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できる男の「マーケティング×恋愛心理学」の考察:事後報告のワナ

私の周りには「できる男」「モテル男」「勘違いさせる男」がいる。

相手との距離の取り方、喜ばせるコツ、その気にさせるテクニック…etc
これはめちゃくちゃ大切で、
人間関係だけでなく、ビジネス(集客・セールス)でも使われている。

そこで実話に基づき、マーケティングの視点から考察してみた。
これを読めば、明日からあなたも『できる大人』にチャレンジしたくなる!


事後報告のワナ

私は新プロジェクトの準備で、メンバー4人とプロモーション施策のミーティングを行っていた。
各自のやるべき事やスケジュールを共有、ミーティングを終えようとした時

加藤「あおいさん、SNSの運用について、もう少し確認したいです。この後10分いいですか?」

加藤くんは責任感も強く、いつも率先して動いてくれる頼りになる後輩だ。
インスタグラマーの活用や、コミュニティが生まれる環境づくりについて、お互い意見を出し合いながら、細部まで認識を合わせていった。

加藤「コミュニティの仕掛けするなら、もう1本Webページ欲しくないですか? 納期が間に合わないかも...」
私「リリース日は遅らせないから、そのアイディアは次回にしよ」
加藤「いや、でも必要ですって!!」

確かにパフォーマンスを重視するなら、加藤の言う通り1つ2つの仕掛けを追加したほうが良い。
だが、スケジュールを重視した私とは意見が分かれた。

10分のミーティングは30分を超えていた。
ちょっと空気を変えるために、コーヒーを入れてブレイクタイムを作った。
他愛もない会話をしながら、今回の議題の着地点をどうするか...などと、ぼんやり考えていた私に、突然、加藤は言い放った!

加藤「そういえば、この間つけてたピアス、あれ良いですよね」
・・・へ?
加藤「ほら、白のパールみたいなヤツ。持ってるでしょ?
僕ってカワイイ系よりもキレイ系の方が好きじゃないですか~。
上品でシュッとした感じ。
今日のピアスも良いっすけど、この間のピアス、あれ僕好きなんですよね」

ビックリして、ちょい照れて、それを気づかれないように
「ありがとう。さすが加藤先生お目が高い!」と茶化すことに精一杯だった。


この会話は、ただの『人ったらし』では片づけられないマーケティング戦略が活かされていることに、あなたはお気づきだろうか。


インサイトの達人現る


人は褒められると嬉しい。言わずもがな、承認欲求が満たされる。
褒めることは難しくない。
難しいのは、ターゲットの潜在意識をくすぐれるかどうかである。

『できる大人』は、この潜在意識をくすぐるインサイトを見抜く達人だ。

インサイトとは
ターゲットが潜在的に持っているニーズを引き出し、人の心を変化させる心理のこと。
ターゲットが気づいていない、もしくはそれほど重要視していない気持ちの核心部分を見抜き、そこに働きかけることで、購入意欲や行動へと変化させるスイッチのようなもの。

私はパールのピアスを持っている
→潜在的なニーズ(気に入っているが、数ある中の1つのピアス)

褒められたことで、愛着が増す
→私の心は変化し、このピアスの使用頻度は増えた

『できる大人』は、表面的な褒めだけでなく、ターゲットの潜在的ニーズを読み解き、インサイトをうまく利用する達人なのだ。


自分ごと化

加藤にとっては、どうでもいい私のピアス。
それを”自分ごと化”として宣言している点に、『できる大人』のポイントが詰まっている。今回の”自分ごと化”の使い方はとても高度な技だ。

【普通の大人】
「このピアス、あおいさんに似合っていいね!」
→もちろん褒めていただき嬉しい。
が、”誰に似合うか”の話になっており、登場人物は1人、私だけだ。

【できる大人】
私のピアスを使って、加藤の好みの話をしている。
→登場人物は2人、私と加藤だ。加藤が”自分ごと化”することで、我々二人が当事者としての共通認識が生まれている。

さらに今回の最大のポイントは、目の前に起きている事を伝えるのではなく「あの時の~」と記憶を遡ってる点が、実に憎たらしい。

”自分ごと化”された突然の発表に、
「えっ? 何で知っているの? 覚えててくれたの?」というサプライズが加わり、エンゲージメント(愛着・思い入れ)が高まった。

ザイアンス・ビーム

”ピアスをつける”という当たり前の日常が、
加藤の言葉によって、パールのピアスは特別なアイテムへと変貌。
魔物と化したそのピアスは、毎朝私にザイアンス効果を放つのだ

ザイアンス効果とは
人や物に触れる機会が多くなることで、その人や物に対して好印象を抱く効果のこと


【ビジネスで利用されているザイアンス効果】

■テレビCMや、雑誌、電車の中吊り広告など
同じ商品を同じと認識できる情報で発信することにより、様々な場面での接触回数を増やし、ユーザーに意識づける。それまで興味がなかったこと、第一印象は苦手なCMも、見慣れてくると自分に関係することかも...と、顕在顧客を潜在顧客へと押し上げる。

■ステップメールやセールスレター、プッシュ通知
適切なタイミングでユーザーとの接点を増やし、さらに興味関心を継続させる。ステップメールなどのフォローアップを行うことで、リピートさせたりアップセルも狙う施策には、ザイアンス効果が影響している。

■リマーケティング広告
なんとなく訪れた商品のWebページだったのに、次の日からやたらとバナー広告が表示される…これもまさにザイアンス効果を狙ったもの。
一度訪れたユーザーに対し、繰り返し広告配信するリマーケティングは、ザイアンス効果を使った効果的な手法ですね。

■ルートセールス「こんにちは!」
営業マンが「ちょっとそこまで来たので顔出しました~」も、このザイアンス効果を期待する行動といえる。


魔物と化したそのピアスは、毎朝私にザイアンス・ビームを放ち、ピアスに対する愛着が増すだけでなく、加藤に合わなくても、加藤の登場回数が増えるのだった。


さて、加藤はなぜ突然あのような話をしたのだろうか。
ミーティングで意見の食い違いが平行線をたどる中での突然の発表、
褒められた嬉しさと、何で覚えているの?というドキドキ感にペースを乱された私。

加藤の目的とは…

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Webページをリリースすること。

追伸

加藤の思惑通り、リリース日から2日遅れとなったが、Webページは次回に持ち越さずにスタートさえることができた。徹夜したけどね...(ヽ''ω`)

ピアスに続き、洋服でも同じ手法を”短期間”に使ってしまった加藤、
この戦略を見破り、納期遅れの追加施策を認めなかった私は成長した証。


加藤くんの【マイルストーン置いたぞ作戦】はこちら



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