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デジャブが響き渡る時

ときどきふとした拍子に喧騒が聞こえる。

本当にあったかどうかも分からない。

ただ聞こえるたびに遠くーー幼くーー些細なものになっていく。

「お前の代わりなんていくらでもいる」

「なんか言えよ」
「黙っててもわかんないよ」

「いい加減にしろよこの」

ガヤガヤと駅の中の様な喧騒が聞こえる中で、

「もうやだー!」

「うるせえ!!!」

「早く!」

一つ述べておくが僕は家庭環境もそれなりで悪くなく、大したいじめに巻き込まれたこともない。
何かあれば自分でノーと言えた子だった。友達もいる。今のところ堅気の人間である。
なのに

「テメェこ「なんであ「いい加減にしろよ」ーーー」

「勝手にし「知らん」

「ちーがーー「なんで分か「バーカ」の」

よく声が重なる。

でも、高校の頃より収まった。
そのかわりに自分の頭が働かなくなった気がする。
語彙が十年前より減った気がする。

昔は耳に砂嵐が聞こえた。
取り憑かれてそれ以外考えられなくなっていた。
逃げる事は許されなかった。

そして立ち尽くしていると視界まで砂嵐が外側からじわじわと三原色がランダムに並んで、混じって、黒く、

視界が押し潰されていって、ブラックアウトしていって、

それでも倒れる事は許されない、意識を飛ばすことすら許されず、●●させられる。

部活の時の光景に近い。

何もできないし、立ったまま足をふらつかせることすら許されない。

姿勢は正してないといけないし、骨は真っ直ぐ伸びてないといけない。

治されると肩が無限に左下に引き延ばされてブラックホールに呑まれている様な感覚になる。

もう何も聞きたくないし、したくないーーーーーー

生きていたくない。

だけど死ぬ事は許されない。

生きる希望はなく、意思もないのに、生きさせられている。


7歳くらいの頃から高校を卒業したら、その先の人生って無いものだと思っていた。


「無い」というのは、

その瞬間から真っ暗で何もなくて

終わりが来る予兆もないそんな世界ーー


別に不治の病でもなんでも無かった。
多分、小惑星が追突するとか、震災の特番とか、
大災害がもし起きたらこの世が滅びる話を良くテレビで見たからかもしれない。

目の前は真っ暗闇の崖で、足を前に出したらフッと消えてしまう。

僕は今の人生は延長戦でしかない。
もう生きてしまっているから、生きてみただけの人生だ。

色んな心の闇がふとした拍子に浮かぶが、それを理解してくれる人はいない。

理解して欲しいと思っていた自分すらいない。

空っぽで僕を埋め尽くした俺は、あんな思いをする人をこれ以上生まないために日々をネガティヴに奔走し我を通した。

それが他人に依存して成立させていた自分だったと分かった時、俺はわたしで自分を埋め尽くそうとした。

僕の人生はプラマイゼロで終わらせたい。

人にかけてしまった罪は償い、

人からもらった幸せは返し、

人にあげた分だけ奪い、

そうやって全ての帳尻を0に返して、

どこのだれでもなくなって、どこかへ消えてしまいたい。

たぶん、僕は今は元気で健康で幸せと思ってるはず。

正常な人間になれているはず。

テーマなんてなかったけど、
これが僕の学生時代の心の旅。
僕、俺、自分、わたし、

何かをかなしみ、悔やみ、憂い、嘆き、消し、

積み上げたもの全てを台無しにしてしまいたいと感じ破壊衝動に駆られ、実際に何もできないちっぽけな裏方でありたい人間。

勉強や受験なんかより、末路の決まっているこの物語を考えたかった人間のーー。

でも、孤独でいる時喧騒が聞こえる。

ヘドロの様な言葉と共に

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