【展覧会レポート】松本幸四郎さん、市川染五郎さんの音声ガイドで味わう、特別展「法然と極楽浄土」
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2024年は浄土宗開宗から850年の節目を迎えます。
全国にある浄土宗各派の協力を得て、国宝や重要文化財を含む貴重な名宝が集まった特別展「法然と極楽浄土」が東京国立博物館にて2024年6月9日まで開催中です。(2024年10月8日からは京都国立博物館、2025年10月7日からは九州国立博物館へ巡回)
「南無阿弥陀仏」と念仏を称えれば、誰しもが平等に、極楽往生することができる・・・法然が説いた教えは、不安と混乱の入り乱れた平安時代以降、多くの人々の心のよりどころとなり、今日に至ります。
本展は、法然による浄土宗の開宗から徳川将軍家の帰依によって大きく発展を遂げるまでの、浄土宗の美術と歴史をたどることができる史上初の展覧会です!
―法然ゆかりの品、浄土宗の歴史と語る、国宝や重要文化財がずらり
本展で、法然や弟子たちの人物像、浄土宗の教えやその世界観を伝えるために集められた品々・・・それは名宝がずらり。国宝や重要文化財なども一堂に集結しています。
まずは、「法然上人絵伝」(国宝)。
全48巻(すべて合わせると500mを超える長さになるそうです!)という大ボリュームの伝記絵巻で、法然の誕生から往生までの生涯と彼に帰依した人々の話や、 弟子たちの事跡までも描き、法然の足跡をたどることができます。
そして法然の生涯をたどった後に待ち受けるのは…
奈良の當麻寺のご本尊、「綴織當麻曼陀羅」(国宝)。通常は非公開で、奈良県外で公開されるのも今回が初めてです。阿弥陀如来と観音菩薩の化身が蓮の糸で織りあげたという伝説が伝わる、まさに至宝。
4m四方という大きさで、絹糸で織られたこの曼陀羅は、よく見ると、細部まで美しく極楽浄土の様子が描かれていることがわかります。伝説が生まれるのも納得で、しばらくの間、目を離すことができませんでした。展示替で見られる當麻曼荼羅の写しとも、ぜひ比べて見てください。
※「綴織當麻曼陀羅」は東京展では5月6日までの展示です。
また、修理後初公開となる「阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)」(国宝)も見どころです。
3年間にわたる修理によって、山水表現が鮮やかになり、絵の力強さが増したとのこと。スピード感のある雲の表現や構図が見事と言われる本図ですが、近くで見ると、阿弥陀如来や菩薩たちの乗った雲が迫ってくる様子は確かにインパクト大!
音声ガイドでは、修理に携わった京都国立博物館・大原研究員のお話も聞くことができます。ここでしか聞けない特別解説も合わせてお楽しみください!
※「阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)」は東京展では5月12日までの展示です。
―スケールの大きな展示も!
そして本展のラストを飾るのは、「仏涅槃群像」の展示スペース。
「仏涅槃群像」は、釈迦入滅の場面を82体の群像で構成したものです。会場では、そのうち等身大の菩薩や羅漢をはじめ、動物たち26体が展示されています。
横たわる釈迦の前にいる人たちの顔はとても悲しそうで、今にも泣き声が聞こえてきそう。両脇に並ぶ動物たちも思い思いに悲しんでいるようなのですが…何ともいえないその表情が少しかわいく思えて、くすっと笑ってしまいました。
このスペースは写真撮影が可能ですので、表情豊かな人々や動物たちの姿をぜひ写真に収めていってください!
―音声ガイドのナビゲーターは松本幸四郎さんと市川染五郎さん!
本展をナビゲートしてくださるのは、歌舞伎俳優の松本幸四郎さんと市川染五郎さん。法然と、法然に教えを乞う人々を演じる場面なども交えながら、作品の見どころや魅力をわかりやすく紹介しています。
親子のお二人ならではの、掛け合いパートも聴きどころ。
展示室内でガイドを聞きながら作品を見ていると、お二人の落ち着いた声も相まって、浄土宗の世界にどっぷり入り込むことができます。
そしてそして、展覧会担当研究員の解説や、浄土宗の声明、縁山流と祖山流を聞き比べるトラックを特別収録。豪華なコンテンツをお聞き逃しなく。
描かれた法然の姿や極楽浄土の世界の美しさを通して、万人の救済を願った法然やその弟子たちとその教えがいかに大切に扱われ、人々のよりどころになってきたかを感じることができる展覧会でした。
本展は東京展が終了後、京都・九州の会場を巡回します。
各会場それぞれに独自の特色や見どころもあるので、そちらもお楽しみに。(サイトウ)
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