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【 天才集団R&Dチーム特集企画#3 】理想的入社エピソード!ノブカツさんをもっと深掘り!

秘密計算や合成データをはじめとしたプライバシーテックの基礎研究を推進するAcompanyの「コア」であり「ブレイン」こと、天才集団”R&Dチーム”。この記事では、R&Dチームメンバーのひとり、ノブカツさんに焦点を当てて、今まであまり紹介してこなかった専門性についてインタビュー形式で深掘りしています。

過去すでにアカントピックというオウンドメディアSpotify Podcastでもゆるく深掘りしていますが、大学時代の専門性やAcompany入社後の業務の観点でもっと深掘りして、優秀なメンバーのことを世に押し出していきたい!!というR&Dチームマネージャーの牧野充朗さんのリクエストからこの企画が生まれました!アカントピックでは、R&D特集回でチームの他メンバーについても配信しているので、ぜひそちらも聴いてみてください!


Acompanyに入社したきっかけ

戸田:
前回アカントピックでお話させていただいたときは、幼少期はどんなお子さんだったかや、どうやってAcompanyにたどり着いたかという話を広く浅めに伺いましたよね。入社の動機ときっかけが素敵なエピソードだっので、もう一度おかわりお願いしてもよいでしょうか?笑

ノブカツ:
ありがとうございます。笑そうですね、元々仕事でも数学を生かした何かがやりたいなと思っていたんですが、前職でその気持ちが強くなっていたときに、「どういう技術だったらより数学的なものを活かせるんだろうか」と考えていたんです。そんなときに「秘密計算」なるものをどこかでちらっと見たんですよね。それで、なんか面白そうだなと思って「秘密計算」を扱っている企業をいろいろ調べてみたら、ものすごく少なくて。その中でちゃんと情報発信をしている会社はほとんどなくて、ひとつひとつ見ていた時にAcompanyの技術ブログに行き着いて、「秘密計算」をはじめとする技術に関していろいろ書かれているのを発見しました。そこでしっかり調べて、技術力がある点に魅力を感じて。それからカルチャーですね。カルチャーデックなどを見て共感し、Acompanyに行きたい!と。実は裏で他の会社も考えていたんですけれど、Acompany以外にしっくりくるところが無くて。どうしてもAcompanyで働きたくて、もうAcompanyで駄目だったら転職は一度諦めよう!と思っていたので、他の面接も全部断っていました。また、面談では牧野さんに研究内容について掘り下げてたくさん質問をしていただき、びっくりしました。

牧野:
僕はノブカツさんの研究内容について少し調べてから面談に望みました。正直僕が見ても全然わからなかったんですけど、数学に強いメンバーに裏で軽くちょっと見てもらい、ザックリと内容を把握してから面談しました。Ph.D.を持ってるともなれば名前を調べると大体ログが出てくるので。

大学での専門分野

戸田:
それでは、ここからは具体的に働き始めてからの専門的な業務内容や、大学のときにどんなことを専門にされていたかというところから深掘らせていただきます。東京理科大学の数学科にいらっしゃったことは伺いましたが、そちらではどういった研究をされていたんでしょうか?

ノブカツ:
「有限群のモジュラー理論」という分野を専攻していました。大学に入ってすぐ数学研究サークルというのが理科大にあるんですよ。そこで専門書とかを読むんですね。みんなで自主ゼミみたいな形でやりながら、早めにいろんなことを見てました。その中で有限群っていう数学的な対象があるんですけど、それが面白いな、と。有限群という対象はとても古く、歴史があっていろんなことが調べられてるんで、それを別の表現論という手法を使って調べていくということに面白みを感じました。そもそも表現論とは何かって話をちょっとさせていただきますね。例え話で言うと、飛行機の部品にひび割れがないかというのを調べるときに叩いて調べるという方法があると思うんですけど、物が他のものに対してどういうふうに反応するかによって、調べることがありますよね。他のものに対してどのような作用をするか調べる方法というのは、様々な対象に対しても同様の方法をとることができます。この方法自体を表現論と呼び、これをを使って有限群というものを調べていくという分野が「有限群の表現論」と呼ばれるものになります。多分早めだとは思うんですけど、これを大学2年生ぐらいのときに研究したいなって思いました。このときたまたま理科大に有限群のモジュラー表現を研究している先生がいたので突撃して、その先生の大学院生向けのコースに潜って話を聞いたりとか、教えていただいた専門書とかも読んだりしていました。。大学院でその先生の研究室に入ったという感じですかね。大学生時代にすでに研究が定まってるってあんまりないかもしれなですけど、自分はすでに「やりたい!」っていうものがありました。。自分は「これやりたい!」と思ったらまっすぐそこに向かって突き進むきらいがあるのかもしれないです。院に進んだ後も「有限群のモジュラー理論」をずっと専門に研究し、論文もそれについて書きました。自分で研究テーマを見つけて、どうやって研究していくかみたいなことを考えながら、博士課程はいろいろ悩みながらやっていました。

