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A-Leagues All Accessエピソード11~15見どころなど

A-Leagues All Access各エピソード紹介記事、第3弾。
前回のエピソード06~10はこちら。

各タイトルにはYouTubeでのリンクが貼ってありますがKeepUpでの特集ページはこちらに(ビジュアルがかっこいいので改めてリンク)。

エピソード11:John Aloisi 「In the Blood」

このエピソードの主役:
今回焦点を当てるのはウェスタン・ユナイテッド男子の監督のJohn Aloisi。選手として現役の時代にはオーストラリア代表として数々の重要なゴールを決めた国民的英雄ですが、監督としてのキャリアはアップダウンが続いています。ちなみに新興勢力であるウェスタン・ユナイテッドをチャンピオンに導いた2021/22シーズンはドキュメンタリー「United」にもなっているので豪国内ならそちらもぜひ(詳細はこちら)。
そしてフィーチャーされてる試合は2023年1月21日にタスマニアで行われたウェスタン・ユナイテッドvsシドニー戦。まだこの頃は順位表が勝ち点が近く混戦になる前だったので調子が乗らない下位半分同士の争いには結構緊張感がありました。

注目ポイント:
A-Leagues All Accessは前述「United」よりずっと短い映像作品ですがそれでもAloisiの選手として、そして監督としての成功の間にあった時期についても語っています。そのうちの一つが監督として仕事をしていない期間にあった命の危機についての話。この手の話はおかしいなと思ったけど気にしないでいたら倒れたというケースが多いのですが違和感を感じて受診したのが良かったようで広く教訓にもなる話です。
そしてベテラン選手と今後について話すシーンや試合のハーフタイムのシーンなどAloisiがいかに対話を重視して対話で信頼を育んでいるかがわかる場面がたくさん。英語以外の言語も交えているのも面白いですが契約の話で選手が年齢を気にしている様子なのをポジティブに返すシーンもいいなと思いました。
このエピソードでちょっと残念だったのが注目した試合で唯一の得点だったスーパーゴールの映像がクローズアップでしかなかったこと。ぜひ広角で見て欲しいのでゴール動画リンクしておきますね。

エピソード12:Jason Cummings 「Why So Serious?」

このエピソードの主役:
スコットランドで様々なクラブを渡り歩き、色々な経緯から問題児扱いされて地球の裏側のセントラルコーストに転がり込んでSocceroosになる夢を叶え、ワールドカップにまで行ったストライカー、Jason Cummings。(彼自身を含め)Aリーグ待望のエピソードです。というか30分じゃ足りない。でも彼の面白いところが色々観れるので是非「the Cumdog Show」を楽しんでください。ちなみにスコットランド訛りに慣れていない人は字幕推奨。
もちろん試合の方でも活躍を是非、と言いたいところでしたが1月28日のセントラルコーストvsウェスタン・シドニー・ワンダラーズの試合はなんと事前の怪我で珍しくベンチスタートに。怪我については映像の中で言及があって対戦相手にもその情報は伝わってたり。あと最後で原因についてちょっとバラシがあるのを聞き逃さないように。

注目ポイント:
スコットランドで彼についた悪い評判はある程度は彼自身が招いたものであっても全部が正当なものではなかったようで。このエピソードでも色々しょうもないことしているのが撮影されてますが(笑)決して「悪童」ではない。ふざけるときはふざけるし、良い兄貴的存在だし、ピッチに立てば100%シリアス。そして仲間を大事にするし監督を信頼しているしセントラルコーストやSocceroosでの時間と思い出を真摯に大切にしている。そんな様々なキャラクターをうまく描いてるのが楽しいエピソードです。
そしてそんな前評判が賛否両論なCummingsを信じてセントラルコーストに呼んだMontyことNick Montgomery監督(そもそもあのクラブは若い選手が多いので悪い人間は呼ばないとこちらも信頼がある)、そしてシリアスもおふざけもひっくるめてCummingsを迎え、その存在を受け入れ楽しむセントラルコーストとオーストラリアのサッカーファンの愛という構図まで含めて彼がこっちに来たのは成功だったんじゃないかと思います。多分Aリーグ史上一番のラブストーリー。

エピソード13:Craig Goodwin 「Don't Let Fear Stop You」

このエピソードの主役:
カタールW杯でフランス(準優勝)相手に1点、アルゼンチン(優勝)相手にオウンゴール誘発、ついでにチュニジア戦でもアシストと大活躍したSoccerooでありアデレード男子チームのキャプテンのCraig Goodwin。その左足にはヴィクトリーサポーターとしてなんども泣かされていますがAリーグを普段見てない人にはいきなり出てきたように見えているようです。
そして今回焦点を当てる試合は2月4日、アデレードvsブリスベンの試合。以前記事を書きましたがアデレードのホームグラウンドHindmarsh(Coopers Stadium)がめでたく改修を終えて土曜の夜の試合で盛り上がる様子にも注目です。

