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色彩の体験としての2023年サッカー女子ワールドカップ

サッカー関連の記事では何度も書いていますが7月から8月までオーストラリアとニュージーランドの共催でサッカー女子ワールドカップが開催されていました。
女子W杯としては最大規模の大会になったこのでっかいイベントをオーストラリアに住んでいるサッカー好きとしては楽しまない手はない!と1ヶ月を通して現地観戦・遠征含め色々足を運んでいたのですがサッカーそのもの以外でも普段できない体験をたくさんしました。
オーストラリアが長く勝ち残っていたこともあって感情面・思考面でもまだまだ整頓することが多いのですがとりあえずここでは万年筆インクに関わってくる「色彩」の話をまとめます。

結論的なところから始めるとワールドカップというイベントは普段触れることのない様々な色があふれる機会でした。特に今回自分が住んでる場所で開催ということで普段の色彩からどれくらい変わるか、ということも含めて興味深く、そしてその変化が楽しかったです。(数年前のWhite Nightと似た感覚かも)
今回から女子ワールドカップも32カ国参戦ということもあり(半分はニュージーランドでの試合に割り当てでしたがそれでもラリア側に駐屯してた人も結構いたり)、またオーストラリアの元からの多文化背景もあり、大会を通してどんどん増えていったオーストラリアのグリーン&ゴールドだけでなく様々な国の国旗やシンボルカラー(オランダのオレンジなど)をまとった人がスタジアムやライブビューイングの周りに限らずたくさん。

そして32カ国参戦ということは32通りのホームユニフォーム、32通りのアウェーユニフォーム、そして32通りのウォームアップユニフォームがそれぞれ違う色で存在するという状況もまた色彩愛好家にはわくわくの環境。スポーツ用品店のユニフォームコーナーで(全部とはいわなくても)様々な国のユニフォームのデザインを間近で見たりもしました。普段は見ない色、インクを選ぶ時でもあまり惹かれないかもしれない色、なかなかオーストラリアに住んでると思いつかないかもしれない色、異文化の色を試合という環境の中で、そして試合の緊張から離れてゆっくりと考えることも楽しかったです。
例えば特定の緑はその国の何を表す緑で、他の緑とどう違ってくるのか、とか実際2つのチームで試合にするときの色の兼ね合いや、異なる文化の出会いが色としてどう現れるか、などなど。そして大会そのもののテーマカラー(複数色)の印象や視認性なんかにも考えがいったり。

そんな環境で1ヶ月ほど過ごしてみるとものすごく色彩に溢れた世界にいたような感覚でした。現実的には試合の場所を離れるとそこまで変わるものではなかったかもしれませんが、気づくと途端に世界が広がるような。
そして今回身の回りにあった色は例えばインクのサンプルイベントみたいにただ多様な色彩が目の前にあるという状況ではなく一つ一つの色が何かを表している、国のアイデンティティであり誇りであり国の代表であり感情がものすごく詰まった色彩であることもまた特殊な状況で。
色そのものを言語というのは難しいですが、言語と暗号の間?みたいな機能で分かる人には通じる特殊なコミュニケーション方法なのを(多分これまでにも分かっていたことですが)強く感じました。

なので改めてですが何かを象徴する色を使うときは色の大まかなカテゴリ(黄色とか)だけじゃなくて色合いも出来る範囲でなるべく近くなぞらえて伝えたいな、と思いました。もちろん自分が購入できる・持てるインクの数と種類には限りがありますが、今回のワールドカップ体験を通じて思い出と共に記憶に残る色、新しく親しみを覚えるようになった色など自分の好みやストライクゾーンがきっと広がったと思うのでそれによって今後インクのレパートリーも増えて、そこからまた手書きしたいと思える題材の幅も広がったりという可能性もあるので今後もじわじわ活かして行きたいです。具体的にこの色にインスピレーションを受けて、みたいなことは今はないのですが普段から実はものすごく難しい色だと思ってる「緑」に関しては特にここ1ヶ月見て学んだことが活きるような、そんな予感がしています。

ただ矛盾するような話ですがその多様な色彩の細かいニュアンスの違いを感じると共にオーストラリアのサポーターがスウェーデンに肩入れする時に同じ黄色でもだいぶ違うオーストラリアのゴールドやヴィクトリーのアウェーユニフォームの超ハイライターなイエローを着てたり、みたいな「だいたい合ってるからいいよね」的な大雑把さというかおおらかさを楽しむのもまたこういう大会での面白さだなと少し思いました。
似たような話でいうと普段着ないような色のユニフォームに私服何を合わせよう、となったときに色の相性とかあんまり気にしてられない、とにかく夜に外にずっといるから暖かさ重視で相手チームの色以外ならなんでも、みたいなノリで外出したのもある意味良い経験だったかも。

これからサッカーの諸々のシーズンが始まってユニフォームを買う予定があるもののそんな色彩体験の思い出的にカジュアルで(=試合観戦じゃなく)着れるどこかの国のユニフォームとか買っちゃおうかな?みたいな気持ちは今もあります。それくらいには色彩というジャンルでこのワールドカップがとても貴重だった、ということで。
なのでもしもサッカーに限らず世界的な大会がお近くで開催されるとなったら色んな色彩を見て色のインスピレーションを見つけるという形でも楽しんでみるのを強くおすすめしたいです。
ただそれで万が一ユニフォームコレクターの道に目覚めてしまった場合は自己責任でよろしくお願いします。