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視野

子供の頃は、目の前の世界が全てだった。
学校に行って、放課後は公園で遊んで、習い事に通って、気づいたら一日が終わっていた。

中学に進学したら、将来のことを考えるように周りから言われ始めた。将来のために進学先を選ぶ。その先がどこに通じているかも分からないのに決めたから、選ばされたという感覚が強かった。
運よく自分の頭で行けそうな所に決まった。

高校に進学して、今度は大学を決めなくてはいけなくなった。中学の頃より数学への理解が深まり、面白さを知った。だから理系を選んだ。
今まで本気で勉強したことなど一度も無いのに、漠然と名の知れた大学に行きたいと思っていた。
しかし、受験期がコロナと被った。怠惰な自分を腐らせるには十分な期間だった。
最低限の努力だけして、そこそこの大学へと入った。

辛うじて時間だけはあったので、色々なことに時間を費やすことが出来た。その過程で、自分の凡庸さを知り、多様な価値観を目の当たりにしていくうちに将来像がようやくはっきりとした。
自分が今まで囚われていたことがくだらなく思えたり、逆に気にも留めていないことに鬱陶しさを感じたりするようになったり。
過去の分岐点においてもっと最善を尽くせたとか、そういう俗っぽい考えも未だに拭えないけれど、それも少しづつ受けいれている。

今はそれよりも、未来の可能性を想像して楽しみが増えている。
日々の小さな変化を見つめながら、これからも少しずつ先を見据えて進んでいこうと思う。

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