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題するまでもない話。

久しぶりに、東京駅を訪れた。

飛びかう日本語と、あとそれと同じくらいの外国語。大きなバッグを引く人も目立つ。来た人、行く人、どこからどこへ。雑多というのか多様というのか、そんな言葉が妥当な気がした。

大学時代、ここは自分の通学路だった。自分の田舎くささを隠すように、少しの所在なさを悟られないように、肩で風切るような思いで歩を急がせる日々だった。スマホの地図を片手にきょろきょろと立ち止まる人たちに、なぜか勝った気持ちになろうとした。誰も自分のことなど見ていないと、当時から分かっていた。

この巨大な地下迷路には、卒業以来めっきり近寄らなくなった。そうする必要がなくなってしまった。それでも、行けばやっぱり全身がここを覚えているのだと気付く。むしろ、覚えているその場所と、目の前に広がるこの場所が、同じであることにほっとする。

今日は本当に、本当に色んなことがあった日だった。たくさんの感情が湧いては消えて、それだけ記憶にも刻まれたのだろうと思う。

でも夜になって思い出すのは、変わらない東京駅への安堵なのだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。またぜひ遊びに来てください^^