「好きなものは好き!」と言える気持ち抱きしめてたい

僕は人に流されやすかった。マジョリティの意見にいつも賛同してた。付和雷同ってやつ。

クラスの友達がいじめられていたときだって僕は声を上げることができなかった。僕はいわゆる傍観者だったけど、いじめていた側とも仲が悪いわけではなかった。「やめて」くらいいつもなら簡単に言える仲だった。

そんな僕には当然仕打ちが返ってくる。中学生の時、僕には好きな子がいた。入学しても僕は特に誰かとよくしゃべっているというわけでもなく、さっき言った「いじめていた側」とも別に休み時間に遊ぶとか、まして放課後に遊ぶとかそういうことをしていたわけでもなく、俗にいう「ぼっち」のような感じで我が道を進んでた。そんな寡黙さ、不思議さからなのか、僕が片思いしていた子は僕に告白してくれた。もちろん僕も好きだということを伝えて晴れてカップルとなった。

そんな時だった。「いじめていた側」の一人が僕に近寄ってきた。

「〇〇のこと好きだってな。」彼は言った。

「そうだけど。」僕は彼の意図が掴めずにいた。

「なんやお前。今すぐ別れろや。」

聞くと「いじめていた側」のリーダー格がその人のことが好きだったらしい。それで僕みたいなやつが選ばれたことに納得いかず近寄ってきたそうだ。

「くっっっっっっっっっっっそださっ。」僕は心の底からそう思ったがリーダーの目、また彼につるんでいた人たちの目が気になり言えなかった。

今思えば後悔しかない。勇気を出して人気も面白さもなかったスクールカーストでいうと最下位の僕に、最上位クラスの彼女が告白してくれたというのに「いじめていた側」の圧力に負けて別れてしまった。

「ごめん、他に好きな子がいる」

苦し紛れに放った僕の言葉は嘘であふれていた。でもその言葉が彼女の胸に突き刺さった。彼女は泣いた。泣いて泣いて泣いて、声が出なくなるまで泣いた。僕はそっと抱きしめた。これが最後になるかもしれない、いや最後だ。思いの限り、一生分そばにいてあげよう。

彼女が泣き止んだ後、僕は彼女を家まで送ってあげた。

「ごめんね、ありがとね。じゃあまたねバイバイ」

「うん、また明日学校でね。バイバイ」

彼女と「恋人」として交わした最後の会話。

僕の心に深く深く、今になっても忘れられない。


どんなときも どんなときも

僕が僕らしくあるために

「好きなものは好き!」と 

言える気持ち 抱きしめてたい。


本っっっっっっっっっとうにありがたい限りです。