戸田:
アドベントカレンダーのエントリーに「小学生の頃からずっとあった『誰も証明していない定理を世界で初めて証明したい』という夢を叶えることができた」ってあったんですけど、これは博士論文を書いたときの話ですか。

ノブカツ:
そうですね。小学生時代に本を見て、その頃から憧れがあって。自分が世界で初めて定理などを証明するということに憧れを持ってたんだと思います。それが、博士課程で叶えられた。

牧野:
数学の博士は結構レベルが高いと思っています。工学部の場合だと「世界で初めての研究」と言いつつ、既存の研究を応用したり、適用先を変えたり、組み合わせたりで論文が書けたりしますが、数学は新しいことを考えたり証明しないといけません。大学数学はザックリと代数学と解析学と幾何学とに分類されるのですが、その中でも代数学は魔境と呼ばれています。数の基本的な話なんで古くてやり尽くされてるんですよね。だから結構有限群とかもですけど結構やり尽くされてるはずなんですよ。なので、研究として非常に難しいことか、重箱の隅をつつくようなことしか残ってない、という前提の印象がありました。だから「代数学で博士」を取ったとなるとすごいな、と。僕の中ではまずそう思いました。

戸田:
幼少期からの夢を叶えられたというのはすごいですね。今その数学の素養を生かした業務ということで、Acompanyでの自分の強みを生かしながら働いていただけてるのかな、と思っているのですが、どのような強みを活かせていいますか。

ノブカツ:
今の業務としては案件対応が主なんですけど、その中で比較的新しい技術を使った署名のようなところを担当しています。その中で数学的なことがバリバリ使われているので今まで自分がやってきたことが生きてるんじゃないかなというふうに思ってます。あと自分の場合、クライアントさんに自分から新しい署名の説明を話させていただいてるので、そういうとこにも今までの自分の研究発表をしてきた経験が活きてるのかなと思います。

牧野:
あとは僕はいろいろ、面談のときに聞いて好きだったような話とかあるんですけど、これはノブカツさんから話してもらったほうが良いかな。

ノブカツ:
はい。修士のときにそれで論文になるという結果があったんですよ。それを博士の最初の方に論文にしようかという流れだったんですけど、本当にそれでいいのかな、と。それを続けていた延長線上で博士論文を書くみたいな、方向性も無きにしもあらずだったんですけれども。本当にそれがやりたかったのかな、と思い返したときに、そうじゃないな、と。ブルエ予想という、有限群のモジュラー表現において有名な予想があるのですが、そもそも自分はそれに魅力を感じてその分野に入ったのでそれに対してちゃんと向き合いたいなと。でもそこでどういうふうに研究テーマを設定するかというのがとても難しくて、それがなかなか大変だったなという思い出があります。自分は散歩が好きなので、多摩の方面に散歩をしにいって考えていたりしました。ジブリの「耳をすませば」が好きなので、聖蹟桜ヶ丘の方面を散歩したり。その分野で一番重要な問題に取り組むということなので、覚悟は必要ですね。最近はあまりブルエ予想に関しては研究がなされていないところを見ると、ある程度やり尽くしちゃってるところはあるのかなという印象があって。でもそこに目をつぶっていてもしょうがない。分野の発展の面を考えても、誰かがやらないといけないからやるしかないだろう。

牧野:
実は一回、ノブカツさんの研究の内容もR&Dの中で喋ってもらったりしたことがあります。ですが、何もわからなかったですね。まず定義の理解に、死ぬほど時間かかります。問題の意味がまずわからない。一ヶ月くらいしたらだいぶやりたいことがわかるのかな、くらいの難易度です。もしかしたらもっとかかるかもしれないですけど。基本数学できる人、研究で成果出せる人というのは、普通に他のことであれば余裕で成果をバンバン出せるくらいの能力だったりすると思ってます。相当ストイックに取り組む能力をはじめ、集中する能力、アイディアを出す能力、加えてその上で理解力が必要ですからね。理論を新しく生み出して証明するっていうのは、相当な難易度なんですよね。そういう点から、僕は即採用だなと思っていました。技術課題に論文実装の課題を出したんですが、誤って査読前の論文を出した際には、「論文の内容間違っていて、査読後のこっちでやりました」と誤りの指摘までされてしまいました。

ノブカツ:
技術課題の裏話で言うと、実装しててどうにも処理がうまくいかないところがあって。なんでだろうなとずっと思ってて。なんかそもそもこの論文おかしいなと思って。掲載されてる方の論文見てみようと思って見てみたら違うことに気づき、やっぱりなと思いました。

リーダーシップの片鱗

戸田:
先程、ノブカツさんの業務の一環として案件を直接説明ままでするという話をしてましたよね。そういったことはR&Dだと珍しいんですか?

