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Quarantine, Qatar, Qualifying: メルボルン・ヴィクトリー2020年ACLキャンペーンのタイムライン

メルボルン・ヴィクトリー、2020年アジアチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出。
誰がこうなると予想していたか、誰かこうなることを予想できたのか。
オーストラリアのクラブとしては2016年に同クラブとシドニーが進出して以来のことで、リーグのレベルなどを考えても意外なことだったのですが実際の状況の様々な要素を考慮するとこの結果にはサポーターとしても本当に驚くばかりで。
なぜそこまで驚異的な事なのか、あくまでも淡々と経緯を整頓してタイムラインにまとめてみたいと思います。(あまり関係ないAリーグの試合は容赦なく省略します)

2020年

1月13日 前日のAリーグ第14節Central Coast Mariners vs Melbourne Victory(以下MVCと略)の試合後に今シーズン始めに就任した監督Marco Kurzが解任。Carlos Salvachua氏(当時アシスタントではない形で所属)が臨時として監督に。(この時点でリーグ6位)

1月21日 ACLプレーオフ第1戦 MVC vs Bali United:5-0で勝利

1月28日 ACLプレーオフ第2戦 鹿島アントラーズ vs MVC:0-1で勝利(グループステージ進出、クラブ初のACLアウェー勝利)

2月11日 ACLグループE第1戦 MVC vs Chiangrai United:1-0で勝利

2月18日 ACLグループE第2戦 FCソウル vs MVC:1-0で敗北

3月15日 Aリーグ第23節Wellington Phoenix vs MVCの試合数時間前に海外からオーストラリアに翌日0:00以降に入国する際には(NZからでも)2週間外出厳禁の隔離期間が設けられるという決定が知らされ、試合後急いだものの真夜中のタイムリミットに間に合う便がなくMVC一同帰国後隔離(練習不可)となることに。(この時点でリーグ9位)

3月23日 オーストラリアの国境が封鎖され、Aリーグ第26節Newcastle Jets vs Melbourne Cityの試合を最後にリーグ中断。他にもこの頃から移動に関する規制や学校など一部の業種の活動停止が始まり、集団での運動、屋内での運動にも規制がかかりMVCの活動も休止に。休止中に外国人選手数人ならびにSalvachua監督が離脱、欧州に帰国。アシスタントを務めていたGrant Brebner氏が臨時で監督に就任(6月10日、トップチームの監督は初就任)。

7月9日 メルボルンを中心とした第2波によるロックダウン。VIC州とNSW州の州境封鎖。Aリーグの残りの試合がNSW州で集中開催されることとなりメルボルンを本拠とする3クラブ(MVC、Melbourne City、Western United)が州境封鎖・隔離が必要になる前に現地に移動しようと試みるものの2度脱出に失敗し3回目に現地入り、隔離期間(練習不可)に入る。

7月16日 メルボルン本拠のクラブを除いた8クラブ(他州からの移動は隔離不要な時期)でAリーグのシーズン再開。メルボルン本拠の3クラブは隔離を終えて練習再開段階。

7月25日 メルボルン本拠のクラブがシーズン再開(集中開催)に合流。MVCは5試合中1勝4敗、2019/20シーズンを11クラブ中10位で終える。

8月 MVC一同メルボルンに帰還のち隔離期間を経てオフシーズン(練習不可)。大幅な選手の入れ替わりが始まる。

8月23日 Grant Brebner氏、正式に監督に就任。国内・海外から補強開始。

10月10日 ACLの再開に参加表明。この頃からメルボルンにおいて規制緩和が始まる。

11月 中旬にはチーム全員での練習が開始されていた模様。Callum McManaman、そしてアシスタントSteve Keanが他州での隔離期間を経てメルボルンに到着。

11月15日 Melbourne Cityとの練習試合(結果は3-3)。Jacob Butterfieldもこの頃合流。18日にACL帯同選手のリスト発表。

11月19日 カタールへ出発。短い隔離期間を経て現地でBen Folami、Dylan Ryanと合流。

11月24日 ACLグループE第3戦 北京中赫国安 vs MVC:3-1で敗北

11月27日 ACLグループE第4戦 MVC vs 北京中赫国安:0-2で敗北

11月30日 ACLグループE第5戦 Chiangrai United vs MVC:2-2で引き分け

12月4日 ACLグループE第6戦 MVC vs FCソウル:2-1で勝利(グループステージにおける国外試合で初勝利、決勝トーナメント進出)

今年ヴィクトリーにとってどれだけ遠征で困難があったか、リーグで苦しみながらロックダウンと隔離期間のコンボで練習さえ出来ない期間があったか、そしてどれだけ短期間かつ少ない試合機会で新しいチームができあがってきたか、そしてどれだけすれすれの成績でACLを勝ち上がったかが少しわかると思います。

ACLの再開はある意味オーストラリア勢にとってはプレシーズンでもありますが、同じくらいAリーグ2019/20シーズンの再開後の集中開催もACL再開の予行練習、そしてACLに参戦する新しいチーム始動の基礎となった大事な過程だったように思います。ただ一番のきっかけといえばやはり鹿島戦で勝ったことかもしれません。そこから一戦一戦戦ってきて(今はもうクラブにいない人達も含め)皆が積み重ねてきたものがグループ通過という形になって嬉しいです。

メルボルンにおけるロックダウンも観光需要が増える夏、そして家族で集まるクリスマスを見据えての措置という面もありましたがそれほどクリスマスはオーストラリアの家族にとって大切な行事で。そんな中「勝ち進んでカタール滞在が長引いたら帰国後の隔離期間がクリスマスまで続いてメルボルンの家族と一緒にクリスマスを過ごせないかもしれない」という事を覚悟してメルボルン・ヴィクトリー一同はACLに参加しています。ご家族のご理解にも感謝しながら決勝トーナメントでの戦いを応援しています。

(追記:ヘッダーの写真はBali Unitedとの試合の後で撮った写真です。この頃は2020年の終わりに諸々の状況、そしてヴィクトリーが今のようなことになっていることは一つも思いつかなかったとはっきり言えます。)