じる日々です。


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