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Place Making for FOREST:オフグリッドデザインラボをつくろう

Kakuro Odagi

ACTANT FORESTってどんなところ?

ACTANT FORESTは、南アルプスに抱かれた広大な森林の中にある約16,500㎡の小さな森です。八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳を望むことができ、周囲には数件の別荘がポツンと建っている程度のとても静かな場所です。アカマツやコナラなど、この地域ならではの心地良い雑木林に囲まれ、森の真ん中には、ささやかな小川も流れています。私たちはこの森全体をデザインラボとして捉え、森の資源を活用した様々な実験やプロトタイピングを行っていきます。

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STEP0:「森を探検する」

森のデザインラボを考えるにあたって、まずは現状森としてどんな状態で、どんなポテンシャルがあるのかを知る必要があります。小川の源流はどこなのか?、土壌の状態は?、植生は?、風はどのように流れるのか?、気持ちの良い場所はどこなのか?などなど。まずは一張のテントを森の探検ベースとして、キャンプ生活をしながら森を隅々までリサーチしていきます。

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COVID-19による外出自粛で、現地に行けない状態が続いたため、オンラインホワイトボードサービスのmiroを使い、メンバー間で遠隔ブレストを行いながら、森のポテンシャルやリサーチ項目について議論を重ねました。意外と心地よい没入感で思考ができるので、森にいるのとは一味違ったブレストができるところが魅力です。

STEP1:「オフグリッドなホワイトキューブ」

近代以降の美術展示空間には、作品の自立性、完結性を高めるために外部と隔絶された抽象的な白い空間を展示空間とする「ホワイトキューブ」という考え方があります。ACTANT FORESTのデザインラボでは、森の様々な要素や人間の生活に必要な要素を、ひとつひとつ丁寧に抽出し観察していくために、あえて周辺環境やエネルギーインフラから切り離されたオフグリッドなホワイトキューブを初期状態として挿入してみることにします。
一度周辺環境からオフした状態をつくることで、物事が先入観なしに眺められると同時に、物事の関係性や可能性がビビットに見えてくるはずです。
まずはこのホワイトキューブでオフサイトワークや寝泊まりをしながら、森での実験を少しずつ進めていきます。

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STEP2:「森のオフグリッドデザインスタジオ」

森での活動に最低限必要な、水源確保(ビオトープ、バイオジオフィルター)、バイオトイレ、PCやセンサーを使うための電力確保(微生物発電や太陽光発電)に加え、森のセンシング、養蜂や野草活用、自然農など、様々なリサーチや実験を行っていきます。実験活動を繰り返していくうちに、ホワイトキューブは必要に応じて徐々に加工され、森の状態や僕たちの活動、欲求に合わせてその姿を変えていきます。最初は周辺から隔絶されていたホワイトキューブは、段々と森に開かれた空間になっていくでしょう。

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さいごに

都市におけるまちづくりや場づくりと言えば、土地利用計画や施設計画などがあって、それに向かって整備を行っていきますが、ACTANT FORESTではもっとフリーハンドで、私たちが森と対話をしながら、身体的な心地良さを信じ、森でやりたいことをインストールしていった結果、自然と豊かな場が形成されていくようなプロセスが望ましいと思っています。何より私たちが楽しまないことには意味がないし、原理主義的に自然回帰を目指して「森に人間はいない方が良かった」となってしまっては本末転倒です。もちろん環境負荷のかからない状態を目指すし、そのためには最新テクノロジーもどんどん活用して「人と自然が共存できるちょうどよい状態」を目指していきます。STEP0として、森の探検・リサーチから始めますが、今後のACTANT FORESTの展開やデザインラボの活動状況も随時アップデートしていきます。




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