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A-Leagues All Accessエピソード01~05見どころなど

以前こちらの記事で紹介しましたA-Leagues All Accessのドキュメンタリーシリーズ、本当に毎週面白いので改めて毎回分リンクを貼って見どころなど短くまとめたいと思ったので全30回を5回ずつ分けて書く事にしました。

ちなみに現在エピソード10まで公開で休止期間中、エピソード11は1月26日で再開するそうです。誰&どの試合が主役になるんだろう。ウェリントンが男子も女子もホームマッチなのでもしかしたらそちらかも。

エピソード01:Luis Nani「You Need to Suffer」

このエピソードの主役:
元ポルトガル代表&元マンチェスター・ユナイテッド所属でその2チームを中心にすごい数と種類のタイトルを獲った輝かしい経歴のLuis Nani。今期からAリーグを盛り上げる意味合いもこめた目玉補強としてメルボルン・ヴィクトリーに来ました。
このエピソードで取り上げられた試合は男子第1節(10月8日)、シドニー対ヴィクトリーのいわゆる「The Big Blue」と呼ばれるダービー。シドニーにとっては新しくなったホームスタジアムで迎える最初の試合。

注目ポイント:
このエピソードが公開になってTwitterで真っ先にざわざわしたのがNaniさんの筋肉についてですね。筋肉に特に興味がない私でもそのすごさは一目で分かったのでとりあえず筋肉だけでも見ていってください。
もう一つの注目ポイントはもっと真面目に、このエピソードの隠れたテーマは「役割」だと私は思っています。Naniさんがヴィクトリーでどういう役割を担いに来たか、という話だけでなく試合開始時にアシスタントのFabrizio Cammarataさんが若きストライカーNick D'Agostinoが先発としての責任を負う姿勢について話していたり、そのCammarataさんがアシスタントとして試合でどういう役割をしているか、さらには練習場での光景でもこのクラブにおけるとある人物の役割を表すようなシーンがあったり。実際意図したことかはわかりませんがこのエピソードとヴィクトリーというチームをさらに面白くする視点だと思います。

エピソード02:Charlie Austin「Pantomime Villain」

このエピソードの主役:
イングランドのトップレベルで長年活躍したストライカーCharlie Austin。初の海外移籍でブリスベン・ロアーの目玉補強として来豪、家族の事情から12月に帰国と短い時間だったもののカップ戦・リーグ戦でこのなかなか点が取れないブリスベンのチームにインパクトをもたらしました。
このエピソードで取り上げられた試合は男子第2節(10月14日)のメルボルン・シティをブリスベンに迎えた試合。シティは前期のPremier(1位フィニッシュ)で手強いことは全員百も承知の上でいかに立ち向かうか、という背景。

注目ポイント:
Charlie自身のネームバリューもそうですが作品として映像を世に出したとき賛否両論なところがある方が話題になる、みたいなところがあってこのエピソードの場合ハーフタイムの大荒れのロッカールームの映像がそれに当たったと思います。ガチの怒鳴り合いドキュメント。でもそれが「崩壊」を示すと単純に解釈するのは違うと私は思います。どこを持ってこの衝突が悪いものではないか、それを考えるのにも良い教材。
そして今回のタイトル「Pantomime Villain」はあくまでも舞台上では悪役の仮面をかぶった人物を指す言葉、つまりピッチ上での顔とは違う素顔があることも意味します。Austin夫妻のかなりパーソナルな面もこのエピソードで語られています。向こうに帰っても家族一緒に幸せに暮らせますように。

エピソード03:Patrick Kisnorbo「No Hours in Football」

このエピソードの主役:
今回は選手でなく監督が主役。メルボルン・シティのユース、女子、そして男子で様々なタイトルを掲げたPatrick Kisnorbo監督です。クラブの母体のシティ・フットボール・グループからも大きな期待を寄せられているらしく11月にはフランスのトロワの監督に急遽異動、オーストラリア人で初めて欧州五大リーグのチームを指揮する監督となりました。
このエピソードで取り上げられた試合は男子第3節(10月22日)のメルボルン・ヴィクトリーとの今期最初のメルボルン・ダービー。

