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Aリーグ女子2022/23シーズン振り返り

オーストラリア・ニュージーランドで開催される女子W杯に向けたある意味「準備」というか「助走」といったところも多少なりともあるAリーグ女子の2022/23シーズン、はらはらどきどきしながら閉幕しました。
今回はシドニーFCがPremiership・Championshipの二冠を悲願の達成。そういつまでもチャンピオンを逃し続けることはないだろうなと思ってはいましたが今期だったか。うちに限らずみんな完敗でした。改めて圧倒的なシーズンに拍手を送りたいです。

今期はこれまでよりちょっと試合数が多めのシーズンで、特に終盤でその長くなった部分を実感したのですがファイナルステージがやってきてそして終わってしまうと「もう終わりか・・・」みたいなあっけなさを感じたり、不思議なものです。今回ヴィクトリーが久しぶりにグランドファイナルに関わらなかったというのもありますし、W杯開幕まではまだちょっと時間があることによる女子サッカーの無(完全に無ではないですが)みたいなぽっかり穴が開いた感じ。来年もちょっと長くなっても同じく感じるのかしらん。

そして今期は「カオス」という言葉が頻繁に使用されるほど予測不可能などんでん返しが頻繁に起こるシーズンでした。所属チームをそれなりによく知ってても試合がどう転ぶかは蓋を開けてみるまで全く分からない。「カオス」に関しては男子リーグのレビューでまた詳しく話しますが(男子の振り返りは全体的にそれ)、女子も似たような要素が関係してたりしてなかったりで独自の混沌を作りだしていました。
結果だけでわかる例を挙げるとシドニーvsヴィクトリーの6-3とかキャンベラが2回5-0負けしているのとか(この3試合が1週間のうちに起こってるのもおかしい)、ブリスベンvsウェリントンの3-3とかヴィクトリーvsニューカッスルの5-2とか。思ったほど一方的じゃないはずだった試合がものすごい点差がついたり、壊れたシーソーのシーソーゲームになったり色々ありました。
そういうこともあってとにかく試合の感覚以上に点が入るシーズンで、0-0のスコアだった試合は1試合だけだったそうです(2023年1月18日ウェスタン・シドニー・ワンダラーズvsメルボルン・ヴィクトリー(うちかいな))。

Aリーグでも特に女子リーグにおいてはそのどっちに転ぶか分からなさは順位で下のクラブが力を付けて実際の順位が大きく変わるほどではないもののりチーム間の力が拮抗するようになったことも少なからず関係していると思います。特定チーム名を挙げるならウェリントンとウェスタン・シドニー・ワンダラーズ。前期の土台に何人かうまく補強して元からいた戦力が成長して、それから予期してないポジティブなサプライズ成長もあったり。来年もきっとまた少し前進してもっとカオスを自分たちの結果に変えていくと思われるので対戦相手ではありますが楽しみにしています。

そしてそれ以上に台風の目となったのが新しく参入したウェスタン・ユナイテッドの存在。VIC州の女子NPLの巨人Calder Unitedがベースですから元々強そうだと思ってましたが初めてのシーズンで2位フィニッシュ&グランドファイナルで準優勝はすごい。戦力を揃えること、上位相手でも下位相手でも強く戦うことに関してのノウハウは本物なので来期も本気でタイトルを狙いに来そう。改めて要注目のチームです。

逆にどうしたー?と思ったのがアデレードでした。多くの人が上位予想だった中失速するにしても8位フィニッシュとは。スコアでものすごく派手に負ける試合はなかったのですが完封負けは結構あってなぜか点が取れなかった印象。スカッドに大きな入れ替わりもなかったし監督も続投だったので本当に謎。謎だからこそアデレードがオフシーズンにどういうアプローチで行くか興味津々です。
他だとブリスベンは前期から引き続き不安定かつふるわない感じですが他のチームが安定を求めるであろうこのタイミングで改革となるか・・・?

毎シーズン誰かしら引退するのがプロスポーツの常ですが、今期の終盤と共に引退した選手達の多くは特にこのリーグを(ひいてはオーストラリアの女子サッカーをクラブでも代表でも)牽引したかつてのパイオニアでした。ちょうどワールドカップの豪・NZ合同開催とその向こうの未来への節目と重なりましたが新しい時代に移り変わる上でこれまでの歩みも忘れないでいたいです。
そんな中おそらく来期も続けるよというベテランももちろんいて、最長キャリア記録&最高年齢記録の保持者Melissa Barbieriはごくごく普通に来期も続けるだろうしMichelle Heymanもまだまだ得点数記録を伸ばす気でいると思いますしCasey Dumontも(オージーフットボールの方で怪我しなければ)戻ってくるはず。そして何より産休で今期はコメンテーターとして見ることが多かったシドニーのレジェンドTeresa Poliasが引退を表明していなくNPLでプレー復帰しているのでAリーグに戻ってくる可能性もあるかも。続報待機中です。

ただもちろん去る人間ばかりではなくAリーグ女子を通じた「ファミリー」がまた少し大きくなったシーズンでもありました。
まずはウェスタン・ユナイテッドの初シーズンでピッチ内外でチームを支えたJess McDonald(シーズン中にもかかわらずグランドファイナルまで来てくれました。A-League All Accessも参照)。そしてコロナ禍の終焉とともにこれまでよりさまざまな所からAリーグでプレーしに来てくれた選手達。
そしてDubZoneの記事でも書きましたがこのリーグの試合を実況することとなった新しい女性実況達、そしてピッチサイドやスタジオのコメンテーターの皆さん。
さらにさらに今期16歳以下でオーストラリアの何らかのサッカークラブに所属している男子・女子がAリーグ女子の試合を無料で見れるLiberty Passが発表され宣伝されたことでスタジアムに集まった若い子達。試合中継見る限り女子に限らず男子も結構来てくれたみたいで。このリーグを楽しむ仲間が増えるのは嬉しいです。

最後に今期の個人的なハイライトとしてセミファイナルのメルボルン・シティ対メルボルン・ヴィクトリーの延長戦後の(そこまでも十分すごい展開でしたが)PK戦は永遠に忘れない。その前のハットトリックもありますがとにかくPK戦。別にまとめる記事の方で取り扱うつもりですがとりあえず動画のリンクを。雨降りでしたし妙に遠い場所でしたが現地観戦に行って良かった。
あと毎回恒例ですがヴィクトリーの振り返りもまた後ほど。

来期はセントラルコースト・マリナーズ女子が参入(というか帰ってくる)ということもあり、それにより完全なホーム&アウェーが実現する予定です。あとW杯閉幕からあんまり長く間を開けないよう少しは早く開幕できるかも?
2023/24シーズンももっと多くの人とAリーグを楽しめるようになることを願っています。