注目ポイント:
まず最初にびっくりしたのはすっかりビデオカメラの時代とはいえ子供の頃からGoodwinのプレーを映した映像がこんなに残ってるんだ、ということ。(他のエピソードだと写真が多いはず)そしてその映像を通してGoodwinの成長を追っていると「もっと早くに評価されても良かったのでは?」という思いがどうしても頭をよぎります。Aリーグのクラブに雇われずKFCで働きながら当時Papasさんが監督だったOakleigh Cannonsでプレーしていた時代も、ニューカッスルで頭角を現した時代も、周りの評価に左右されずずっと続けてきた、それが実ったのがワールドカップの大舞台でした。
そもそもアデレードのキャプテンになったのも2022年2月に当時キャプテンだったStefan Maukが日本に移籍して初めてだったのも思ってみれば遅すぎるくらいで(ちなみにGoodwinの方が年上)。でも彼が「完成し始めた」のはキャプテンになったのが一つのきっかけだったようにも思えます。そんな頼もしいリーダーとしての姿の一部もまたこのエピソードで見てほしいポイントです。

エピソード14:Ulises Davila 「Be Kind. Be Brave. Be Happy.」

このエピソードの主役:
Ufuk Talay監督の下のウェリントン・フィーニックスは外国人の補強を間違えない、という評判は今や確立していますがその初期の例で最たる例の一人がメキシコ人MFのUlises Davila。現在ではマッカーサーに移籍してキャプテンになっていますがニュージーランドでもオーストラリアでも変わらず愛されています。彼がAリーグに来るまでの紆余曲折の選手生涯はこちらのポッドキャストで詳しくインタビューになっています。
フィーチャーされてる試合は2月12日のマッカーサーvsウェリントン戦。Uliにとっては古巣相手ですが前述通り向こうにも愛されていますし古巣だからといって緊張感が増すわけではありません。ただマッカーサーは数試合前に監督が変わったり苦しい時期での試合。なんとしてでも勝ちがほしい試合でした。

注目ポイント:
2021/22シーズンが終わってAリーグおなじみの長い長いオフシーズンになった間に突然「Sokkah Twitter」を駆け巡った悲報、それがUliの奥さん、Lilyさんが亡くなったという知らせでした。メキシコに戻ったあとシドニーに戻ってきた、と聞いた時はみんなが「色々済ませて小さい息子とメキシコに帰るんだろう」と思っていたのですが、その予想に反してUliは2022/23シーズンもまたオーストラリアで、マッカーサーでプレーすることを選びました。彼と家族を襲った悲劇、そして彼がどんなつらい決断をすることになったか、そしてオーストラリアに戻ってきた理由とオーストラリアカップで優勝した時の思いなどをこの場で語ってくれたことになにより感謝したいです。
今回のエピソードはそういった話が中心になっていますしフィーチャー試合もUliを愛するクラブ同士の試合なのでエモーショナルな部分はもちろんあるのですが、でもサッカーの神様はそんなこと関係ないかなり珍しいハプニングをこの試合に落っことしてくれました。ちゃんと試合シーンに入ってるので是非。

エピソード15:Andrew Redmayne 「Mr. Normal」

このエピソードの主役:
カタールW杯に至る最後の関門、大陸間プレーオフのペルー戦の延長戦終わりで出てきて全てをかっさらっていった国民的英雄(そしてペルーの国民の敵)、「Grey Wiggle」ことシドニーの守護神Andrew Redmayneが今回の主役。あれからテレビ出演なんかも結構ありましたがそれとはちょっと違う雰囲気で、そしてメディア初出のとある「アイテム」なんかも出てくるしっかりオリジナルコンテンツになっています。
そんなRedmayneことReddersに密着した試合は2月18日のシドニーvsブリスベン戦。ダウンが多めのアップダウンありのシーズンの中やっと3連勝できて特にまだ勝ちが少ないホームでの試合、さらに不調のブリスベンを迎えて・・・という経緯だったはず。

注目ポイント:
ゴールキーパーはみんなそれぞれクレイジー、みたいな話を色んなところで聞きますがReddersはタイトルが示す通り本来はごく普通の人間でスターになるような人物でもありません。あえて言えば背とヒゲとPKを受けるときの動きくらい?でもその後者2つはゴールキーパーとしての能力を伸ばすために意図的に身につけたもの。キャリアの危機を救ったものがAリーグではもちろん、まさかSocceroosの命運を救うことになるとは誰が思っていたか、と言いたいですが本人と代表のGKコーチ(元シドニー所属)のJohn Crawleyさんは信じてたそうで。
Aリーグも世界の多くのリーグと同様W杯の余韻なく再開していますがリーグでのゴールキーパーとしての戦いは代表とは全く別物。今回のようにシドニーが攻めることが圧倒的に多くゴールキーパーの出番が少ない試合もあります。そんな中でのReddersの振る舞いやアプローチ、試合の捉え方などを知るにも貴重と言えるエピソードかもしれません。あ、ネタバレしますがブリスベン側が蹴るPKはありませんでした。つい期待してしまったんですが残念(笑)

次回(エピソード16~20)に続く。