退職後の小さな夢、叶う2
最後に出前をとったのは、まだ子供たちが小さかった頃。もう10年以上、この味から遠ざかっていた。
近所のラーメン屋さん。家族で営んでいる小さな店。なぜか、何かといえばこのお店で、ラーメン、チャーハン、餃子を頼んでいたものだ。
よく店の前は通りかかっていたし、いつでも食べに入ることだってできたはず。
でも何故か、退職後にそのタイミングが来たらと、自分で勝手にルールを決めて、ここまでその機会を伺ってきた。
退職後の生活ももうすぐ1年となり、何となく落ち着いてきた。だいぶ板についてきた仕事も2連休でのんびり。前日には、大学時代の友人たちと久しぶりに会えて嬉しかった。そして、今日は家に自分一人。悪いことをしているわけではないのに、なんかコソコソしてしまう悪い癖があるのだが、この日は絶好のチャンス。
自転車に乗って、いざ出発!
このラーメン屋さん、地元民には結構人気で、いつも御飯時にはお客さんがまずまず入っている。だから、お昼前11時頃を狙ってお店に到着するように計画。と言っても、ものの3分ほどの行程だが。
店に入ると、やはり先客が何組か。早めにきてよかった、とホッとする。
注文はセットで。ラーメン、チャーハン、餃子が、小サイズながら勢揃い。ほどなく、壁際のカウンターに運ばれてきた。
懐かしい…。あぁ、これこれ、こんな味だったなぁと、しみじみ味わう。
そう言えば、自分のイチオシはチャーハンだったことを思い出す。パラパラじゃない、しっとり、ベッチャリ系で味濃いめ。なかなか探してもないんだよなぁ。
あっという間の昼ご飯だったけれど、すごく満足感の残る時間だった。変わらぬ味と再会できたこと。退職したらやろうと思っていたことがまた実現できたこと。食べながら、昔のことを思い出してほのぼのできたこと。ニヤニヤしながら食べていたことは、誰にも気づかれていないでしょう。壁に向かって食べてた=好きな顔し放題だったから。
さあ、次はどこに何しに行こう!?ちっぽけだけど、ずっとやりたかったこと。他にも何かあったはずだが。思い出したら、やってみよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?