牧野:
はい、そうですね。顧客対応や説明までやることはあんまりないんですけど。直接説明してもらった方がわかりやすいかな、と思ってやってもらったら全然できてしまったという感じです。リーダー気質が結構あるので、将来的にはそういうところもできたらやってもらえないかなと思っています。

ノブカツ:
自分ではあまりわからないんですけれども、今までそういうことをやってきたのが活きているのかもしれません。中学校の頃はサッカー部でキャプテンをやったり、高校では山岳部でキャプテンをやったり、あとは合唱部とか指揮者をやったりとか学級委員長やったりとかいろいろやってました。目立ちたがり屋なわけではないんですけれど、やってみたら、と薦めてくれる人が多いので、それでやってみて。そうすると助けてくれる人がやっぱり多いので、なんとかできています。自分としては全然そういうことに抵抗がないので、やっていきたいなと思っています。

戸田:
素晴らしいですね、ぜひぜひ頑張っていただきたいです!ノブカツさんは今は一緒に働くメンバーや、R&Dチームに対してはどう思っていますか?それから、こういうことをやっていきたいとか、何かこういう案件を受けることができたら嬉しい、といった事柄はあったりしますか?

ノブカツ:
メンバー、チームに関してはもう信頼しかないですね。本当に皆さん優秀すぎるくらいに優秀で。最近ちょっと業務で困ったことがあったんですけど、相談してすぐにサポートしてもらえたのもあって。そこら辺の余裕があるっていうところもやっぱりいいなと思います。優秀で優しいメンバーが揃ってます。いろんな案件やってみたいなと思っているんですけど、マネジメント的なことをやっていきたいなとも思っています。それとは別に、最近学会に行かせていただいたんですけど、参加していろいろ発表してる人の姿を見ると、やっぱり自分も今まで研究をやって発表してたんで、羨ましいな、と思って。そこで発表できるような成果が出せたらいいな、と思います。そういうところで自分自身も貢献していきたいし、それが会社にとっても役立つなにかになれば良いかなと。そういうアカデミックな方面でやっていきたいなっていう感じですかね。業務として研究している中で、論文にできそうなことは現状あるにはあるんですが、企業という問題もありなかなか難しい状況となっています。NDAがあったり、戦略的にまだちょっと出せないものだということがあったり、特許の兼ね合いとかもあるので。

牧野:
研究機関みたく成果出したから論文を出そう!というわけにはいかないですね。ただ、僕目線、出せる成果は結構あるなと思っています。来年度以降はそういう点においてアカデミアの方も強化し、学会発表ができるようになるといいな、と思っています。実は去年、僕も医療情報学会っていうところで発表していたり、来年の1月には桜井さんが発表を控えていたりします。その時は医療のデータを使った秘密計算とか、マルチパーティコミュニケーションを使って統計データ出していくみたいな内容でした。まあ、僕がやったというよりかは前から立ち上がってた名大病院さんとの共同研究をまとめた感じでしたが。

Acompanyでの担当業務

戸田:
Acompanyに入って、どんなタスクをやってるかもう少し詳細にお話していただいてもいいですか。

牧野:
どこまで言っても良いかわからないと思うので、軽く僕から説明しますね。R&Dで案件を受けることがちょいちょいあるのですが、直近のものに関していえば内容はすごくハードです。情報が全然ないので、ドラフトやドキュメントなどを見に行かなくてはいけないことも多いです。まず論文も実装の難易度も高いし、手に余るような案件だったんですけど、それを結構中心にやってもらってるっていう感じですね。数学的にも実装的にも結構難しいみたいな。

ノブカツ:
やりごたえもあって、結構やってて面白いですよ。また、もう一つ面白いのはクライアントさんに説明するときに、どういうふうに説明すれば伝わるのかっていうところを考えるところですね。伝え方のやりがいというか、ここ最近では面白いと思っているところですね。自分だけがこういう感じなんだって理解してて、自分の中でここはわかってもらえるだろうと思ってても伝わらなかったり。自分はこういうふうな直接的な伝え方をすれば伝わるだろうと思っていたのにそうでもないとか。いろいろもっと自分の中で身につけていく必要があるな、と思っています。数学的に本当数式でやられてるような処理をどういうふうに説明するかみたいなところはなかなか難しいです。一から数式全部追っていくわけにはいかないので、どういうふうに相手に伝えるかっていうところはそこも面白いなと思ってやってますね。

今後の展望

戸田:
最後にノブカツさんにお伺いしたいんですけど、今後の人生はどうしていきたいとかありますか。また、数学でこういう実績を積みたいなのはあったりするんですか。

ノブカツ:
やっぱり自分を表現していきたいなと思っています。それを通して、クライアントとか、それを社会に対して貢献できたらいいなっていう、あくまでも自己実現ができた上でのそういうことができればいいな、というふうに思ってますね。ふわっとしていて申し訳ないんですけれども。研究的なところでいえば新しいスキームを身につけたいと思っています。あとは秘密分散とか、そういう分野にてアカデミックな研究をやりたいとかいうことはありますね。そこで何か自分がやりたいことができたらいいなと思っております。


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