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Aリーグ女子の新配信フォーマットの試み「DubZone」を今更紹介

Aリーグ女子2022/23シーズンも終了。今年は試合数がちょっと増えて長くなった分楽しみもちょっと増え、さらにカオスが長引きました。
シーズンのレビューはグランドファイナルまで終わってからにするとして今回はAリーグ女子の試合配信において今シーズンから始まった新しい試み、「DubZone」について振り返りたいと思います。

「DubZone」とは(リーグの試合がある週の)毎週土曜日15:00(シドニー・メルボルン時間)から2時間放送・配信される番組のこと。この時間帯に開催されるAリーグ女子の試合(最大3試合)をまとめて追いながら(=複数画面表示だったり注目試合を映したり)各試合のゴールシーンに切り替えたり、女子サッカーやオーストラリアのサッカーに関するトピックのディスカッション、ゲストとのインタビューや現地中継やSNSとの連携なども交えたトーク番組です。個別の試合の配信に追加する形で今シーズンから始動しました。
配信媒体は10playおよびKeepUp公式Youtubeチャンネルで。オーストラリア国外で視聴可能かはわからないのですが(一応Youtubeも国内のみと書いてあったはず)、後でインタビューなど一部がTwitterで切り取り動画としてアップされる様子。
ちなみに稀に土曜日の15:00より前にキックオフされる試合もありますがその場合もDubZoneは15時開始です。

パネリストは実況でお馴染みTeo Pellizzeri、そして元選手・元監督なども含めた女子サッカーのコメンテーターたちがラウンジ風のセットでディスカッションします。Teoは毎回固定でメインパーソナリティなのですが数字の使いぶりだったりVIC州偏りだったり(もっとやっていいのよ)で他のコメンテーター達と楽しい面白い対立構造を作ったり。ついでにファンタジーフットボール関連の話もちょこちょこ出すので参加している人はよく聞いて参考にしてみるのも良いかも。
他に私が特に好きなのが元ワンダラーズ女子監督のCatherine Cannuli、シドニーのキャプテンだったTeresa Polias(現役復帰はあるのかな?)、そして数年前試合後のプロポーズが話題になったRhali Dobson(ちょっと辛口)など。
色んな方向から割と厳しいコメントもちょこちょこ出てきて、選手や監督たちもたまに気にしているようで「こう言ってたよね?」みたいにインタビューでつついてきたり見返すような活躍をしてきたり、コメンテーターたちがちょっとギャフンということになったり。そういう意味でもインタラクティブ。

インタラクティブといえば番組と選手・監督・スタッフの間だけでなくファンの声ともインタラクティブな仕様になっています。毎週番組が始まる前にその時にあったトピックの質問で投票を募ったり、ハッシュタグ「#DubZone」でTwitterでファンから寄せられるコメントを拾ったり、質問に答えたり。ちなみにハッシュタグに投稿するのはファンだけでなくジャーナリストたちの場合もあって、リアルタイムに情報を提供してくれたりもするので見逃せません(ネタツイートで貢献する場合もありますがそれはそれで見逃せない)。

DubZoneでは先ほど書いたように2時間の間に試合自体以外にも色んなことをノンストップで話します。今期扱われた内容で面白かった事だと:
インタビュー:ウェスタン・ユナイテッドの監督Mark Torcasoが負傷によりアウェー試合を欠場することになった時、試合後のインタビューで代役を務めたアシスタントHelen Winterburnに手厚くおめでとうと言いながらメルボルンに戻ったら厳しく言っておいて、と言ったその直後Mark Torcasoにインタビューして「それは年寄りのする怪我よ」と長年の知り合いのCatherine Cannuliが一刀両断にした一連の流れが一番思い出に残ってます。

現地中継:これは最初にやってたニューカッスル・ジェッツのホームゲームが一番でした。ジェッツは女子チームにも伝統的に強いサポーターグループがいることで有名でそれが間近で観れて楽しかったですし、Aリーグに限らず女子チームのアクティブサポートの一つのお手本みたいな感じが色んな人の目に入るのでピックアップされて良かったと思います。あとジェッツに限らず全般ですがLiberty Passというオーストラリアでどこでもサッカークラブに所属してる16歳以下なら性別関係なくAリーグ女子の試合にタダで行けるパスが導入されたこともあってスタンドに女の子だけじゃなく男の子も結構来てるのが見れるのも良いこと。
トピック:今シーズンはAリーグ女子(旧称Wリーグ)の黎明期からこのリーグを支えてきた選手たちが何人も引退を発表して、それによりこの国の女子サッカーの進んできた道のりだったり歴史だったりについてのディスカッションが盛り上がりました(Round 19だったかな?)。それと同時にシドニーのIndiana dos Santos15歳のめざましい活躍もありパネリストたち(そして見てる私たち)も色んな形で年齢をひしひし感じることに・・・なりましたしそれをちょこちょこさらに煽るようなTeoのコメントまでひっくるめて面白かった。

そんな楽しいこと色々ある DubZoneですが、大きなデメリットが一つあります。それは自分が応援しているチームの試合を見るのには向かないこと。
画面の仕様もトークの仕様も一つの試合に集中する見方には仇となります。とはいえ全く無視することも難しい。
なので自分が応援してるところの試合は個別配信で普通に見るか、 DubZone も楽しみたい場合は個別とDubZoneの二画面で楽しむか、というところですね。ちなみに配信はスタジアムで見るよりちょっと遅れがありますが、DubZoneのゴールシーンが個別配信のゴールシーンより先になることは(おそらく)まずないと思うので二画面でも安心です。

あともう一つ残念なのはこのDubZoneを毎回仕切る役割があるためTeoがこの時間(そしてその後しばらく)の試合の実況を担当できないこと。(ただし同じ日にパースの夜の遅い時間の試合は実況やってました)。彼はオーストラリアの女子サッカーに関してはトップレベルの識者で(特にVIC州)、そして女子に限らずAリーグのことをよく知ってるだけでなく高めの声と勢いのある実況で色々聞いてて楽しいので実況が聞けないのは残念なことも。

ただそれに伴い新しい若い(女性含む)実況者がその時間の試合を担当に出来るようになったことは大きなメリットでもあります。特に各州のNPLで経験を積んできた実況の人達がその才能を買われてプロリーグであるAリーグで実況できるようになったのはNPLをちょこちょこ追ってる私もかなり嬉しい。Round 20の配信でそんな新星の実況者たちがそれぞれ今期自分が実況した試合で一番記憶に残ったゴールを語るくだりはTwitterで切り出しあって欲しかった。彼女達の活躍もまた引き続き楽しみにしています。(この記事を公開した後で関連記事(後半部分)が出てきたので修正ついでに貼っておきます)

今年のファイナルトーナメントもきっと色んなことがあって、オフシーズンの間の女子ワールドカップを通じて、そしてその先の新しいシーズンにもオーストラリアの女子サッカーは続いていきます。DubZoneがAリーグ女子を楽しむ一つの形として続いていくこと、そしてこれまで以上にこのリーグ(とそれに限らずその外も)にたくさんある人とストーリーとその他たくさんをピックアップして伝えていく場になるよう願っています。