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雪のブダペスト

昨日の朝は、他大学での講義の準備が終わっておらず、起きてすぐ外を見ずに部屋で作業していた。十時ごろ、そろそろ大学に向かわなければならないのでカーテンを開けてみると、一面雪景色であった。

最近確かに寒くなってきたが、特別寒すぎることもなかったし、これから本格的に冬かなぁと思っていたところ、突然の雪で驚く。痛いほど寒くなった。今年でハンガリー生活も三年目になるが、こういった突然の雪(または夏だと豪雨)に驚かされることも少なくない。地球温暖化の影響もあるのか、どこも気候は不安定のようだ。

日本では関西の雪のない地域にずっと住んでいたので、雪を見ると少し気持ちが高揚する。それと同時にまだ雪用の靴の用意してないのに、とか、コートに雪がかかって痛みそうだなぁ、とか、トラムが遅れてるんじゃないかとか、色々現実的な側面を考えたりしてしまうのが嫌だ。

なんとか苦労して最寄りのトラムの駅までたどり着くと、子供たちが雪玉を作っていた。人間には雪を見ると丸めたくなるプログラムが予め内蔵されているのかと考えるほど、どこに行っても子供たちは雪を丸めているような気がした(雪に限らず土でもいいのかもしれないが)。

生活者として雪を体験すると日常のあれこれに支障が出て困ることばかりに目が行きがちだが、ちょっと離れた旅行者の感覚で街を見渡してみると雪景色はとても綺麗だ。いつも見ている国会議事堂、鎖橋や聖イシュトバーン大聖堂がちょっと化粧されたようにまた違った魅力を見せてくれる。

そう言えば京都に住んでいた時のこと、京都も寒い割には滅多に雪が降らなかったが、たまに降った時はお寺や神社などが綺麗な雪景色の一部となっていた。生活者としては自転車が使えなくて困るなぁとしか考えていなかったのだが。

たまに旅行に行かなくてもこういう視点転換がスムーズにできたら、いつも住んでいるところでも新鮮に見直せるのかもしれない。それはまるで一瞬異国に来たような錯覚を起こさせる。雪が滅多に降らないブダペストだからこそ、たまの雪は街を違った形で魅せてくれるようだ。