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セリフを覚えることが仕事じゃないんだよ!

私が指導してるスクールでは、年に数回、所内オーディションがありまして

毎回監督やらプロデューサーやら、どっかの事務所の社長やら呼んで審査してもらっているんです。

それに向けて、演技審査用の台本を使ってのレッスンもやるわけなんですが、

セリフを覚えて来ない人がめちゃめちゃ多いんですね。

終わりです。

レッスンだからってセリフを覚えて来ない時点でその人は終了だと私は思っています。

プロにはなれない人です。

これはワークショップでも同じ、オーディションでも同じ。

「覚えられなかったら台本持ってもらって構いませんから」と言われたって

この言葉を信じちゃだめです。良いわけないから!

まず第一に、仕事を取るためには演技力どうこうより先に、信頼に足る人物であるかどうかが大事です。

ワークショップやオーディションで、前日の深夜だとか当日に渡した台本のセリフを、

ちゃんと覚えている人と、明らかに覚える努力をしてない人と、どっちが安心して仕事を任せられます?

そして、台本を持った状態では芝居になりません。
あなたが演じるその人物は台本を手にした状態で生きてるんですか?って話です。

俳優は五体の端から端まで全てを使って表現する人です。そこが声優との大きな違いなんですが、

台本を手に持っている時点で、片手が死にます。

そして台本を見るから目も死にます。

そんなんで100%のお芝居ができるわけないですよね。

あなたがもし、台本を見ながらのお芝居でも十分に見せられる技術や魅力をお持ちならもちろんオッケーです。

ハリウッドのオーディションの様子で見たことあります。
 

お芝居というのは、何も考えなくても(思い出すことをしなくても)セリフが勝手に出てくる状態になってからの勝負です。

セリフを思い出そうとしている時点で矢印が自分に向いちゃってます。

矢印は自分以外に向けなきゃだめ。

台本は手放す。

そして、「思い出さなくてもセリフが勝手に出てくる状態」というのは、セリフを手放している状態ということです。

セリフを手放すことで初めて、相手に集中することができる、ただ目の前で起こっていることに対してリアクションすることができる、

つまり常に新鮮な芝居、リアルな反応ができる

わけなのです。

セリフを覚えるのは素人の小学生でもできます。

覚えるのは仕事じゃなくて、仕事をするための準備に過ぎません。

それ以外にやらなければいけないことがたくさんあって、

俳優の仕事は、そういった準備を楽しめるようじゃなきゃ結構キツいかもしれないです。

あなたにしかできないその役を演じるためには、セリフを完璧にしてからの勝負ですよ。

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