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公務員は本当に地獄なのか?


 今日もやっぱり22時まで残りました。残業時間は、予定日も含めれば現時点で60時間超えです。まだ月の半分なんだけどなぁ。ちなみに明日は土曜日ですが、出勤です。

 もはやここまで来たら、どこまで残業時間が伸びてくるのだろうと興味が出てきました。普段は絶対残業したくないマンの私ですけど、絶対に残業させられるマンとなった今、自分の限界に挑戦することになりそうです。命がけの人体実験ですわ。


 体には明確にガタが来ており、昼過ぎに明らか正常ではない腹部の痛みがありました。突き刺されたようなズキューンとした痛みです。3分ほど動けませんでした。日中はほとんど眠かったですし。


 ただ、窓口自体は好調に回っていました。そこには、昨日も言及した連中が、今日も休んでいたことが影響していそうです(下記事冒頭)。このまま長期休暇に入ってくれないかなぁ(切実)。


 
 残業地獄にも関わらず、私が記事を発信し続けるのは、気分転換という意味もありますけど、行政がいかに綱渡りで運営されているかが少しでも伝われば良いと思っているからです。「公務員は定時帰りでラクなんでしょ?」とか言っている人に私はもの申してやりたいよ…。


 ということで、公務員は世間で言われているほどのユートピアなのか、はたまた私が言うように地獄なのかを改めて考察していきたいと思います。



1.文書主義が故の地獄

 公務員は文書主義と言われるように、文書(法令等)に基づいて文書(起案や議案)で作業を進めます。民間では口頭で動かせるような事案でも、公務員では文書に残さねばなりません。

 文章は口頭に比べるとどうしても情報量が少ないですから、物量で勝負しないとどうしようもなく、物量にものをいわせるためには準備にかかる時間も多くなります。結果、仕事全体が地獄になります。

 文章での情報伝達がいかに非効率で難しいかというおもいは、下記の記事で綴っていますので、ぜひご参照されたいと思います。



2.地獄の元凶

 文書主義である以上、行政機関はどこであっても地獄なわけですけど、その度合いには差がありまして。いうなれば、マシな地獄とヤバい地獄があるんです。マシな地獄て意味不明ですけど。 その地獄が地獄になる基準は、政策的・財政的にどれほど重要であるかです。


 ここでいう政策的に重要とは、いわゆる政治家(首長や議員)たちが興味を示しているか否かだと思ってください。

 例えば、市長が文化財を保護するぞ!と宣言したら、その市の文化財保護課は政策的に重要な部署になったと言えます。


 また、財政的に重要とは、その分野にどれほど金が注ぎ込まれているかだと思ってください。要は、事業規模の大きさです。

 財政的な重要度は、政策的な重要度と比例する傾向にあり、例えば、高齢者の健康づくりに力を入れるという方針が示されれば、健康づくり事業に注ぎ込まれる財源は拡充されるといったように。


 政策的・財政的に重要な分野は、人々の関心を引きます。当たり前ですね。言いだしっぺである首長は、住民に理解してもらえるように説明資料を作るよう要求してきますし、住民の代表たる議員の先生方は、議会質問という形で情報提供を求めてきます。住民も住民で、個別に問い合わせしてくるのが普通です。

 となると、説明のための文章を作らねばならず、文章ということは情報量が少なく、物量で…(あとは省略します)。


 ということで、その分野がどういう位置づけかで部署の地獄度合いが変わります。そして、政策的・財政的な判断自体が仕事である政策課や財政課は、当然のように地獄中の地獄になると経験者から伺っています。



3.マイナンバーはトレンディな地獄

 そういう意味でマイナンバーカードは、「今流行りの地獄」だと言えます。国家が膨大な予算を投じて、重点施策として大々的にアピールしていますから。政策的にも財政的にも重要な分野に位置づいています。

 そのおかげで国民の関心は高くなっており、議会でも頻繁に質問されます。また、窓口部署ですので、住民の関心が高まると、それに伴う市民対応も他部署に比べて激増します。実際、ここ数日間での地獄度の跳ね上がり方はハンパじゃなかったですから。

 マイナポイント第1弾あたりから盛り上がり始め、重点期間終わりの今年度末までがヤバイ流行性の地獄だといえますね。


 現在、我々職員は日中に窓口対応、議員への説明資料や住民への啓発資料は時間外に残って作成、というトンデモクソブラック状態に陥っています。一過性のものだよな!?と信じてみんな頑張っています。一過性だよな!?



4.大半はマシな地獄

 と、ここまでいかに公務員が地獄になるかを話してきたのですが、本当にヤバイ地獄部署はごくわずかです。そして、その地獄部署のなかでも、本当にヤバすぎる地獄に足を踏み入れているのはごく一部だったりします。割合でいうなら、全体の1~2割程度だと思います。

 考えてみれば当たり前で、時間や財源は有限なのだから、すべての施策に力を入れることは不可能なわけで。当然、どこか一部の分野に力を絞らないといけません。絞り込んでしまえば、重点施策なんて全体の1割程度でしょう。そこを担当する職員のみがヤバイ地獄に携わります。

というわけで、あとの8~9割の職員はマシな地獄に身を置かれがちです。



5.働き方は人の自由

 というわけで、1~2割のヤバイ地獄をめぐり、壮大なババ抜きをしているのが公務員の働き方だと私は思っています。毎年春の定例人事では、各所で悲鳴が聞こえてきます。

 一方で、政策的に重要で人目を引くということは、首長や議員に顔を覚えられ、出世が早まる、財政的に重要で事業規模が大きいということは、残業代も青天井でガッツリ稼げるという側面があります。

 それらをメリットと感じられる人、出世願望が強い人や、残業代でガッツリ稼ぎたいと考えている人なんかにとっては絶好の場所だといえます。実際に自ら立候補してヤバイ地獄に異動していく方も一定数いらっしゃいます。

 私の上席にあたる人はまさにそんなタイプで、花形部署をいくつも渡り歩いておられるようです。結果、年齢に比して職位が高いですし、役所内では有名人です。仕事が生きがいの人にとっては、地獄どころかユートピアになっていることでしょう。


 かくいう私はそんな地獄、絶対に嫌です。できればマシな地獄に居たい。というか、地獄からさっさと抜け出したい。自己防衛だ。

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