注目ポイント:
まずは「監督」という役職の人間が練習場でどういう仕事をしているか、選手達やスタッフとどう接しているかという場面ももちろんありますがこのエピソードで面白いのが時間外労働にあたる部分。カールトンのBrunettiでアシスタントとディスカッションしたり公園のグラウンドでまた話し合ったり、時間をどう過ごしているか、どうチームのために費やしているかが描かれています。
あとこのエピソードが公開されたとき「本当のPatrick Kisnorboの姿とは?」みたいな煽り文がTwitterの投稿にあったのですがこのエピソードとそのキャッチフレーズが図らずもKisnorbo監督の別れの言葉に繋がってしまったのもここで紹介しておきたいです。「軍曹」的なキャラクターの彼が涙ぐみながら語ったのは自分は今年選手達に弱みを見せられるようになることを目標にしてきた、これが自分の真の姿だ、ということ。シティで培ってきたものがフランスでも発揮できるか風の便りに聞くのが楽しみです。

エピソード04:Garang Kuol「Sky's the Limit」

このエピソードの主役:
前シーズンAリーグでデビューしてから頭角を現し、FCバルセロナとAリーグオールスターの試合で一躍有名になった上にプレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに移籍が決まりSocceroosにデビュー、ワールドカップ出場までものすごいスピードでスターの階段を駆け上がるセントラルコースト・マリナーズの若いアタッカーGarang Kuol君主役のエピソードです。
このエピソードで取り上げられた試合は男子第4節(10月29日)のウェスタン・ユナイテッド戦。セントラルコーストのホームゲームなので特徴のある景色も少し見られます。

注目ポイント:
まず言いたいのはこの試合の展開がものすごかった。Aリーグの試合って色んなことが起こりますがこんなに試合ががらっと変わるものなのか、というのとその変化にGarang君が(よりによってこの撮影してる試合で)どれだけ絡んでるかってのがまた凄い。いわゆる主人公補正的なものを感じます。このエピソードだけでもハイライトだけでもそれをフルに味わうことができないのがちょっと残念(なので主役が発表されたらその試合を重点的に観るのを改めてものすごくおすすめします)。
そして常に変化するオーストラリアのフットボール環境の中でGarang君のようなアフリカから戦乱を逃れてきた難民出身の選手達の数、そして存在感が高まりつつある中彼らが自身の物語を語る場と機会の大事さについてもKuol家のここまでの経緯とともに語られています。ちなみにGarang君の弟も既に才能が注目を集めているそうで数年後が楽しみですね。

エピソード05:Arthur Papas「Football Maniac」

このエピソードの主役:
今回もまたちょっと視点を変えてニューカッスル・ジェッツの監督Arthur Papasさんを主役にしたエピソード。メルボルン出身で現セルティック監督のアンジェさんことAnge Postecoglou氏の元から監督として自立して日本で指揮したのちオーストラリアに戻ってきたまだ若い監督です。ニューカッスルではその流派に忠実に「Blockbuster Jets」とも称されるアタッキングフットボールを掲げるも結果も内容もなかなか安定せず、のまま2期目に突入しています。
このエピソードで取り上げられた試合は男子第5節(11月4日)、メルボルン・ヴィクトリーとのアウェー試合でした。

注目ポイント:
エピソード3で見る限りKisnorboさんは仕事人間といった感じでしたがPapasさんはタイトル通り「とにかくフットボールが好きな人」というのが冒頭から描かれていました。朝早く仕事場に着いてロッカールームでノートPCを充電しながらヨーロッパの試合を見ている姿。そしてアシスタントにスタジアムの管理人に会わなきゃって言われて「それ自分も行く必要がある?」「来てくれると何かとスムーズに進む」と言われて身を起こすくだりもほのぼの系の漫画の1シーンみたい。
そんな風景からも若干察することができるかもしれませんがジェッツは大都市にある大きなクラブでなく小さい街にあって予算も限られるいわゆる弱小クラブで。それでも州境を超えてアウェーに駆けつける熱心なサポーターがいて、この試合の顛末に怒りを選手達にぶつけ、Papasさんがその場をおさめようとする。後日にそのサポーターの方とのインタビュー記事がアップされましたが彼が言う「選手達には数年いるだけの場所かもしれないが自分たちには一生のクラブ」という思いもこのシーンに添えたいです。

次回(エピソード06~10)に続く。