女性の社会進出とアール・デコ
当店の作品は
ひとりの職人の
伝統的技法で手創りされているのですが、
その職人の
美意識の源流には、アール・デコがあります。
アール・デコは
第一次世界大戦時の
女性をとりまく世相と深く関わっています。
1914年に始まった第一次世界大戦によって多くの男性が戦場に出ていった後に、社会の空白を埋めるために女性の進出が始まりました。
社会に出た女性が必要としたものは、装飾よりも機能に重点をおいた衣服であり、身の回り品でした。こうしたことが二十世紀初頭の人々の生活に大きく影響して生まれたのがアール・デコです。
無意味だった戦争を忘れるために、人々は懸命に働きました。
より活動的で合理的な生活を求めようとする社会に、アール・デコは完成しました。
自然で単純な形を求め、それが抽象的なデザインに集中していき、
直線、そして円、三角形、長方形といった幾何学的な図形による、
抽象的なデザインの表現が生まれ流行しました。
宝飾品では、
アール・デコのデザインの最大の特徴は、
極度にすっきりとした幾何学的図形です。
色彩の組み合わせも大胆です。
アール・デコの時代になって、
初めて宝飾品の世界に登場した素材が、
プラチナと漆、そして日本の養殖真珠です。
変色することのないプラチナの白さは、ダイヤモンドを留めるのに最適であり、極めて硬いために、小さい部分で石を留めることができ、宝石の美しさを強調できるデザインがつくられるようになりました。
建築様式もインテリア、置き時計、コーヒーカップ、灰皿など、
愛らしく、ユニークで、お洒落です。
今の私たちの時代にも、ユニークで、ほのぼのしていて、優しくて、お洒落な
アール・デコの美意識があったのなら、
もう少し生きやすいのに・・・と思います。
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