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風邪を引きかけたぐらいの感覚でリアコに片足を突っ込んだ話

「推し」へ向ける"好き"にも様々な種類があると思う。成長する姿が尊いと思ったり、パフォーマンスする姿に元気をもらったり、ファンに向けるやさしさにキュンとしたり。推しがいると、"好き"は色んなところに散りばめられている。そんな"好き"の中に"リアコ"という感情に分類されるものがある。

【リアコ】とは
「リアルに恋している」の略。主にアイドルなどに対して、応援する気持ちを超越してリアルな恋心を抱いてしまった様子を指す。


わたしはそのいわゆる"リアコ"に風邪を引きかけたぐらいの感覚で片足を突っ込んだことがある。このnoteでは、その話をしたい(※以下の文章にはお話し会のレポも含みます)。




わたしがフッ、と恋に落ちかけたのは、元PRODUCE101JAPAN(以下日プ)の練習生であり現在OWVのリーダーとして活動中の本田康祐くんである。

ダンスをしていたわたしはいつも分析するようにダンスを見る癖があるが、彼の踊り方が兎にも角にも好きだったのだ。芯はブレずに癖も全くない、力強さもしっかりあるのにそれでいて指先まで気を遣える繊細さも兼ね備えていて"抜く"のが上手な人、という印象だった。

彼がダンサーや振付師として活動していたことを知ると、だろうな、と思った。そんな経歴もあり、頼れる年上のお兄さんポジションであったことから練習では必ずリーダーとして指揮をとる。そんな彼を、皆が"兄貴"と呼んだ。

そんなみんなの兄貴がひとりの練習生になった瞬間、わたしは恋に落ちかけたのだ。


コンセプト評価でBlack Outのパフォーマンスをするとき、彼の希望するポジションを元々ダンサーとして知り合いだった佐野文哉くん(現在OWVとして一緒に活動しているのだから尊いどころの話ではない)と争うことになった。その結果、佐野くんが彼の希望ポジションを勝ち取った。彼は希望ポジションを勝ち取ることができなかった。

(これが例のBlackOut)

「1番戦いたくなかった相手だった」と悔し涙を流していたこと、練習生日記に"悔しくて頭が真っ白だ"と書いていたこと、トレーナーに指摘され「ダンスを楽しむ気持ちを忘れていた」と言ったこと、全て鮮明に覚えている。いつも堂々としていてリーダーとして指揮をとる兄貴分という認識がわたしはここで初めて変わった。彼もひとりの練習生だったのだ。

悔し涙を流し練習も身に入らない中で練習はしなきゃいけないし、刻一刻と迫る本番の日に不安を感じたこともあっただろう。「ダンスを楽しむ気持ちを忘れていた」と気づき前を向いた彼が与えられたポジションで輝いたとき、わたしは「推し」とはなんだか違う感情を抱いたことに気づく。

そしてファイナルまで駒を進めた彼が、youngのステージのあとに晴れやかな顔で「ステージは生きがいです」と言っていたことがメイキングには収録されていた。それを見て、「推し」とはなんだか違う感情の正体に気がついた。そのなんだか違う感情が"リアコ"だったのではないのか、と。

増えていく推しには伴わない減りゆく票数に心を痛めながら結局彼には投票できなかったし、わたしが日プの時から彼のことを応援していましたと図々しくて言えたもんじゃないと思う。それでも「ステージは生きがいです」と晴れやかな顔で言ったのを見て、彼が輝ける場所を見つけてしあわせになれますように、できればまた会えるときは彼のダンスが見られる場所がいいな、なんて心のどこかで願っていた。

まるで風邪を引きかけていたことにも気がつかず、重い身体を引きずっては疲れているのかな、寝不足なのかなと見過ごしたのち体が軽くなったときにああ、わたし風邪を引きかけていたんだと気がつくみたいに、PRODUCE101JAPANが終わったあとでわたしは彼にリアコという感情を抱いていたことに気がついた。

そんな気持ちを変にこじらせることもなく、彼のことが嫌いになることもなく、日プが終わったあとからずっと一定にわたしは彼のことが好きだ。「リアコ」と呼ぶのはすこし大袈裟で「推し」と呼ぶのもなんだかしっくりこない彼のことが好きだ。

誕生日にOWVの結成を発表しデビューを経ても気持ちは変わらない。彼に出会って約1年半が過ぎたついこの前、わたしは彼と30秒の間お話するチャンスを得た。

JO1の「推し」とヨントンをしたときも緊張したけど、彼とのお話し会は、望んだことなのに逃げ出したくなるような、早く終わりたいのに終わりたくないような、言葉にできない感情だった。

Zoomがまずスタッフさんと繋がったとき、隣からおそらく彼が鼻をすする音が聞こえて、それがあまりにもリアルで、わたしの心臓は跳ね上がる。画面が切り替わった瞬間「やすぽん!!」と食い気味に手を振ればわたしの名前を呼んで手を振ってくれる彼に、「春から番組制作会社で働くから、いつか一緒にお仕事できたらいいなって思ってます!!」と振り絞れば、「ええ〜、すごいね!」と大袈裟にのけぞり「制作の際は是非OWVをよろしくお願いします」と頭を下げるのがなんだかおかしくて、「こちらこそ」と頭を下げて笑いあった。残りの秒数が見えて、本当は足のサイズとか肉じゃがに入れるのは豚肉か牛肉かとか公式には載っていないことを色々聞きたかったのに、フープピアスに引っ掛けていた初代グッズのキーホールダーに気づいて「ピアスすごっ!気に入ってる?」と画面を覗き込むようにして聞いてきた彼の対応力に驚いて、時間が切れてもまだ話している彼へ気の利いた返しができなかった。

もうすぐ大学を卒業し4月から新社会人として働くのが不安でも、このことを思い出すとなんでも頑張れそうなエネルギーが沸いてくる。聞きたかったことが聞けなかった、気の利いた返しができなかった、と30秒を振り返ると反省したいところもあるが、あの日の30秒はわたしの中の宝物として今も心の中でぴかぴかと光っている。




OWVになってから、わたしは彼の"兄貴"ではない色んな側面を見た。漢字に弱くてすべり芸が得意(本人談)なところ、突如始まる小芝居や深そうで浅い話(Gyaoで配信中の彼らの番組『OWV道』での茶番)、なによりもリーダーである彼が頼られっぱなしではなく持ちつ持たれつの4人で足並み揃えて色んなことに挑戦しているところ、個性的でのびのびとしている4人を見ているとなんだか安心するのだ。

(卓球で負けて膝から崩れ落ちるやすぽん。OWVというグループの縮図①)

(UBA UBAゲームでポンコツっぷりを発揮し最下位になって端っこで三角座りをするやすぽん。OWVというグループの縮図②)

(『OWV道』ドライブロケの道中、換気のため休憩に寄った時「俺ら昼ご飯も食ってないのに(イタイワニーで負けた)」と言いながらカモに餌をやるやすぽんと他3人。OWVというグループの縮図③)

できればまた会えるときは彼のダンスが見られる場所がいいな、というわたしの願いはこうして叶っている。偶然であり必然のように集まった平和な4人、そして「リアコ」と呼ぶにはすこし大袈裟で「推し」と呼ぶのもなんだかしっくりこない彼のことをこれからもわたしらしく応援していく。

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