【小野大輔さんインタビュー後編】真言宗立教開宗1200年記念 特別拝観「東寺のすべて」音声ガイド
アコースティガイド・ジャパンのnoteへようこそ。
10月31日まで開催されている、京都・東寺の特別拝観「東寺のすべて」。
音声ガイドナビゲーターの小野大輔さんのインタビュー後編をお届けします。(前編はこちら)
平安京の入口としての東寺
―今回は、「東寺のすべて」と謳う特別拝観ですが、仏像以外にも、改めて東寺について、気になったことはありましたか?
小野さん:音声ガイドは、平安京の入口、羅城門 の西に西寺、東に東寺が建立された、ということから始まるのですが、最近、コロナ禍になってから東寺に行ったとき、平安京と東寺の配置の図を見て、東寺はここにありました、というのをはじめて意識しました。
ああ、平安京の入口だったんだ・・・ここは九条で、新幹線の出口は八条、二条城は平安京の奥の方だったのか・・・と想像力がぶわっと膨らんで、東寺にいるということは、平安京の入口にいるのだと、ぞくっとしました。
20代から東寺に伺っているのに、このあいだ、やっとそれに気づいたんです。
―東寺は見どころが多いので、行くたびに、気付くことがありますよね。
小野さん:たしかに、行くたびに発見がある。変わらないはずなのに、ずっと発見があるお寺ですね。なので、時を経て何回も行くといいと思います。
それから、役者として最初に触れる練習教材に「外郎売(ういろううり)」というのがあります。外郎(ういろう)というお薬を売る人のすごく長い口上を、早口で読み上げるもので、役者の滑舌の練習になるんですが、その中に、東寺が出てくるんです。東寺の羅生門(※)には・・・というフレーズがあって、それがこの東寺なんです。薬師如来も上覧あれ、というご本尊に触れるフレーズもあって、若い時の僕は意味を知らないままに外郎売を練習していたんですが、それを思い出して、改めてこのお寺すごいなぁって。
※羅城門は、「外郎売」では「羅生門」の呼び方で語られます
東寺は色々なきっかけ・入口が詰まったお寺
―役者の入口の時期に練習したものにも東寺が出てきたとは!なんだかご縁を感じますね。特別拝観では、写真家の土門拳さんが撮影した東寺も展示されますが、小野さんは土門さんのお写真もお好きと聞いたのですが。
小野さん:僕を仏像好きにしてくれた大きな存在として、みうらじゅんさんがいます。みうらさんは土門拳さんの写真集を折に触れて紹介されていました。実際に見るのとはまた違った魅力を引き出している、と。みうらさんのおかげで土門さんを知り、その土門さんの写真によって僕は仏像に興味を持ち、さらに引き込まれていくこととなりました。
今回の音声ガイド収録で、この東寺の撮影から土門さんは仏像写真の手法を確立していったと知り、また感動しました。
―小野さんにとって、東寺は様々な入口、きっかけとなったお寺なんですね。
小野さん:色々なきっかけが詰まっているお寺です。
僕は音声ガイドをたくさんやらせてもらっていますが、ここにきて、あまり自分のニュアンスなど余計なものを入れないようにしようと思い始めたんです。絶対に見る人の邪魔をしたくないので、足し算より、むしろ引き算をして、それこそ仏像を彫るように、一刀一刀、研ぎ澄ませていく感じで収録に臨んでいます。その、引き算の美学みたいなものは、原点回帰なんですよね。自分を見つめ直した結果、そこに行きつく・・・やはりこのタイミングで東寺の音声ガイドをやらせてもらえたというのは、意味があると感じますね。初心忘るべからず。
―それでは最後に、特別拝見にいらっしゃる方にメッセージを。
小野さん:この特別拝観は、仏像や東寺が好きという方も楽しんで頂けますし、それ以上に、これから東寺の魅力に触れる方にも分かりやすく、入口になると思います。ぜひ東寺のすべてを感じる入口として、音声ガイドも聴いて頂けたら幸いです。
―ありがとうございました。
東寺のすべてが詰まった貴重な特別拝観、ぜひ、小野大輔さんの音声ガイドと共に堪能してください。(タカハシ)
*******************************************
アコースティガイド・ジャパン
https://www.acoustiguide.co.jp
Twitter: @ADaudioguide @kikubi_AG
*******************************************
特別拝観 開催概要
音声ガイドについて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?