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やめる勇気〜大きなリスクを抱える葛藤

しばらく投稿をお休みしてしまいました。
なぜならば…
前回の投稿の翌日、ショッキングな一報が入り、自分の心が歩みを止めてしまったからです。

私の仕事は四刀流。
今や大谷選手の活躍で二刀流が当たり前な世の中になりつつありますが、さすがに四刀流は、あまりいないかしら?

四刀流の内訳はというと、スキーガイド、スキー教師、登山ガイド、ピラティスインストラクターです。
多岐に渡るので、知識をはじめとした資格維持(金銭的にも)には苦労をしています。中でもガイド業務は体力、気力ともに全力投球をしなくてはならないので、「いつまで続けられるのか?」という気持ちと常に葛藤しています。

そんな矢先の一報でした。

3月3日の夕方に友人からのLINE。
「利尻で雪崩があったね、巻き込まれた人が心肺停止らしい」

ドキッとした私は、すぐさまネットニュースを検索。
しかしそれ以上の情報はなく、悶々とした時間だけが過ぎていきます。
なぜなら利尻山というのは、この時期、世界中から山スキー愛好者が訪れる場所であり、私のガイド仲間も多くが集う場所なのです。

その前の週に一緒だった、ガイドの先輩(年齢は下だけど経験値がめっちゃ高い)も行っているし、地元のガイド仲間も行っているはず。

兎にも角にもメッセージを送ってみました。
先輩からはすぐに返信がきて、「大丈夫です」とのただ一言だけ。
地元の仲間はマメな人なのに、待てど暮らせど返信がありません。

結果として、その地元の仲間がガイド中に起こってしまい、ゲストが亡くなった事故でした。

    ****

「なんでそんな危険なことをするのか」
「ガイドがいるのに、何のための安全対策なのか」

いろんなご意見があることは重々承知です。

ここで書きたい、書いておきたいと思ったのは、どういう状況でなぜそれが起こってしまったのか?ということではありません。

「なぜそんな大きなリスクを背負ってまで、その仕事をするのか?」という問いに対して、今、私が抱える葛藤を残しておきたいと思ったからです。

人さまの生死に関わる仕事をしている方は、世の中にはたくさんいます。
代表的なのは医師をはじめとした医療関係者、治安を守る警察官、救助活動をする自衛隊や救急隊員、消防士。交通に携わる方々もそうですし、危険な建設作業に関わる方々もいますよね。

では私が携わるガイド業はというと、絶対的に必要な職業ではなく、無くても生きていけるものです。
コロナ禍の時に、不要とされた職業のうちのひとつ。

けれども、人が人らしくあるために、ある人の人生が輝くために、その後押しをしてあげるために必要なのだと思います。

もちろん、その先に「死」があっては絶対いけないことなのですが…

私が行なっている四刀流の原点には「自分が好き」があります。
自分でやってみて、ものすごく感銘を受け(人生が変わるくらい)、この素晴らしさを人に伝えたい!という想いが根底にあります。

そんな自分の大好きが、時に「死」という刃を向けてくることがあるという事実。

    ****

正直、ガイドという仕事をどうするか悩んでいます。

私たちガイドは、雪崩のメカニズムや、そのリスク回避について勉強をします。もちろん雪崩に遭った時の救助方法、応急処置についても常にトレーニングを重ねています。

しかし、近年の温暖化による自然環境の変容には、どんなに頑張っても人間の力では敵いませんし、予測不可能です。

先月も2週に渡り、北海道ですら気温が日中10度を越える日が二日間続きました。
恐ろしいのは、その後の豪雪です。
溶けた雪面が冷えて凍結し、その上に大量の雪が降ると、その雪が滑って雪崩を起こしやすくなります。
そのリスクが、ここ数年めちゃくちゃ上がっているのです。

「もうやめちゃいなよ」
「まだまだ形を変えてでもできるでしょ」
「いい加減、歳を考えて」

いろーんな言葉が頭に浮かんでは消えていく毎日。

どちらにせよ、正解か不正解かは自分自身で決めることなのですが、「やめる勇気」がまだ無い私なのでした。





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